先日『BenQハイエンドプロジェクター「X3100i」。映画もゲームも最高の体験に』でも紹介した、BenQの4Kゲーミングプロジェクター「X Series」。
今回は、3モデルある中の最もコンパクトなポータブルモデル「BenQ X300G」を1ヶ月間お借りできたのでレビューしていきます。
映画にテレビ番組、ゲーム、音楽…1台でまとめて楽しめる小型プロジェクターを探している方は必見ですよ。
BenQ X300Gの外観と基本性能
DLPプロジェクターというカテゴリで10年以上世界トップシェアメーカーの「BenQ」から販売されている、ポータブル型4Kゲーミングプロジェクター「X300G」。主なスペックや特徴は以下のとおりです。
- 解像度:4K UHD 3840×2160
- 輝度:2000 ANSI ルーメン
- キューブ型のコンパクト設計
- 1080p@240Hz・応答速度4.16msのゲーミング性能
- Netflix標準対応
- 自動縦横回転補正付き
- 価格 280,000円(執筆時Amazon価格)
さっそく内容物から。紙類をのぞいてプロジェクター本体、リモコン、AndroidTVドングル、電源アダプタと、箱の中身は必要最小限です。
いわゆる一般的なプロジェクター形状とは少し違い、キューブ型のデザインが特徴的なX300G本体。X Seriesに共通していますが、このアクリルコーティングされたフロントがまたカッコいいんですよね。
「ポータブルプロジェクター」というだけあり、サイズは212×180.9×194.8mmとかなりコンパクト仕様のX300G。ただし4Kモデルなので、約3kgとそれなりにズッシリしていますし、「カバンに入れて外へ持ち出す」みたいな使い方はちょっとキビシイですね。
そして天面には操作ボタン類。
ここからメニュー画面の操作、カーソル移動などひととおりできますが、本機はリモコン操作にも対応。以前レビューした「HT3550i」はプロジェクター用のリモコンとAndroid用リモコンの2つ付属していましたが、X300Gは一つのリモコンで済むのがうれしい。
左サイドには各種インターフェース。USB-A、HDMI2.0b、USB-C DPの3ポートとシンプルな構成ながら、必要な端子をひと通りそなえています。
外部からの接続は基本的にHDMI接続がメインで、スマホやSwitchはUSB-C DPから繋ぐことで充電もいっしょにできます。
ちなみに、上位機種にあたる「X3100i」には、本体自体にフォーカスやズームのためのレバーが付いていましたが、X300Gは「すべて自動」もしくは「リモコンから手動操作」することで焦点調整が可能です。
もちろんチルトスタンドも丈夫なものがちゃんと付いてます。
ヒンジがかなり堅牢なつくりで、安定感も十分。最大まで引き出すと、これだけアングルがつきます。
BenQ X300Gを使ってみる
というわけで、6畳書斎の白壁にドカーンと投影してみました。3週間ほどBenQ X300Gを堪能してみたので、良かった点、気になった点などまとめていきます。
どこまでも明るく、高精細な映像
3LED光源、明るさ2000ANSIルーメン、3840 × 2160の4K UHD(ウルトラHD)の高画質と、現行の家庭用プロジェクターとしては最高クラスの投影性能をほこるBenQ X300G。
先日レビューした「X3100i」は3300ANSIルーメンなのでさらにその上の値ですが、さすがに2000ANSIルーメンまでくると正直肉眼ではほとんど差がわからないレベルですね。
日中の一番陽光が差し込む時間帯でも、カーテンを閉めれば映画や動画視聴なら全然問題ないですし、それこそ夕方以降に投影するともはや液晶テレビ以上では?と言いたくなるくらい鮮明で明るいです。
明かりを落とした環境下ではむしろギラギラ眩しいくらいなので、わが家では時間帯にかかわらずあえてエコモードで明るさを落としちゃってます。もちろん段階的な明るさ調整もできますし、彩度や色合いなんかも自分好みにカスタマイズできます。
少し寄ってみました。さすがHDR-Pro対応というだけあって、動画再生中でもディテールの輪郭をこれだけはっきり描写できます(感動)。
X3100iもそうですが、そもそものコントラスト比が「600,000:1」とケタ違いなので、全体的に白がきちんと白く、黒がしっかり黒いメリハリの効いた色味といった感じ。輪郭の色にじみや、斜めの線がギザギザになるジャギーも肉眼で普通に視聴する分にはまったく気になりませんしね。
まあ価格を考えれば当然ですが、ポータブル化された廉価モデルといえどそんじゃそこらの家庭用プロジェクターとは違って「本気の一台」って感じがひしひしと伝わってきますね。
1.5mの距離から100インチ超の短焦点投影
映像の美しさだけでなく、基本となる投影性能も抜かりないBenQ X300G。
最大投影サイズは120インチ対応であり、今回は6畳の書斎の壁から壁、1.5mほどの投射距離で約100インチの投影ができました。
「1.5m」から距離を離すと、その距離に応じて画面サイズが大きくなる反面、少しずつ輝度が落ちていくイメージ。なので確保できるスペースにかかわらず、100インチ程度の投影がベストバランスといった感じでしょうか。
オートフォーカス・自動縦横回転も搭載し、ともに補正時のラグや誤認識はなくきっちり補正してくれます。なので画面まわりの調整はほぼX300GまかせでOK。
また、ゲーミングモデルでありながら光源は目にやさしいLEDを採用していることもX Seriesの特徴。一般的なレーザー光源に比べて動作音も静かですし、いざ動画を見始めてしまえば冷却ファンふくめ動作音はほとんど気にならないと思います。
1080pなら240Hz・4.16ms出せる
そして「ゲーミングプロジェクター」であるX300Gの最大の特徴は、プロジェクターらしからぬ脅威のゲーミングスペック。
モニターと違って内部でさまざまな映像処理が必要になるプロジェクターは、本来ゲーム機からの信号を映像として出力するまでにラグが生じてしまいます。ゆえに、モニターのようなリフレッシュレートや応答速度を実現するのは難しいわけです。
ところがBenQのX Seriesなら、4K/60Hzや1080/240Hzの高リフレッシュレートに対応し、一般的なハイエンドプロジェクターの2倍以上の応答速度を実現しています。
各動作時の応答速度
- 16.67ms: 4K/60Hz動作時
- 16.67ms:1080p/60Hz 動作時
- 8.3ms:1080p/120Hz動作時
- 4.2ms:1080p/240Hz動作時
瞬時の操作性が求められるValorantを実際にフルHD・高速モードで起動したところ、十分な応答速度かつ低遅延で快適にプレイできました。やはり240Hzだとかなり滑らかで、カクつきや残像感の類はまったく感じないですね。
それこそ私のようなライトユーザーがカジュアルに遊ぶ分には、モニター時と比べて何ら遜色なくプレイできるなという印象(視線移動の限界はさておき…)。まあ対人プレイよりバイオハザードみたいな対CPUのゲームにこそ適しているのは間違いないですが、いずれにしてもプロジェクターでここまで遊べる時代がきたってことに感動しちゃいますね。
で、極めつけはRPGモードでオープンワールドゲームをプレイしたときの没入感・・。
大画面はさることながら、息をのむほど映像がうつくしいんですよ。まるで自分がゲームの世界に飛び込んだような錯覚を覚えるというか、見慣れているはずのゲーム画面でも思わず見入っちゃいますね。
時には雄大に広がる自然の景色を楽しみ、時には画面いっぱいの巨大なボスとの対戦に身を投じ。もう常時めちゃくちゃ楽しいです。
やはりオープンワールドゲームこそX300Gの良さを最大限発揮できるなと・・。
Android TV搭載、Netflixにも完全対応
付属のワイヤレスドングル(QS02)をセットすることで、最新のAndroid TVが利用できるX300G。
各種操作はもちろん、ストリーミングサービスで映像作品を楽しむ際に非常に使いやすいUIになっています。
そしてOS周りで何よりうれしいアップデートが、Netflixに正式対応したこと。
従来は、サードパーティのアプリを介すか、Fire TV stickを挿し込む(もしくはミラーリング)しか視聴の術がなかったNetflix。ホーム画面からダイレクトで起動できる上、サードパーティのアプリに比べて動作も改善され格段にユーザビリティが向上しています。
そのほかAmazon Prime Video、Hulu、Disney+、U-NEXT、AbemaTV、Apple TV、Spotifyなど、主要なストリーミングサービスが視聴可能。また、リモコンボタンから音声入力にも対応しています。
オーディオ周りも妥協なし
どれだけ大画面、高精細に投影できても、プロジェクター本体から鳴る音がチープだとしたらそれだけで臨場感は半減してしまうもの。
その点X300Gは、Bongiovi DSPチップや特許取得のパッシブラジエーターを搭載するなど音質面もこだわり抜かれています。
Bongiovi DPSとは
音の解像度、臨場感、ステレオフィールドイメージングの強化により、没入感のあるシネマティックオーディオを実現するための特許取得済みのオーディオ処理。
本体を自分の前に置いて投影しても音像が後方向にある感じというとか、ちゃんとシネマっぽい立体感が感じられるんですよ。プロジェクターを起動したときのAndroidのセットアップ中のBGMが流れた時点で「あ、違うわ」となりました。
まあこのレンジの製品で、安価プロジェクターみたいな「一応音も鳴るよ」的なスッカスカの音だったら困っちゃうんですが・・ぼく自身これまでは別でスピーカーを用意して繋いでましたけど、これならプロジェクター単体で十分満足できるなってことでレンタル期間中ずっとX300G単品で遊んでました。
また、シネマ/音楽/FPS/スポーツ/カスタムと5種類のサウンドモードから、視聴するコンテンツに合わせて音響を最適化できるのもX Seriesの特徴。
RPGをプレイするときには立体表現豊かな「シネマモード」、スポーツゲームをするときはスタジアムの歓声や反響が増強する「スポーツモード」…といった具合にサウンドモードを変えるとさらに没入感アップ。
いろいろ組み合わせて遊んでみましたが、改めて「4K、シネマサウンドでオープンワールドゲーム」がこのプロジェクターの良さを一番引き出せるなと感じますね。
たしかに価格は高いけど・・
壁一面の大画面でオープンワールドゲームの世界に飛び込むもよし、ガッツリFPSやアクションゲームを遊ぶもよし、もちろん映画鑑賞もこれ以上ない高画質で楽しめる。そんなオールインワンプロジェクターBenQ X300G。
この1ヶ月間、X300Gにどっぷりのめり込んでいた筆者ですが、これからのゲームの遊び方、動画コンテンツの視聴に革命を起こすんじゃないかとさえ感じるほど(たしかに価格は高いですが…)。
目玉のゲーミング性能はもとより、日中でも楽しめる高輝度かつ精細な映像、迫力のサウンド、さらにはNetflix公式収録のAndroid内蔵と、多様化するユーザーの要望をまとめてカバーする一台。
新しいプロジェクターライフを模索しているという人は、ぜひX300Gを検討してみてはいかがでしょうか。