ゼンハイザー初のイヤーカフ型イヤホン『ACCENTUM Clip』が出色の完成度だった。

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ブランド創立から80周年を迎えた、ゼンハイザー。2018年から参入した完全ワイヤレスイヤホンのカテゴリーも、毎年のように新製品をリリースしています。

近年のワイヤレスイヤホンは、ながら聴き(オープンイヤー)がトレンド。そんななか、ゼンハイザーに足りなかったあのスタイルがついに登場です。

ゼンハイザーから、満を持してのイヤーカフ型

あのゼンハイザーから、イヤーカフ型のワイヤレスイヤホン「ACCENTUM Clip」が出ました。ゼンハイザーといえばカナル型やインイヤー型、ワークアウト特化のスポーツモデルなどを手掛けていましたが、イヤーカフ型はこれが初めて。音質に愚直なゼンハイザーが、音質表現が難しいイヤーカフ型のオープンワイヤレスを出してくるとは…!

形状は定番のクリップ式。クリップ部分は柔軟性があり、サラっとしたシリコン素材で耳にも優しい手触りです。独自のAIノイズリダクションアルゴリズムにより、オープンイヤーで心配な音漏れ対策も抜かりナシ。操作はタッチ式。マルチポイント接続、片耳接続、IP54の防塵・防滴性能と、これは欲しいよねという機能が網羅されています。

意外なところだと、ゼンハイザーのワイヤレスイヤホンでは初めてLDACコーデックに対応しました。これまでaptX AdaptiveやaptX Lossless対応はありましたが、ソニー由来のLDAC対応は今回が初めてです。

装着は、耳のくぼみにボール状のスピーカー部分を、そして円筒形のバッテリー部分を耳の後ろ側に回して装着するスタイル。

装着感、かなり良いです。クリップとはいえ、“耳たぶを挟んでいる”というより、“耳にぶら下がっている”という表現の方がしっくりきます。

柔らかな素材で優しくフィットするようにできているので、イヤーカフ特有のしめつけ感みたいなものはほぼありませんし、4〜5時間つけっぱなしでも痛くならず快適に使えました。耳の形や大きさによってしっくりくる位置が違うので、初めて装着する際に快適な位置を探ります。筆者はブリッジ部分が耳の下側に来るように装着しているのですが、人によっては上の方だったり、横の方だったり。ベストポジションが見つかれば、つけていることを忘れるほどの軽やかな装着感です。もちろん、走っても飛んでも、首を激しく振っても外れません。

イヤーカフ型イヤホンにおける構造的弱点といえば、やはり“低域不足”が挙げられるわけですが、そこはさすがゼンハイザー。イヤーカフ型特有のスカスカ感のようなものは一切なく、カナル型で聴いている感覚とほぼ同じゼンハイザーサウンドで鳴らしてくれます。

ゼンハイザーのイヤホンは7mmのダイナミックドライバーを採用することが多いのですが、ACCENTUM Clipは抜けがちな低音を補うために12mmのドライバーを採用しています。パワフルな低音は大口径化の影響が何より大きいかも。

この手の“ながら聴き”イヤホンに、そもそも音質面はそこまで追い求めないという人も多いと思いますが、ACCENTUM Clipは良い意味で想像を超えてくる。低音の量感だけでなく、高音がとにかくクリア。LDAC再生なら、ボーカルの息づかいやハイハットの繊細な響きなどさらに明瞭になり、立体感や臨場感みたいなものも断然増しますね。

もちろん、周囲の環境音もしっかり聞こえるので、イヤホンをつけたままでもスムーズに会話ができるのも大きな魅力。ただ、音が良くて気がそちらに向いてしまうせいか、以前使っていた製品と比べると、話しかけられても気づきにくい瞬間がありました。でも、そんな時は本体をサッとタップすれば再生が止まるので、スマートに対応できます。

イヤーカフで大事になる音漏れ対策も抜かりなく、電車や少しガヤガヤしたカフェくらいなら周囲を気にする必要はほぼなくリスニングを楽しめました。このあたりは、音を耳に正確に届ける独自のジオメトリー設計と内部ダンピング構造が明確に活きています。公式によると、不要な音の拡散を抑えて、周囲への音漏れを最小限に抑制する構造なのだそう。

筆者はイヤーカフイヤホンを装着して朝食を準備しつつ、ポッドキャストを聞き流しながらゆるゆると身支度をするのが朝の日課ですが、つけっぱなしでいてもバッテリーがしっかり持つのはありがたいところ。最大9時間(ケースを含めれば最大約36時間)の駆動時間があるので、もしそのまま外出しても安心。

たまに充電を忘れてしまっても、10分の急速充電で約2時間使えるのも、忙しい日々の中では助かるポイントです。LDAC再生時はSBC/AACに比べてバッテリーの減りが幾分早くなりますが、体感2割程度かなという感じでほぼ気にならないレベル。(ワイヤレス充電対応ならなお良かった・・)

あとはやはり左右の区別がないのは良いですね。どちらの耳に装着されたかを自動で検出してくれるので、左右を気にせずサッと耳にかけられます。イヤホンを取り出すたびに「あれ、どっちが右だっけ?」と確認する手間が一切ありません。ケースに戻す時も、どちらに入れてもOK。この小さなストレスフリーさが、地味に効いてくるんですよ。またイヤホン自体がぼってりと大きめなので、ケースから取り出しやすく、耳から外すときも指がかかりやすいのも好印象。

マルチポイントで2台のデバイスに同時ペアリングできるのも、スマホとタブレットをシームレスに切り替えたい筆者には手放せない機能。専用アプリ「Sennheiser Smart Control」を使えば、“AとBの音を聴き比べて好きなほうを選ぶ”、という操作を繰り返すだけで好みのチューニングが組み上がる機能や、基本的な5バンドのイコライザー、操作方法のカスタマイズも可能。独自の紛失防止機能もついています。

音質準拠で選べる“本気”のイヤーカフイヤホン

イヤーカフ型なのでノイキャンは無し。だからこそジョギングや家の中でも使いやすく、ライフスタイルを意識したACCENTUMのコンセプトともうまく噛み合っていると思います。価格は35,200円(税込)。イヤーカフ型としては強気の価格設定ですが、ゼンハイザーらしい安定したサウンドは受け継がれています。

筆者自身これまで数々試してきましたが、イヤーカフ型イヤホンとしては間違いなくトップクラスですし、ハイエンド系でLDACに対応しているものもめずらしいですね。

呼びかけやインターホンに気がつけるというのはもちろんなのですが、家の外から届く人の気配や車の走行音など、リアルな環境音がほどよく耳に入ってくる感覚が心地よいんです。そのうえで、さりげなくゼンハイザーの上質な音のレイヤーが重なってくる。「耳をふさがないこと」の快適さやカナル型に引けを取らない音質は、数字やスペックでは語りきれないものがあります。

これまで「音質がちょっとな・・」とイヤーカフ型をスルーしていたような “こだわり派ユーザー” にも、音質で選べるイヤーカフ型イヤホンの新星「ACCENTUM Clip」ぜひ試してみて欲しいです。

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