様々な製品が溢れるポータブルスピーカー界隈に、新しい価値を持った製品が登場しました。それが「Sonos Play」。
従来モデルのRoam 2より大きく、Moveよりかなりコンパクトという、両者の中間にあたる立ち位置で“いいとこ取り”をしたSonosの新作スピーカー。
付属の充電ベースに乗せて家の中の定位置で使いつつ、必要に応じてベランダやバスルーム、寝室、キッチンへ持ち運ぶ──そういう日常導線のあらゆるシーンをこれ一つでカバーできるという製品です。
今回は、発売に合わせてSonosさんから声をかけてもらいサンプルを送ってもらいました。1ヶ月ほどじっくり堪能してみたので、良かった点や気になった点をレポートしていきます。
Sonos Playの外観と基本性能
Sonosが「ホームサウンドシステムで最も汎用性の高いスピーカー」と位置付けるPlay。本体は192 × 113 × 77 mm、重量は約1.3kgと、既存モデルのRoam 2とMoveの中間にあたるサイズ感です。一般的なポータブルスピーカーとしてはやや大きめのサイズ。

何といってもSonosスピーカーといえばこの美しい佇まい。無駄な装飾を廃したミニマルな筐体は、生活空間にもインテリアとして違和感なく溶け込みます。

天面には、音量、再生・停止、音声アシスタントの操作ボタン。

背面には、Bluetooth、マイクオン/オフ、電源の各種ボタンに加え、ライン入力に対応したUSB Type-C端子を搭載。別売のSonos Line-in Adapterを使用してターンテーブルと接続することもできます。

底面は滑り止めのラバー加工。淡いミントカラーがアクセントになっています。

そしてSonos Playの目玉となるのが同梱の専用充電ベース。

使い終わったらこの充電ベースに戻すだけで自動チャージがはじまり、Sonosアプリから即座に再生できる「常時待機」状態が保たれます。一般的なポータブルスピーカーのように「使うたびに電源を入れる、Bluetoothを繋ぎ直す」みたいな手間がなく、据え置きスピーカーに近い感覚で扱えるのが本機の真骨頂でもあります。

また、普段は単体のポータブルスピーカーとして使いながら、複数のSonos Playを連結して、ステレオペアリスニングやマルチルームリスニング環境に拡張することもできます。

本体はIP67等級の防塵防水なので、キッチンやバスルームなど水回りに置いても安心。Sonos独自の試験により落下耐性も担保されているので、外への持ち出し時も比較的ラフに扱えます。

Sonos Playを堪能してみる

というわけで肝心の音質です。角度が付いたツイーター×2基とミッドウーファー×1基に振動を最小限に抑えるデュアルフォースキャンセリング・パッシブラジエーターを搭載したステレオ構成のSonos Play。
ペットボトル大のボディから再生されているとは思えない芯から震えるような低音が印象的で、音量を絞った状態でも低音が体に伝わってきます。打ち込み系のキック音やサブベース(バンドだとバスドラムやタムのドコドコとした音)の臨場感がとにかく心地良い。輪郭も追いやすく、迫力重視でありつつも上質な低音という印象です。
それでいて中高域も埋もれることなく前に出てくれますし、ボーカルの分離感や艶感という意味でも同価格帯のポータブルモデルとしてはトップクラスだと感じました。

音場に関しては、かなり広く感じます。ポータブルスピーカーにありがちな直線的に音が迫ってくる窮屈な感じではなく、部屋の隅々までいっぱいに音が広がっていくような臨場感のあるサウンドです。この価格帯のスピーカーは色々聴いてきましたが、一番サイズと価格に対しての音のギャップを感じたかもしれません。
音楽だけでなく、映像コンテンツもチェックするべく、2台接続のステレオ環境で映画やスポーツも見てみました。なお、アプリで2台目を追加する際、1台目に接続済みのWi-Fiが自動検出・接続されます。

言うまでもありませんが、臨場感というか、音の包囲感は単体接続と比べて桁違いですね。
音が正面から迫るだけでなく、横にも上にも広がるような感覚で部屋中音に包まれます。「部屋の中でスピーカーを鳴らしている」という感覚ではなく、「映画の世界へ空間ごとワープしたような聴こえ方」といった方が表現としてしっくりきますね。
映画やドラマを再生すれば、シネマチックな「観後感」的なものが十分味わえますし、サッカーや野球中継の実況解説はもちろん、歓声や会場の臨場感みたいなものまでしっかり感じ取れます。

アプリから低音・高音・ラウドネスを個別に調整できるのもSonos製品ならではですが、今作のアプリの目玉機能になるのが「Automatic Trueplay」。

スピーカー本体に内蔵されたマイクで周囲の反響を検知し、置き場所に応じて30秒間に1度の周期で音を自動補正していくという機能。従来のように都度キャリブレーションを走らせる必要はありません。
それこそPlayのようにスピーカーの置き場所を頻繁に変えて楽しむ用途に向くモデルでは、Automatic Trueplayのような機能の恩恵が際立ちます。実際に部屋のコーナー、ダイニングテーブル、壁際など置き場所をころころ移しても都度サウンドがブレない。

シーンや楽曲に合わせて高音域と低音域をプラス/マイナス方向にそれぞれ10段階で増減したり、ラウドネスのオンとオフを切り替えられたりと、必要最小限のイコライザーではあるけどPlayの持ち味は十分活かすことができます。
見た目、音質、Automatic Trueplay、いずれも素晴らしいのですが、ここは惜しいなという部分が一つあります。それは、ステレオ再生を解除して単体使用に戻す際に、2台目の電源は完全に落とさないといけない点。
たとえば、AirPlayやSpotify Connect使用時にアプリ内でシームレスにステレオ再生と単体再生を行き来するってことができません(セットで読み込まれているので)。リビングでステレオ再生していて、1台だけ外へ持ち出すとなっても、片方はわざわざ電源を落とす必要があります。
ポータブルスピーカーとしてはもっと簡単に切り替えられる方法があれば良かったなと思ってしまいますね(1台使いなら関係のない話ですが)。
アプリからも接続解除はできるものの、そうすると今度はTrueplayが外れてしまいます。まあ細かい部分だと思いますが、せっかくの2台連携機能なのでお家オーディオ&ポータブルオーディオとしての使い勝手がますます向上したのになあと。
“持ち歩ける”高音質ホームスピーカー「Sonos Play」

据え置き型スピーカーの安定感と、ポータブルスピーカーの取り回しの良さを両立したSonos Play。
定価49,800円とワイヤレススピーカーに財布から出せる金額と考えるとたしかに安くはないです。とはいえ、単体で満足度の高いリスニング体験が得られるうえ、Sonos製品を買い増してシステムを拡張できることを踏まえれば、長い目で見たときのコストパフォーマンスは十分に高いと思います。
好きな場所にポンと置いたその瞬間から、Automatic Trueplayによってその場所の正解のサウンドにたどり着く。そして屋外にも持ち出せるBluetooth接続、24時間使い続けられるバッテリー、IP67のタフネスまで全部揃う。
Sonosの「ホームサウンドシステムをそのまま外へ持ち出す」という思想が、ポータブルという形でよくまとまった1台だと思います。まずはシングルで家の中の様々な場所に置いて実力を試していただきたいです。


