先日、『Macに“最適化”された4K27型モニター「BenQ MA270U」の実力は?』でも記事にしましたが、メインデスクにBenQのMac向け4Kモニターを購入してから気に入ってずっと愛用しています。
Macと調和するスタイリッシュな質感はもちろん、独自の「M-bookモード」や専用ソフトによる連携など、MacBookに最適化された同シリーズですが、なんとこの度待望の5K(70Hz)モデルがラインナップに加わりました。その名は「MA270S」です。
発売に合わせてベンキュージャパンより評価機材で検証できる機会を頂きましたので、使用感をレポートしていきます。
MacBookと親和性抜群のハードウェア
いきなりですが、まずデザインが良いんです。装飾を廃した画面周り、シルバーの質感や角丸のラウンド感など、同じ指向性を持った製品といった統一感、たしかにありますよね。

特徴は、台座前部のラバーパッド。

クラムシェルモード時のMacBookをこのパッドに載せることでキズがつきにくく、デスクに直置きせず済むため汚れ防止にもなります。あるいは、ワイヤレスイヤホンなどのガジェットを置くのにもちょうど良いスペースです。
ハードウェアのスペックは、27インチの5K解像度(5120 x 2880)、光沢パネルです。付属スタンドの可動域は上下へのかたむき(チルト)が-5〜20度、左右首ふり(スイーベル)が15度。くわえて90度のピボット回転も可能で、縦表示への切り替えにも対応します。

高さは最大115mmまで上げることができ、ディスプレイ真下にMacBookを配置しても表示領域に干渉しないよう設計されているのだそう。
スタンド同様に、画面背面もMacBookのスペースグレーと同系色のシルバー基調です。筆者は、普段からあえてデスクをアイランド配置にするくらいこの背面デザインが気に入ってます。

下部には「BenQ」のロゴが印字されていますが、同系統色なので主張は控えめ。

MacBook Proのベゼルと比べても大差なく、マルチモニター環境でもディスプレイ間のギャップや違和感も最小限です。

MacBookに限りなく近い色味と画質
「Mac向けモニター」と謳うだけあり、色味の一貫性は同社他モデルと比較しても一線を画します。くわえて、BenQモニターお馴染みの「M-bookモード」という独自のカラーモードに設定してしまえば、これだけMacBookの発色に限りなく近い色味がだせます。

「Mac推奨モデルと謳っているのに、いざ繋いでみると全然色味がちがう・・」なんてこともよくありますが、デフォルトの発色がMacBookそのものである上に、ちゃんと標準でそれ専用のモードが付いてるMA270Sに限っては、そんな心配は皆無なわけです。
さらに、Appleが策定したDisplay P3カバー率は99%(sRGBは99%カバー)、コントラスト比は2000:1、最大輝度450カンデラを誇っていますので、色合いや発色の精度に関してもかなり信用できます。

これより上の正確さを追求するとなると、一気に「数十万円の業務用カラーマネジメントモニター、もしくはApple純正のStudio Displayに選択肢が絞られるので、現実的に手が届く範囲でのベストな選択肢といえるんじゃないでしょうか。
くわえて作業用途に適した27インチ5Kですから、DaVinci ResolveやLightroomのような画面を大きく使うソフトでの視認性も申し分なし。すべての作業がこのモニター1台で完結します。
パネル処理は光沢仕上げのグレア(Nano Glossコーティング)。黒はより深みがあり、ハイライトはより鮮やかに、コントラストも本当に美しいです。グレアとノングレアどっちを選ぶかは使う環境と好み次第な部分ですが、5K対応含め現時点ではもっともStudio Displayを再現できているモニターといって差し支えないでしょう。

5K解像度だからWQHDがそのまま2倍スケーリング
従来のMAシリーズはすべて解像度が4Kでした。もちろん4Kでも十分滑らかなのですが、5K解像度(5,120×2,880)は密度が違います。

27インチの5Kモニターということで、1インチ当たりの画素密度でいうと218ppiとなります。同じ27インチでも4Kモニターの場合は、画素密度は163ppi止まりです。
対して、MacBookが採用しているRetinaディスプレイの画素密度は227〜254ppi。大きくても16インチなので、モニターのサイズに対して画素がみっちり詰まっているわけですね。
で、これと同等の画素密度を27インチサイズで叶えようとすると、5K解像度が必要になってきます。言い換えると、5KになることでMacBookでの見え方が真に再現されるということ。まさにMacBookの画面がそのまま広がったようなイメージです。
こちら、MacBookを異なる解像度のモニターに接続したときの見え方を表したもの。上から2K、4K、5Kです。5Kの鮮明具合と発光の明るさがよく分かります。

拡大すると、さらに5Kのクッキリ感がわかります。明らかに輪郭ディテールが鮮明ですよね。

色味はもちろん、画素密度でもMacBookと変わらない体験を実現できたのは、この5Kのおかげ。長時間使用時の目へのストレスという意味でもこれが地味に効いてきます。
それこそ作業用途だとMac側で表示領域をWQHDに設定している人も多いと思いますが、5Kならそのまま2倍のスケーリングが可能なんですよ。高密度かつ、作業用途にベストバランスの表示領域が手に入るというのも4Kから5Kに乗り換える上でのかなり大きい恩恵ですね。

ケーブル1本でMacとつながるシンプルさと高い拡張性
MA270Sの端子類はモニター背面に。HDMI 2.1が2口のほか、Type-CやType-A端子も充実。Thunderbolt 4ケーブルでMacBookと接続した場合は、MacBookへの充電と映像出力をケーブル1本で完結できます。

出力65W止まりのモデルが主流の中、最大96Wで給電できるのは16インチMacBook Proユーザーにとってもありがたいポイント。

他のUSB端子に外付けSSDやスマホの充電ケーブルを繋げば、USBハブなしでワークスペースをゆったりと確保できます。HDMI端子も2つ付いてるので、コンソールゲームやデスクトップPCなんかも接続できます。これだけ発色がいいモニターですから、Mac以外のデバイスでも活用したいですよね。
あらゆる設定変更をMacBookから
そして最近のBenQモニターではお馴染みの専用画面設定ソフト「Display Pilot 2」。
解像度や明るさ、HDRや自動ピボットの有無といったディスプレイのあらゆる設定を、画面上でコントロールできるというものですが、これが本ッ当に便利なんですよ。

従来はモニター本体に手を伸ばして物理ボタンでカチカチ操作して色味をいじってましたが、MA270Sはカラーモードやコントラストなどふくめ全て画面上で直接操作できるようになっています。
その他、MacBookのキーボード操作での輝度や音量変更にMA270Sを連動させられる「iKeyboard Control」や、周囲の明るさを自動検知し、モニターの輝度を自動調節するVisual Optimizer機能にMacBookが連動する「Brightness Sync」、MacBookのモード変更時にブルーライトやオーディオ調整など丸ごと変えられる「FocuSync」など・・これでもかというくらいMacBookとの連動性に拘り抜かれています。
内蔵スピーカーの音質は・・
MA270Sはスピーカーを内蔵しているため、PC側の音声を出力させることもできます。

しかしながらスピーカー性能は一般的な3W × 2のステレオスピーカー。2.1chスピーカー内蔵のEWシリーズなどと比べても音はお世辞にも良いとはいえません。
MacBookの内蔵スピーカーの方がふつうに音質は上なので、スピーカーの出力先だけMacに戻しておくのがいいかなと。

編集で音の細部を確認したり、映画やゲームを迫力あるサウンドで楽しみたいという場合は、別途スピーカーやヘッドホンを挿して音を取るのが間違いないでしょう。
27インチモニターの完成形

Thunderbolt 5に対応していないのは唯一残念ですが、総合的には現時点での27インチモニターの完成形といっていいんじゃないですかね。かれこれ7年くらいPCモニター市場を追ってきましたが、5Kのグレアパネルモデルみたいな、少し前まで選択肢すらほぼなかったモデルが今や10万円台で迎えられるようになったというのは感慨深い…。
画素密度の高さによる「ほぼMac」な見え方、文句なしの色表現、機能的なソフトウェア。そして何より、MacBookと並べて様になる洗練された佇まいですよね。この点でBenQのMAシリーズは別格です。
MacBookやMac mini向けに長く使えるこだわりのモニターを迎えたいという人はぜひ「MA270S」、選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。


