老舗オーディオメーカーJBLが実現した「完全ワイヤレスイヤホン界の革新」といえば、そう、バッテリーケースへの液晶タッチパネル内蔵ですよね。
そんなJBLの完全ワイヤレスイヤホンにおけるフラッグシップモデルの最新機種が「TOUR PRO 3」。
先代モデルの「TOUR PRO 2」やエントリーモデル「LIVE BUDS 3」を使っていたことがありますが、音質としてもガジェットとしても高い完成度に満足していました。が、それをさらに上回るときたら、期待しないわけにはいかない。
ということで、今回はJBL TOUR PRO 3を先代モデルと比較を交えながらレビューしていきます。
まずは外観。TOUR PRO 2からの変更点は?
さっそくTOUR PRO 3の外観を見ていきます。まず目につくのはもちろんケース内蔵のディスプレイですが、TOUR PRO 2から約30%大きくなり(1.57インチ)、よりタッチ操作しやすくなっています。

カラーは「ブラック」と「ラテ」の2色から選べます。ブラックは無難にスタイリッシュで高級感のある印象で、ラテはホワイトゴールドにややピンクっぽさが混ざったようなカラーリングといった感じ。

ケースの筐体やデザインついては、TOUR PRO 2をそのまま踏襲しています。並べてみるとこのとおり瓜二つ。

例によって、この液晶タッチパネルからバッテリー残量表示のほか、「再生・停止・戻る・進む」などの曲操作、ボリューム調節、イコライザーや空間サウンドの設定など、あらゆる操作が行えます。

もちろん専用アプリからも各種操作が可能ですが、JBLの液晶付きイヤホンにかぎってはこの「ケース単体ですべての操作完結するよ」というのが醍醐味なわけです。正直はじめは「ほんとに実用上必要なの?」とか思ってましたけど、いざ慣れるとふつうのケースに戻れなくなるような便利さがたしかにあるんですよね。

なかでも重宝するのが、「移動中に1〜2分間の予告ムービーやライブ映像をサクッと見たい」といったシーン。ディスプレイからSpatial Soundのムービーモードをオンにすることで、スマホ上で起動中のアプリをスワイプすることなく、すぐさま臨場感たっぷりの音にシフトできます。地味ながらスマートディスプレイの恩恵を一番感じる瞬間。
そして、背面には充電用のUSB Type-Cポート。10分の充電で3時間再生できる急速充電にも対応しています。

TWSで重視されるバッテリー性能ですが、イヤホン単体で最大8時間、ケースをふくめ最大32時間(ともにANCオン時)と、再生可能時間は前モデルから変わっていません。もちろん、ワイヤレス充電対応。
また、2台のデバイスに同時接続できるマルチポイントにも対応。「マルチポイント有効時に肝心のLDACがつかえない」というモデルもけっこう多いなか、これらを併用できるというのもJBL製のアドバンテージ。Android複数台持ちユーザーにもやさしい設計です。

イヤホン本体は、ビーンズ型とショートスティック型で形成されたハイブリッドデザイン。こちらも旧モデルから大きな刷新はありません。TOUR PRO 2と比べると、マイクの位置など若干違いはあるもののぱっと見だとどっちがどっちかわからないくらい酷似しています。

4万円クラス屈指の音響・遮音性能
LDACに対応しただけでなく、ダイナミックドライバーと中〜高音の表現に優れているBAドライバーのハイブリッド構成(JBL初)ということで前モデルから大幅にパワーアップしたTOUR PRO 3。

実際に1週間聞いてみたところ、JBLらしいパワフルかつフレッシュな音作りは健在で、解像感や音の粒立ち感は前作から大幅に進化している印象。LDACに対応したことでキツさが取れた抜け感のいい高音、ツヤ感たっぷりにボーカルが響く中音、ベースやキックドラムがタイトにキレよく響く低音…すべての帯域において「4万円クラス」では卓越してると感じます。
特筆すべきは、高域のクリアさ。一聴してすぐにわかるくらいTOUR PRO 2と比べて解像度やレスポンスがかなり向上しているなと…。従来機ではややアンマッチ感が否めなかったクラシックやジャズなんかも今作は相性がいいと感じました。
そして、音質以上に進化してるのがノイズキャンセリング。
実際に数日屋外で使ってみたところ、ゴーっと低くひびく電車の走行音や、日常のロードノイズはガッツリかき消してくれます。特に風切り音や人の話し声みたいな「高域帯のノイズ制御」はTOUR PRO 3になってかなり向上したように感じます。

そもそものパッシブの遮音性も高いこともありロードノイズに対しての遮音性はそうとう優秀なので、逆に公共空間では周りの状況に積極的に気をくばる必要はあるほど。反面、「通学や通勤時に決まった環境で習慣的に音楽を聴く」という人には、この上なく没入できるTWSでしょう。
あとこれはJBLイヤホンで共通する良さですが、ノイキャン時のホワイトノイズの類が皆無なんですよね。無音の状態で付けていてもサーっみたいなノイズがのらないので、カフェでの作業時や屋外などでは単に耳栓としても活躍してくれます。

またTOUR PRO 2同様、本体のスマートディスプレイだけでなく、専用アプリ「JBL Headphones」から各種設定が可能。サウンドモードやイコライザー設定(10バンド各±7dB)、タッチ操作のカスタマイズ、通話イコライザーなど…ペアリング後にアプリ内で設定できる項目は多岐に渡ります。


そのほか、個々の装着状態に音質を最適化する「Personi-Fi 3.0」や、ムービー・ミュージック・ゲーミングの3種類から選択できる3Dオーディオ(Spatial Sound)など、老舗オーディオメーカーならではの機能も充実。ディスプレイの輝度や壁紙、常時表示するショートカットの設定などもこのアプリから可能です。
進化したJBL最上位ワイヤレスイヤホン「TOUR PRO 3」
JBL初のBA+10mm径ダイナミックのハイブリッド・デュアルドライバー構成かつ、待望のLDACに対応したTOUR PRO 3。
音質以外でも強力なノイズキャンセリングをはじめ、Bluetooth機能が備わっていないパソコンでも、ケースと付属のケーブルをつなげることでBluetooth接続ができるトランスミッター機能をそなえるなど多方面にアップデートされています。
価格的にはハイエンドの位置付けになりますが、まちがいなく今後のTWSの基準を一段階上げる名機なので、予算3、4万円で音質と機能性を両取りしたTWSを探している方はぜひこの機会にいかがでしょうか。