IQUNIXから発売されたGold Redスイッチ搭載80%レイアウトのロープロファイルキーボード「IQUNIX MQ80」をレビューしていきます。
公式上は80%キーボードとなっていますが、Lofree Flowはじめその他75%を公称するキーボードと同様のレイアウト。4月下旬までKickstarterでクラウドファンディングを開催していたのですが、そこでもかなり盛況だった信頼性の高いロープロファイルキーボードです。
IQUNIX MQ80の外観
IQUNIX MQ80は、その名称の通り80%レイアウトのUS配列ロープロファイルキーボードです。マウスパッドスペースとマウスの可動域を最大限確保できる、コンパクトデザインとなっています。

フレームには高品質なアルミニウムを採用し、さらにマット仕上げの塗装を施し、装飾を抑えたミニマルで堅牢なデザインのIQUNIX MQ80。無骨でありながらもスタイリッシュな外観は、作業環境にもゲーム環境にも自然と溶け込む上品さがあります。

カラーバリエーションはブラック、ホワイトの2色展開。どちらも、右側の赤のパーツがアクセントとなっています。ちなみにこの赤色のパーツはマグネットで脱着できるのですが、特に機能を持つわけではないのでカラーを一色で統一したい人のために「一応取り外しもできるよ」ってことだと思います。

キーキャップは、Lofreeの換装用キーキャップと同様にアルファベットの印字が中央に配置されたタイプ。

キースイッチはGold Red Switchで押下圧が40g・リニアタイプのスイッチなので、引っかかり感が少なく滑らかに文字入力ができます。(打鍵感の詳細は後述)
天面右側には、有線接続用のUSB-Cポート。Bluetoothの切り替えはFn+1~3、有線がFn+5、MacとWindowsの切り替えはFn+Tab、電源のオンオフについてはFn+ESCとなっています。

アルミニウム製の一体型ケースデザインを採用しているため、可動式のチルトレッグではなく、人間工学に基づいた固定チルトを採用しています。細かい傾斜調整ができない一方で、使用中のぐらつきや角度のズレが起きないのは固定式のメリット。

2週間、作業キーボードとして使ってみて

引っ掛かりの少ないリニアタイプのスイッチにくわえて、キーボードの基盤をシリコンと6本のアームで支える独自構造Le-Trayガスケットマウントにより、心地よいコトコトとした打鍵音で唯一無二の「やみつき感」がありますが、打ち心地という点では同ロープロファイルの定番モデルLofree Flowと酷似しています。
従来のガスケットマウントはプレートとケースの間にガスケットを挟むことで、打鍵時の衝撃を吸収する仕様が一般的ですが、IQUNIXの独自構造はプレートではなく基板から支える仕組みになっています。たしかに押下した際の沈み込み方がLofree Flowともまた異なり、フルプロファイルのキーボードかのごとく柔らかくしなります。

この「しなり」によってフルアルミボディにも関わらず衝撃がソフトで軽やかなタイピングができ、一日中テキスト入力した際に指の疲れがずいぶんと軽減しました。一方でフローティングデザインながらキートップのブレはほとんどなく、非常に心地よく、腰を据えて安定した文字入力ができます。
かっこよくて打鍵音の良いキーボードは無数にありますが、中にはカチカチと底打ち音が大きくオフィスやカフェなどでは使用に躊躇するモデルも多数あります。その点、「コトコト」と比較的やさしく響く打鍵音で周囲に気を配る必要がある環境下でも問題なく使用できるというのもIQUNIX MQ80ならではの良さでしょう。
また、キーマップソフトのVIAに対応しているのも重大トピック。

オリジナルのソフトウェアではなく、ブラウザ上で、かつドラッグ&ドロップで直感的にリマッピングが行えます。「長押し」に別の役割を持たせられるMod-Tapは残念がら対応していないようですが、リマッピングありきでキーボードを選ぶ私のような人間にはVIA対応というだけで乗り換える口実としては充分ですね。
価格に対して、打鍵感、機能面どこをとっても完成度の高いIQUNIX MQ80ですが、しいて難点をあげるなら高さ調整ができないことですかね。
大半のキーボードに付いているような段階式のチルトレッグがこのキーボードには付いていないため、固定の高さで使用することになります。個人的には一段階でも高さを変えられたら嬉しかったんですが、フルメタルボディの本機の重量が1kgを超えてることを考えると重厚感とのトレードオフといった感じでしょうか。

あとは、現状海外の公式HP経由でしか購入できない点も人によっては購入の手が止まってしまう要因になりそうです。製品自体はすばらしいので、今後はAmazonなど販路を広げてもらえさえすれば手間や不安なく注文ができて国内ユーザーが爆増するだろうなと感じますね。
Lofree Flowの上位互換?IQUNIX MQ80

対抗しているのがおそらくLofree Flowになるのですが、Lofree Flowが定価30,000円なのに対してIQUNIX MQ80は定価23,000円程度、さらにはLofreeではいまだ実装されていないVIAへの対応と明らかにLofree Flowの上位互換的な立ち位置になるキーボードだと感じました。
至高の打鍵感に、たしかな静音性、長時間でも指疲れせず、そしてこの見た目。永く使っていく仕事道具として選んで損しないキーボードだと思います。IQUNIXファンはもちろん、逆にこれまでIQUNIXに馴染みがなかった人にも素直におすすめしたい逸品です。