暗い建物や洞窟に入った瞬間、画面が白浮きして敵を見落とす問題……ありますよね。黒がつぶれると、索敵も地形の把握もワンテンポ遅れてしまう。そんなゲームプレイ中の黒つぶれをどうにかしたくて、ずっと有機ELに乗り換えるタイミングをうかがっていました。
ただ、引っかかっていたのが、ディスプレイの焼き付き。HPゲージやミニマップを出しっぱなしで、休日は何時間もぶっ通しで遊ぶタイプなので、なかなか踏み切れずにいたわけです(ビビりなもので…)。
そこで試してみたのが、BenQのMOBIUZシリーズ初のQD-OLEDモデル「EX271UZ」。4K/240Hzのスペックに加えて、焼き付きの保護、ゲームの“アートスタイル”ごとに画質を合わせる仕組みまで載っているとなれば、ゲーマーとしては試さない手はない。しばらくガッツリ遊び込んでみました。
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MOBIUZ新作、目玉は「ゲームアート」

4K解像度に240Hz、応答速度0.03ms(GTG)という土台は、いまやハイエンドQD-OLEDの定番スペック。ただ、EX271UZの面白さは、そうしたカタログ上の数字よりも“色の解釈”にあります。

「Sci-fi」「ファンタジー」「リアリスティック」と、作品の世界観に寄せたカラーモードを搭載。

専用ソフトのColor ShuttleをPCに入れておくと、ゲーム中にAlt+F10を押すだけでAIがアートスタイルを判別し、最適なモードへ自動で切り替えてくれるというもの。Sci-fiはハイライトの金属感を強め、ファンタジーは炎や光のグラデーションをなめらかに見せるといった具合に、モードごとに調整の方向がはっきり分かれています。
個人的に「おっ」となったのが、OSD設定の独自のプロファイルセット。
EX271UZは、入力端子ごとにALPHA、BRAVO、CHARLIE、DELTAという、4つの「シナリオ」があります。シナリオはビデオ入力とカラーモードを繋ぐ中間プロファイルのような存在。ゲーミングPCはSci-fi、PS5はファンタジー、Switch 2はリアリスティックといった具合に、入力を切り替えるだけで画づくりまで丸ごと入れ替わるというもの。

Sci-fiやファンタジーといったカラーモードは「ゲーマー1〜3」へ丸ごとコピーでき、そこからさらに色温度やオーバードライブ、彩度など自分好みにいじれる。暗部を明るくするLight Tunerや、6軸で彩度を触れる項目など用意されていて、凝りだすとキリがない……。ゲームごとにカラーを細かく追い込みたい派にはもう至れり尽くせりなわけです。
Sci-fiなどのゲーム向けモードは、小さな明部をグッと持ち上げる輝度制御が効く一方、カスタムモードでは白の明るさが一定に保たれる、などの特徴があります。攻略サイトやDiscordを開くたびに明るさが変わるのがプチストレスだったりするので、僕はブラウジング用の入力はカスタム固定に設定するなどしています。
「ガチ仕様」の端子が最小構成で鎮座
入力はHDMI 2.1が2基、DisplayPort 1.4、USB Type-Cの計4系統。

必要最小限ですが、どの端子でも4K/240HzのHDR表示まで出せるので価格に見合うだけの構成を備えています。ケーブル選びで悩まなくていいのは気楽です。また、Type-Cは最大90Wの給電にも対応していて、ノートPCならケーブル一本で映像と充電がまとまります。
けれども、ひとつ落とし穴が。Type-C経由で240Hzを出したい場合、USBデータ通信をUSB 2.0側に設定しておく必要があります。5Gbpsを選ぶと4K/120Hzまでに制限されるので、KVMでキーボードやマウスを共有しているなら、セットアップ時に一度確認しておきたいポイントです。
スピーカーは非搭載ですが、片方のHDMIがeARC出力に対応しているのは珍しいところ。対応するサウンドバーへDolby Atmosなどの音声をデジタルのまま流せるので、PCモニターというよりリビングのテレビ的な発想に近いですね。
OSDの各種操作が行える専用リモコンが付属するのもMOBIUZならでは。モニター本体のスイッチで操作するよりも遥かにラクですからね。あと、従来はボタン電池で電池交換が面倒だったんですけど、今回から単4形電池になったのが地味に嬉しい(電池は同梱されず、別途必要)。

スタンドは高さ100mm、上15度・下5度のチルト、左右15度ずつのスイーベルに対応し、動きはスーッとなめらかで狙った位置でピタッと止まります。縦回転には非対応なので、縦置きでチャット欄や配信画面を表示したいならVESA 100×100のモニターアームへ載せ替えるのが早いです。ネジ穴が若干奥まっているため、クイックリリース式のアームならスペーサーを用意しておくと安心。

肝心の有機ELパネルの焼き付き対策としては、ピクセルシフトやロゴ部分の輝度抑制、アイドルディマー(PS5で操作がないと画面が暗くなるのと同じような動作)など網羅しています。パネル裏は熱伝導率に優れるグラフェンシートで放熱を助けているうえ、焼き付きも対象の3年保証付きとくれば、心配性な自分でもようやく腰を据えて使えそう。
従来の「液晶」とは一線を画す色彩表現
「QD-OLED」いわゆる量子ドット有機ELですが、なんとなく良さげなのはわかるけど、「結局何のことなのかよく分からない」という人もいるでしょう。
簡単に説明すると、OLEDは、それぞれの画素が自ら発光する有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode)を採用したディスプレイを指します。数百万もの自発光する画素が、それぞれ赤・緑・青(RGB)の光を発することで映像を表示しています。
通常の液晶ディスプレイ(LCD)のようなバックライトを必要としないため、OLEDは理論上、ほぼ無限に近いコントラスト比を実現できてしまうわけです。そのため、OLEDの黒は「真の黒、漆黒」などと表現されるほど、深い黒を映し出すことができます。

一方、「QD」はQuantum Dot(量子ドット)の略です。量子ドットとは、半導体のナノ結晶で構成された層のことで、色の純度や鮮やかさを高めて、より豊かな色彩表現を実現する役割を担います。

そんなQD-OLED、2024年頃は最先端の技術でしたが、今ではさらに新しい技術が登場しています。最近話題になっているものの多くは、OLEDの明るさを向上させる技術にまつわるものです。
EX271UZはそのQD-OLEDモデルなので、液晶ディスプレイで気になるような白浮きの類はホントに無縁です。240Hzの視点移動はぬるぬるで、残像もほぼ感じない。ゲーム機を60Hzでつないでも表示遅延が増えにくく、PS5やSwitch 2ともこの上なく相性がいい。

対戦FPSでも、有機ELならではの切り替えの速さのおかげで、振り向きざまの敵の輪郭がくっきり残ります。同じ240Hzでも液晶とは明瞭さはまるで違うので、ストッピングした瞬間の敵の見やすさは段違いですよ。ぼくは「絶対24インチ派」みたいなガチ勢ってわけじゃないので、視線移動がギリギリ円滑にできる27インチの4K、QD-OLED、240Hzはもうこれ以上なくゲームの世界に没入できる……。

可変リフレッシュレート(VRR)は、OSDで「FreeSync Premium Pro」をオンにすれば有効になり、PS5なら4K/120HzでもVRRが使えます。画面の右上にリアルタイムのリフレッシュレートを表示できるので、VRRがちゃんと効いているかひと目でわかるのもGood。中央固定の赤いクロスヘアをOSDで重ねる機能まで備えているあたりは、さすがBenQだなと。
QD-OLEDならではの弱点もあるけど
気になる点で言うと、まず表面はグレア仕上げなので、明るい部屋では映り込みがそれなりに目立ちます。

照明が強いと黒が若干ピンクがかって見えるのもQD-OLEDの特性によるもの。加えてサブピクセルが三角配列のため、白背景の細かい文字にはうっすら色にじみが出ることがあり、攻略サイトの長文を読み込むときなどは気になるかもしれません。
あと、Type-C接続時にスリープから復帰せず初期不良かと思ったのですけど、本体側でシステムメニューの「USB-C復帰」をオンにしておく必要があるのでセットアップ時にチェック必須です。
定価は180,000円と、気軽に手が出る金額ではありません。それでも、ここまで“ゲームの色”に合わせた画質調整を作り込み、しかも保証まで手厚いモニターは、そう多くないのですよね。画質調整の自由度と焼き付き対策、どちらも抜かりのない一台だなと。
4K/240HzのQD-OLEDモニターは15万円前後が相場なので、差額はざっくり3万円ほど。その上乗せでSmart Game Artやシナリオ機能、焼き付きまでカバーする3年保証が手に入ると考えれば、納得感はあります。Amazonセール時は大きく値下がりするので、タイミングを狙うのも手です。実際に、現在開催中のAmazonプライム感謝祭で24%OFF、ざっくり4.4万円引きで手に入りますから。
対戦での見やすさも、作品ごとの色の再現も、どちらも妥協したくない人。焼き付きが怖くて、ずっと有機ELに踏み出せずにいた人。こんな人はぜひ「MOBIUZ EX271UZ」検討してみてはいかがでしょうか。QD-OLEDでゲームの世界が広がる感覚は、思わず歓声を上げたくなるほどの没入感を味わわせてくれます。

