ここ数年で、かなり市民権を得てきたという印象のあるAIボイスレコーダー。
録音しながらメモを取って、帰宅後に文字起こしして、議事録を作成して…という、しんどさが、まるっと解消。ライターの仕事が…いや、打ち合わせや商談なども含め、全てのビジネスパーソンにとって必須アイテムといっていいかもしれません。
そんなAIボイスレコーダーの草分け的存在、Plaudから登場した“親指サイズ”の最新モデル「NotePin S」。待望の「物理ボタン」が追加されたアップデート版です。実際に普段の作業フローに取り入れてみた感想をお伝えします。
◼︎Plaud NotePin S
ピン型のAIボイスレコーダー「NotePin S」。手に取ってまず驚くのが、その小ささ、軽さです。サイズは51 × 21 × 11 mm、重さが約17g。親指サイズに、「録音→文字起こし→要約作成」の一連の作業がワンタッチで行なえるテクノロジーが詰め込まれています。

前モデルからの進化点は、本体に物理ボタンが追加されたこと。

本体中央を指でタッチすると操作ができるという、近未来仕様だった旧型NotePin。小さなLEDで動作状況が確認できるものの、出先での咄嗟の録音時など正直わかりづらいなと思うことはしばしばあったんですよね。

ボタンを押して確実に操作している感覚が得られるというのは、AIボイスレコーダーの特性上やはり大事だなと…。ボタンを埋め込む代償に0.8g増加したとのことですが、うん、誤差です。
また、前モデルではマグネットピンとクリップが付属していましたが、NotePin Sではそれらに加えてネックストラップとリストバンドが標準付属となりました。シチュエーションに合わせていろいろと装着方法が変えられるのはありがたいですね。

ぼくは普段、マグネットピンで服に止める形でNotePinを運用してきましたが、リストバンドでウォッチ感覚で身につけるのもかなりアリだと思いました。いったん身につけてしまえば、その日ずっと持ち歩けますし、オンオフもしやすいです。

ちなみに、リストバンド自体はサードパーティのものも多数あるようなので、Amazonで好みのものをカスタマイズできます。
主流のカード型タイプは、高機能な反面、どうしても「今日は持っていくのを忘れた」が起きます。でも、最初から装着前提で設計されているNotePin Sは日常の導線に乗りやすい。これだけの装着アクセサリーが付属するということは、そのまま「忘れずに使い続けられる」ことに直結しますからね。

この小さでありながら、2基のMEMSマイクで最大3mの収音に対応。さらにバッテリーは公称で20時間連続録音可能。2週間ガッツリ使い込んで充電したのはたった1回だけでした。すばらしい。

使用感
録音+文字起こしならiPhoneのアプリでもできますが、アプリを立ち上げて…録音ボタンを押して…と操作の手間がありますよね。ボタン一発で「録音→文字起こし→要約作成」の一連の流れが完結するので、取材やインタビュー、オンライン会議が超絶ウルトラ効率化します。(一度このフローを体験すると元の録音環境には戻れない…)。
アプリの操作をしていて誤って「切る」ボタン押してしまう、みたいなこととも無縁になりますし、「今から通話内容録りたい!」みたいなイレギュラー時も、普段からNotePin Sを身につけておけば難なく対応できます。

文字起こしとAIツール生成だけで抽出した長文の要約を、手直しナシでそのまま外部にアウトプット。というのはまだ発展途上の域を出ませんが、少なくともチーム内で共有できるクオリティの要約がサクサク作っていけます。
もちろんハイライト記録(タグ機能)にも対応。録音中に重要だと思ったシーンで本体のボタンを一回短押しすると、アプリ上でそのシーンが重要だと記録され、要約などに反映されるというもの。

そしてPlaud製品ならではの使い勝手の良さ、文字起こししたデータを他者とすぐに共有できること。
仕事柄、ライターさんと録音データのやり取りをすることが多いのですが、録音した音声データを文字起こしし、テキストファイル化して、ファイル共有サービスのURLで送る…という一連の工程が地味に手間なんですよね。それがNotePin Sを使えば一瞬です。もちろん、相手が有料会員でなくとも共有できます。
また、単純な文字起こし性能だけでなく、アプリ側の機能がかなり充実しているのもPlaud製品の良さです。
例えば、録音を自動で構造化してくれるAI要約。概要、テスト結果、次のステップ、みたいにセクション分けされるのでそのまま議事録として使えます。そのほか、録音の内容をトピックごとに展開してくれるマインドマップ自動生成機能は、ブレインストーミングの振り返りなどで非常に有用です。
で、何より便利なのが「AIに質問」機能(Ask Plaud)。以前レビューしたNotta Memoでもほぼ同じような機能が搭載されていましたが、これが本当に優秀なんです。

文字起こしと録音データをソースにして、AIとチャット形式で対話できるんです。「あの話題に対して、◯◯さんはどんな発言をしていた?」「この件で、具体的な表記はあった?」みたいな問いに、録音内容を参照しながら答えてくれるんです。
これ、ビジネスツールとして100点の機能ですよね。人間に「あの件どうだったっけ?」と聞いても、記憶は多少なりブレる。でもこの機能のAIはソースを正確に参照するので、ブレない。しかも素早い。
あとはやはり物理ボタンは安心。これに尽きます。

「ちゃんと全録できてるかな?」がつきまとうだけで、目の前の会話に100%集中できないじゃないですか。これだと本末転倒です。機動力に振り切ったウェアラブルでありながら、その心配と無縁というだけで個人的にNotePin Sは買いだと思いますね。
カードタイプとの棲み分け

ぼくはこれまで、Plaud Noteや、Notta社が出しているNotta Memoといったカード型のレコーダーも長らく使っていたので、両方持っている立場から使い分けを整理してみます。
まずカードタイプですが、テーブルがある環境での使用に向いてます。店内でのインタビューやオフィスでのミーティング、プレゼンテーションみたいなシーンなら、机上にスッと出しておけばOK。ピンタイプに比べると録音された音量も大きく、音のブレも生じず、より聞き取りやすいです。
一方、テーブルがない環境では一気に使い勝手が落ちます。
普通のミーティングで机がないってことはまあないと思いますが、ぼくがよく参加する製品発表会や展示会ではそういうシーンもしばしば。そんなときにNotePin Sは服にとめたり首にかけたりできるので、机の有無に関係なく、しかもハンズフリーでサクッと録音できる。汎用性という点では、NotePin Sが断然有利です。

一方でカードタイプは、ディスプレイ搭載というのがやはり大きな利点ですね。録音を開始したことがより視認しやすく、録音ミスを完全に無くせる点で安心感が段違いです。
そんなわけで、ぼくはカード型、ピン型の両デバイスを今後も併用していく予定。カード型が使える環境であればこちらで録音し、そうでない環境ではNotePin Sで録音する、という使い分けで引き続き運用していこうかなと。
今まさにカードとピンで迷ってる方は、「どのような環境で録音するのか」を考えてみて選んでほしいです。主にカフェ店内や会議室での録音、スマホでの通話録音を想定しているならカード型一択。いろんな場所で使用する予定(カジュアルに日常を記録したい人も)なら、汎用の効くピン型をおすすめします。
「無課金プラン」が購入即付帯。だけども・・
Plaudが他社に比べて良心的な点がひとつ。それは、購入者に「Starterプラン」が生涯無料で付帯すること。
月300分の文字起こしが完全無料なので、月に1〜2回しか会議やインタビューがない人や、「録音」がメインで文字起こしは補助として考えている人なら、無課金のまま永続的に使い続けられると思います。

一方で、ビジネス用途でヘビーに使うなら月300分はまず足りません。会議、商談、1on1を少し真面目に録るだけで、思っている以上にすぐ消えます。ぼく自身Plaud Note時代からProプラン(年16,800円、月1,200分)に課金していますが、縛りが一切ない無制限プランへの移行を検討中・・。
ガッツリ継続運用するにあたっては、それなりのランニング費用と付き合わないといけないのはやはりどのAIボイスレコーダーにも共通する部分です。
ともあれ、本体購入後すぐに別途課金する必要がないのは良心的です。一旦スタートプランでNotePin Sの基本機能を把握した後に、じっくり最適なアップグレードを検討するってことができますから。
“手ぶら感”が最優先ならNotePin S一択

なにより、ウェアラブルは強い。体に近いところにあり、必要となれば瞬時に録れて、あとから会話資産として活かせる。このスタイルがハマる人にとって、NotePin Sはかなり良い相棒になるはずです。
すでに旧型を愛用していて、録音状態の不安や操作感に不満があったなら、アップデートする価値は大いにあります。広い会議室、オンライン会議、電話、長時間録音をまとめて一つでこなしたいならNote Pro。常に持ち歩きたい、対面会話を逃したくない、手ぶら感が大事なら、NotePin Sです。


