4K短焦点レーザー光源のホームプロジェクター「BenQ TK710STi」レビュー

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映画館気分を味わいたいときにはプロジェクターの出番。

コンパクトで高性能なモデルが増えたここ数年、一家に一台のエンタメデバイスとして一気に浸透した感がありますよね。かくいう我が家も、映画にテレビ番組、ゲーム、音楽…まとめてプロジェクター一台で楽しんでいます。

中でも、4Kなら60Hz、フルHDなら240Hzの高リフレッシュレートで駆動し、部屋が明るくてもシャキッとした映像を堪能できるBenQのゲーミングモデル。

今回はそんなTKシリーズの最新モデル「TK710STi」を3週間お借りできたので、レビューしていきます。

映画にテレビ番組、ゲーム、音楽…1台でまとめて楽しめる家庭用プロジェクターを探している方は必見ですよ。

ベンキュージャパン
目次

BenQ TK710STiの外観と基本性能

DLPプロジェクターというカテゴリで10年以上世界トップシェアメーカーのBenQから発売された短焦点モデルの4Kプロジェクター「TK710STi」。主なスペックや特徴は以下のとおりです。

  • 解像度:4K UHD 3840×2160
  • 輝度:3200 ANSI ルーメン
  • 色域:Rec.709 カバー率95%
  • コントラスト比:600,000:1
  • 1.5mから100インチ投影が可能な短焦点モデル
  • 1080p@240Hz・応答速度4.16msのゲーミング性能
  • Netflix標準対応
  • 価格 147,970円(執筆時Amazon価格)

さっそく内容物から。紙類をのぞいてプロジェクター本体、リモコン、AndroidTVドングル(内蔵)、電源アダプタと、箱の中身は必要最小限です。

以前レビューした同ゲーミングモデルの「X300G」は巨大なアダプタ付きでしたが、今モデルは本体に電源を内蔵しているのでアダプタ要らずでスマートに設置ができます。

いわゆる一般的なホームプロジェクター形状に、高級感漂うパールホワイトデザインが目を惹くTK710STi本体。

大きさは約304mm×253mm×112mm(幅×奥行き×高さ)と、4K短焦点モデルにしてはコンパクトにまとまっています。ちょうどA4大のサイズ感です。

そして天面には操作ボタン類。

ここからメニュー画面の操作、カーソル移動などひととおりできますが、本機はリモコン操作にも対応。以前レビューした「HT3550i」はプロジェクター用のリモコンとAndroid用リモコンの2つ付属していましたが、TK710STiは一つのリモコンで済むのが嬉しい。もちろん音声アシスタントにも対応しています。

背面には各種インターフェース。HDMI-1 (2.0b/HDCP2.2)、HDMI-2 (2.0b/HDCP2.2)、USB Type-A-1 (2.0/1.5A給電)、RS232入力(9ピン)。

二系統あるHDMIはどちらも4K 60Hzに対応し、うち一つは7.1chやドルビーアトモスをサポートするeARCにも対応しています。

レンズ側には、焦点を調整できるフォーカスダイヤルとズームレバーをそなえます。

家庭用プロジェクターでズーム機能(約1.2倍)が付いているものはめずらしく、投影距離が満足に確保できない環境下でもレバーひとつで画面拡張できるのが便利なところ。

底面にはスクリュータイプの足が3つ。フロント側に1つ、リア側に2つです。それぞれ回転させることで、高さと角度を微調整できます。

BenQ TK710STiを使ってみる

というわけで、6畳書斎の白背景にドカーンと投影してみました。3週間BenQ TK710STiを堪能してみたので、良かった点、気になった点などまとめていきます。

とにかく明るく、高精細な映像

Rec.709 カバー率95%、明るさ3200ANSIルーメン、3840 × 2160の4K UHD(ウルトラHD)の高画質と、現行の家庭用プロジェクターとしては最高クラスの投影性能をほこるTK710STi。

明るい日中に、カーテンを閉めた状態で投影した様子

先日レビューした「X300G」は2000ANSIルーメンなのでさらにその上の値ですが、さすがに3000ANSIルーメンを超えてくると段違いに明るいですね。

日中の一番陽光が差し込む時間帯でも、カーテンを閉めれば映画や動画視聴なら全然問題ないですし、それこそ夕方以降に投影するともはや液晶テレビ以上では?と言いたくなるくらい鮮明で明るいです。

夕方以降なら「液晶テレビ並み」の明るさ

明かりを落とした環境下ではむしろギラギラ眩しいくらいなので、わが家では時間帯にかかわらずあえてエコモードで明るさを落としちゃってます。もちろん段階的な明るさ調整もできますし、彩度や色合いなんかも自分好みにカスタマイズできます。

「カラーマネジメント」では細かい色味調整も。

少し寄ってみました。さすがHDR10対応というだけあって、動画再生中でもディテールの輪郭をこれだけはっきり描写できます(感動…!)。

動画再生中に細部をアップにして撮影。ディテールまで滲みがほとんどない

そもそものコントラスト比が「600,000:1」とケタ違いなので、全体的に白がきちんと白く、黒がしっかり黒い、メリハリの効いた発色になっています。輪郭の色にじみや、斜めの線がギザギザになるジャギーも肉眼でふつうに視聴する分にはまったく気になりません。

まあ価格を考えれば当然ですが、そんじゃそこらの家庭用プロジェクターとは違って「本気の一台」って感じがひしひしと伝わってきますね。

1m30cm離せば100インチ超の短焦点投影

映像の美しさだけでなく、基本となる投影性能も手抜かりがないBenQ TK710STi。

最大投影サイズは120インチ対応であり、今回は6畳の書斎の壁から壁、1.5mほどの投射距離で約100インチの投影ができました。

「1.5m」から距離を離すと、その距離に応じて画面サイズが大きくなる反面、少しずつ輝度が落ちていくイメージ。なので確保できるスペースにかかわらず、100インチ程度の投影がベストバランスといった感じでしょうか。それでも一般的な40〜50型テレビの倍の画面サイズですから、大迫力には違いありません。

また、台形補正(キーストーン)は垂直(タテ)方向のみ自動対応。若干のタイムラグがありますが、誤認識はなくしっかり補正してくれます。水平(ヨコ)方向も、手動で細かく位置調整できます。

一方、ピントを自動で調整するオートフォーカス機能は非搭載なので、ズームレバー横のフォーカスレバーから手動でのピント調整が必要になります。

X300Gなどポータブルタイプのように設置場所をころころ変える機器には必須のオートフォーカスですが、基本的に一度ボンと置いたらそこからポジションを変えない据え置き型は一回ピントを合わせれば後からいじるってことがないので、あえて省いているものだと思います。

ちなみに、同社ゲーミングモデルの「X Series」で比較対象になるX500iですが、本機との大きな違いは「光源」にあります。

LED光源のX500iに対しより鮮明に投影できるレーザー光源を採用するTK710STi

X500iはLED光源なのに対し、TK710STiはより鮮明かつ明るく描写できるレーザー光源を採用(BenQ初なのだそう)。長寿命かつ安定した光源のため、LED光源のような劣化による色ムラや輝度の低下を気にすることなく永く使い続けることができます。

1080pで240Hz、応答速度4.16ms

モニターと違って内部でさまざまな映像処理が必要になるプロジェクターは、本来ゲーム機からの信号を映像として出力するまでにラグが生じてしまいます。ゆえに、モニターのようなリフレッシュレートや応答速度を実現するのは難しいわけです。

ところがTK710STiなら、4K/60Hz1080/240Hzの高リフレッシュレートに対応し、一般的なハイエンドプロジェクターの2倍以上の応答速度を実現しています。

各動作時の応答速度

  • 16.67ms: 4K/60Hz動作時
  • 16.67ms:1080p/60Hz 動作時
  • 8.3ms:1080p/120Hz動作時
  • 4.2ms:1080p/240Hz動作時

瞬時の操作性が求められるVALORANTを実際にフルHD・高速モードで起動したところ、十分な応答速度かつ低遅延で快適にプレイできました。やはり240Hzだとかなり滑らかで、カクつきや残像感の類はまったく感じないですね。

それこそ僕みたいなライトユーザーがカジュアルに遊ぶ分には、モニター時と比べて何ら遜色なくプレイできる印象(視線移動の限界はさておき…)。まあ対人プレイよりバイオハザードみたいな対CPUのゲームにこそ適しているのは間違いないですが、いずれにしてもプロジェクターでここまで遊べる時代がきたってことに感動しちゃいますね。

で、極めつけはRPGモードでオープンワールドゲームをプレイしたときの没入感・・。

大画面はさることながら、息をのむほど映像がうつくしいんですよ。まるで自分がゲームの世界に飛び込んだような錯覚を覚えるというか、見慣れているはずのゲーム画面でも思わず見入っちゃいます。

時には雄大に広がる自然の景色を楽しみ、時には画面いっぱいの巨大なボスとの対戦に身を投じ。もう常時めちゃくちゃ楽しいです。

やはりオープンワールドゲームこそTK710STiの良さを最大限発揮できるなと・・。

Android TV搭載、Netflixにも完全対応

付属のワイヤレスドングル(QS02)をセットすることで、最新のAndroid TVが利用できるTK710STi。

各種操作はもちろん、ストリーミングサービスで映像作品を楽しむ際に非常に使いやすいUIになっています。

そしてOS周りで何よりうれしいアップデートが、Netflixに正式対応したこと。

Netflixユーザー歓喜

従来は、サードパーティのアプリを介すか、Fire TV stickを挿し込む(もしくはミラーリング)しか視聴の術がなかったNetflix。ホーム画面からダイレクトで起動できる上、サードパーティのアプリに比べて動作も改善され格段にユーザビリティが向上しています。

視聴時のレスポンスも良好

そのほかAmazon Prime Video、Hulu、Disney+、U-NEXT、AbemaTV、Apple TV、Spotifyなど、主要なストリーミングサービスが視聴可能。また、リモコンボタンから音声入力にも対応しています。

音圧は期待以上。ただし・・

どれだけ大画面、高精細に投影ができても、プロジェクター本体から鳴る音がチープだとしたらそれだけで臨場感は半減してしまいますよね。

その点TK710STirは、5Wが1基のモノラル仕様ではあるものの、そんじゃそこらの低価格帯のプロジェクターと比べれば「音圧」という点では満足度はめちゃくちゃ高いです。

一方で、「空間表現」的な部分はデュアルスピーカー仕様のX500iと比べるとやや物足りない印象。部屋全体に音が広がる感じというか、「シアターチックな立体感」みたいなものは正直そこまで期待できないので、そのあたりに拘る人は外部スピーカーなどに接続することをおすすめします。

個人的には別途外部スピーカーを用意するほどではないかなという感じで、3週間のレンタル期間中TK710STi単体で十分楽しめました。

本体設定からのカスタマイズ自体は充実しており、いくつかあるプリセットから視聴するコンテンツに応じて最適化したり、イコライザー設定で帯域別に細かく音響調整することもできます。

豊富なサウンドモード。カスタム設定から帯域ごとの細かい調整も

2025年、家庭用プロジェクターの大本命

壁一面の大画面でオープンワールドゲームの世界に飛び込むもよし、ガッツリFPSやアクションゲームを遊ぶもよし、もちろん映画鑑賞もこれ以上ない高画質で楽しめる。そんなオールインワンプロジェクターBenQ TK710STi

従来のXシリーズを初めて体験した際も感じましたが、これからのゲームの遊び方、動画コンテンツの視聴に革命を起こすんじゃないかと感じますね。(自宅で使うエンタメデバイスとして約15万円という価格は決して安くないですが・・)

目玉のゲーミング性能はもちろん、日中でも楽しめる高輝度かつ精細な映像、迫力のサウンド、さらにはNetflix公式収録のAndroid内蔵と、多様化するユーザーの要望をまとめてカバーする一台。新しいプロジェクターライフを模索しているという人は、ぜひTK710STiを検討してみてはいかがでしょうか。

ベンキュージャパン
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