ゼンハイザーから、大人気「HD500」シリーズの最新作「HD 505」「HD 550」が登場しました。
昨年レビューした「HD 620 S」の特徴を多く取り入れた開放型ヘッドホン。オーディオファンの審美眼に合った高音質と同時に、ライト層にゼンハイザーの存在を広げられる機種でもあり、音楽・動画視聴、ゲーム、動画編集など幅広い用途で活用できる中核機種となります。
量販店や専門店でも販売されるモデル「HD 550」とAmazon専売モデル「HD 505」、それぞれどれほどの実力なのか、比較も交えてレビューしていきます。
HD 505 / HD 550の外観と基本性能
さっそくヘッドホン本体の外観から見ていきます。全体的に骨太で上質感のあるデザインの筐体は、歴代の500シリーズから継承されています。

ハウジングはメッシュグリルで覆われた開放型構造になっています。カッパー色で縁取られているHD 505に対して、HD 550はシルバー色のシンプルなデザイン。
イヤーパッドはどちらも高品質なベロア地を採用し、ベロアの表面がフロントで起こるサウンドの反射を吸収し開放感のあるサウンドを実現しているとのこと。

ヘッドバンド部の素材はどちらも合皮で、段階式のスライダーは静かな音でジリジリと可動し非常になめらかな感触。

イヤーパッドの中をのぞき込むと、ドライバーが露出する形で確認できます。

ケーブルには、2.5mm端子のバヨネットタイプ(1.8m)を採用。

同梱ケーブルは3.5mmストレートタイプ(6.3mm変換アダプタつき)のみですが、純正の4.4mmバランスケーブルが別途販売されているのでバランス化したい場合も容易にできます。
HD 505 / HD 550を使ってみる
というわけで、1週間ほどHD 505 / HD 550をじっくり使用してみました。
装着後の第一印象はどちらも「気持ち側圧強めかな?」って感じだったんですが、作業時のながら聴きで4時間くらい装着してみたところ、これが意外と耳も頭頂部もまったく痛くならないんですよね。

イヤーパッドもヘッドパッドも圧迫感が少ないですし、ソフトに耳を覆いつつもしっかりと密閉してくれる、そんな装着感。側圧と密閉感の加減が絶妙なので、長時間着けていても耳が疲れにくいのがまずHD 505 、HD 550双方にいえる特徴です。
一方でサウンド周りはそれぞれ大きく異なります。HD 505のドライバーはポリマーブレンド材振動板、そして「メッシュダンピングリング一体型」構造が特徴で、3 – 4kHz付近を滑らかに整えられているそう。

対してHD 550のドライバーは、ラミネート加工で特性を整えた振動板、マグネットシステムのサブアッセンブリー、アルミ製軽量ボイスコイルと、「HD 620S」をそのまま踏襲。

620Sは上位価格帯の最新世代モデルということで、HD 550のポテンシャルは従来のHD 500シリーズのそれに収まらない音作りになっています。加えて、ドライバー背面に音響ダンパー材を追加することでもドライバーの特性を強調しているのとのこと。
といった具合に両機はドライバー構成が異なり、そうすると当然サウンド設計も異なるわけです。
開放型である両機に共通していえるのは、帯域バランスにも音調にも大きな癖はなくナチュラル。その中でもHD 505はより高域のキレの良さ、中域の解像感の高さを感じます。ボーカルの吐息の消える部分までしっかり描写してくれますし、中高域がより明瞭になった分ハイトーン系のポップスとも相性良く感じました。

対して“HD 620Sの開放型バージョン”のようなサウンドのHD 550。一聴してかなり違いを感じました。HD 505とHD 550を安易に「Amazon版」「量販店版」と位置付けてしまうのは注意です。
HD 505がモニターライクなフラット傾向だとすると、HD 550はより高域と低域が強調されたメリハリ感のあるサウンドになっている印象。アコースティック編成の楽曲も従来どおり好相性ですし、ポップスやロックの最近チャート曲はもちろん、EDMからクラシックまでなんでもいけちゃう。HD 550が不得意とするジャンルは存在しないといっても良いんじゃないでしょうか。

個人的にはHD 505よりもHD 550の方が実力は上のように感じましたが、バランス重視、ボーカル重視ということならHD 505の方が適していますし、メリハリ感や躍動感で選ぶならHD 550といったイメージ。鳴らす楽曲や好みによる部分も大きいですが、個人的にはHD 550の方が好みでした。
ちなみに今回はMacBook ProにiFi AudioのUSB-DAC「ZEN DAC 3」をかませて使用しましたが、付属ケーブルの3.5mm接続でも十分音量が確保できました。4.4mm接続にも対応してるので、別途バランスケーブルを買ってZEN DAC 3、MacBookでPCオーディオ的に環境をつくっちゃうのもありだと思いますね。個人的にはこの運用でライブ音源を視聴するのがおすすめ。
HD 500シリーズのフラッグシップ的立ち位置

従来機からナンバリングがどちらも低くなるから、一見エントリー機っぽく見えますが、実際はHD 500シリーズ内のフラッグシップ的立ち位置だと感じるほど完成度は高かったです。
HD 505の方がバランスが良くてクセの少ない音作りですが、個人的にはメリハリ感のある音が好みなのでメイン機に選ぶならHD 550ですかね。
セール時期や在庫状況次第で価格差が大きく開くこともあるので、価格とのバランスでその都度どちらがおすすめかは変わってきますが、従来のHD 500シリーズからアップデートしたいという方にはどちらの機種もおすすめです。
型番 | HD 505 | HD 550 |
---|---|---|
インピーダンス | 120 Ω | 150 Ω |
周波数特性 | 12 – 38,500 Hz | 6 – 39,500 Hz |
感度 | 107.9 dB (1 kHz / 1 Vrms) | 106.7 dB (1 kHz / 1 Vrms) |
本体重量 | 237 g | 237 g |
定価 | ¥46,000 (税込み ¥50,600) | ¥49,500 (税込み ¥54,450) |