コンパクトに高品質高出力を持ち運ぼう。『iBasso DC-Tonfa』でスマホ再生を“オーディオ”に昇華させる

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iPhoneからイヤホンジャックが消えたとき、僕たちを煩わせたのは、あの白いLightning 3.5mmの変換アダプタでした。そう、「ドングル」と呼ばれるものです。

しかし、時代は変わりました。11年のLightning体制からUSB-Cへ全面移行。そして、ここに来ての朗報は、USB-C経由でスマホと直結するコンパクトなドングルDACが増えてきていること。

今回筆者が新しく導入した「iBasso DC-Tonfa」もまた、手元のスマホを本格的なオーディオプレーヤーに激変させてしまうアイテムです。そんな最新のポータブルDACの実力をお伝えできればと思います。

スマホ再生を“オーディオ”に昇華させるドングルDAC

「DAC」と聞くとマニアックに聞こえるけれど、構造はいたってシンプル。内部の専用チップを通すことでスマホやPCの「音の出口」を一段引き上げる拡張アイテムです。

DACチップ自体はスマホにも内蔵されていますが、専用に設計された外付けDACの変換精度は別格。対応するサンプリング周波数やビットレートも含め、そこには圧倒的な処理能力の差があります。

もちろんBluetooth接続は便利ですが、ワイヤレスイヤホンやヘッドホンへの伝送時に大量のデジタル情報が失われるので、結果的に音質は低下してしまう。ロスレスオーディオなどの高音質音源も、ワイヤレス環境では機能しません。

で、このドングルDACという新しいトレンドのいいところは、必要な人だけが手軽に追加できる拡張性にあると思っています。

ワイヤレスの使い勝手やBluetoothの音質に満足しているなら、わざわざ導入する必要はありません。ただ、「やっぱり有線の音が好き」「手持ちのお気に入りのイヤホンやヘッドホンの実力を100%引き出したい」という人にとって、ドングルDACはまさにドンピシャの選択肢ってことなんです。

そして今回、予約済みの最新iPhone 18用のDACとして迎えたのが、ポータブルオーディオ製品でおなじみのiBasso Audioと、イヤホン・ヘッドホン専門店「e☆イヤホン」によって共同開発されたことで話題のポータブルDAC「iBasso DC-Tonfa」。

なんと言ってもサイズですよ。約61×34.6×15mm、重さ約48gの手のひらサイズに、デスクトップクラスの8ch R2R DACや強力なアンプ回路が詰め込まれています。

単体でも持ち運びやすいサイズ感ですが、本機の真骨頂は付属のMagSafe対応ケース。これを使えばiPhoneの背面にピタッと固定して一体化できます(接続用ケーブルもLightningとUSB-Cの両方が同梱)。

これならiPhoneとDACを別々に持つ必要がなく、iPhone+DC-Tonfaがひとつのオーディオプレーヤーになったような感覚で使える。「音は良いけど、常にスマホとセットで持ち歩くのは面倒」というポータブルDAC特有のストレスがなく、DAP感覚でサクッと持ち出せるのが最高なんです。

iBasso DC-Tonfaの音質|生々しさと力強さの共存

一般的なドングルDACではDACチップを搭載する方式が主流ですが、DC-Tonfaはあえてディスクリートパーツを組み上げた「24bit 8chフルバランスR2R DAC」を贅沢に搭載しています。小難しい話を抜きにするなら、「解像感だけを追い求めるのではなく、心地よさや生々しさをじっくり味わわせてくれる音作り」といったイメージがしっくりきます。

もともとiBassoの力強いアタック感のあるサウンドが好きで同社のDACを愛用してきましたが、その系譜を引き継ぎつつ、ボーカルの近さや音の広がりもちゃんと感じられる。R2Rならではのアナログライクな上品さがありつつ、iBassoらしく楽しくも聴ける、絶妙な塩梅のサウンドといった印象です。

まるで小スタジオで聴いているかのようなまとまりのあるサウンドで、スペックの通りノイズや音像のブレの類が本当に少ない。一音一音の粒子まで手にとるようにわかる解像度の高さと分離感。単純な音のエッジの立ち方にしても、同価格帯のドングルDACの中ではちょっと頭ひとつ抜けているなと。

あたり前ですけど、スマホ直挿しや小型USB-DACからのステップアップだと、音場の見通しや音の粒立ち感がもう別世界ですよ。ボーカルの息使いまで逃さないので、静寂と残響がコンセプト(だと勝手に思ってる)のTHE FIRST TAKEの曲なんかは鳥肌ものですよ。それでいて曲の雰囲気を包み込むようなアナログ感もあり、長時間聴いていても疲れにくく、ゆったり音楽に浸りたいときに取り出したくなります。

スペック上では4.4mmバランス接続時で800mW+800mW@32Ωなので出力もかなり高いんですよね。この極小サイズのどこにそんな出力が…という感じですが、平面駆動イヤホンやそこそこインピーダンスのあるヘッドホンでも余裕を持って鳴らし切れるというのもDC-Tonfaの強みです。

また、デジタルフィルターで低域を調整できるのもDC-Tonfaならでは。R2R DACでよくあるOS+NOSという構成ではなく、NOS+デジタルフィルター4種(LL/S、LL/F、Fast、Slow)を搭載しています。切り替え操作もシンプルで、ボリュームボタンを長押ししてメニューから好みのモードを呼び出すだけです。

「NOS」は何も手を加えていない素の音で、これはこれでR2Rらしくて良いのですが、組み合わせる機器によっては低域がやや膨らんで聞こえてしまうことがあります。「低音の量感が多いな」「タイトに引き締めたいな」と思ったら「LL/S」か「LL/F」に切り替えるのがおすすめ。個人的には、LL/Sが聴感上いちばん低音がスッキリするように感じて好みでした。

元のアナログライクな音よりジャキッとした力強い音が好みという場合は、Fastがおすすめ。より音の輪郭がシャープで引き締まったサウンドになるので、疾走感みたいなものがグッと増します。ロックやEDM、エレクトロ系を鳴らすならFastがいいです。

コンパクトに高品質高出力を持ち運ぼう。

R2Rの生っぽさとiBassoらしい力強いサウンド、そして高出力&MagSafe対応で、使いやすさと高音質を見事に両立したiBasso DC-Tonfa。話題性先行のコレクターズアイテム扱いではなく、iBassoの次世代ドングルDACの正統進化モデルとして純粋に推せる1台です。

細かい部分をいうと、付属のMagSafeケースの締め付けがやや緩めで、イヤホンプラグを挿し込むときに本体ごとズレてしまうのはちょっと気になりますね。用途的に一度着けたら外すことはそうないので、余白なくギチギチにフィットしてくれたら文句なしだったなあと。

とはいえ不満点といえばそれくらいで、同価格帯で比較しても音質、機動力、所有欲、全方位に120%応えてくれる名機だと思います。予算5万クラスでドングルDACを探している方はもちろん、スマホ再生を「オーディオ」に昇華させたい、かつビルドクオリティも妥協したくない方はこの機会にiBassoのポータブルDACでDACデビューはいかがでしょうか。

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