映画館気分を味わいたいときにはプロジェクターの出番。
短焦点で高性能なモデルが増えたここ数年、一家に一台のエンタメデバイスとして一気に浸透した感がありますよね。かくいう我が家も、映画にテレビ番組、ゲーム、音楽…まとめてプロジェクター一台で楽しんでいます。
中でも、シーリングライト一体型プロジェクターや超短焦点プロジェクターで有名なAladdin Xから登場した初のポータブルプロジェクター「Aladdin Poca」。実際に1週間使用してみた感想、投影性能、音響面などレポートしていきます。
Aladdin Pocaの外観と基本性能
Aladdin Xから発売されたモバイル型プロジェクター「Aladdin Poca」。主な特徴は以下のとおりです。
- 解像度:フルHD 1920×1080
- 輝度:450 ANSIルーメン
- 360°スピーカーライト
- インテリアに馴染むデザイン
- 約2.5時間のロングバッテリー
- Netflixに標準対応
- スライドレールスタンドで天井投影もOK
内容物は、紙類を除いてプロジェクター本体、リモコン、Aladdin Lens2種、電源アダプタとなっています。

こちらがAladdin Poca本体。使用時以外はレンズは内側に収納されています。上部を持ち上げて回転させることでレンズが現れ、電源も自動でオンに。

360度角度調整ができる仕様で、側面にはHDMIとUSB Type-Aポート。音量調整などできる簡易なミニリモコンが本体にストラップでついています。

プロジェクターとしてだけでなく、スピーカーモードを搭載しており単体でスピーカーとして使用することができます。また、本体下部にはライトが搭載されているので、音楽と同期させてライトの演出が可能です。

また、スピーカーはHarman Kardon社の360°スピーカーを採用しているため、どこに置いても臨場感ある音楽を聴くことができます。(音質の詳細は後述します)
操作は付属のリモコンから行います。Netflix、YouTube、Amazonプライムビデオがボタン一発で呼び出せるほか、好きなアプリを割り当てられる便利なショートカットボタンも。もちろんその他HuluやU-NEXT、TVerなど主要なVODアプリにも対応しています。

ケーブルレスで駆動するモバイル型の本機は、2.5時間視聴可能なバッテリーが搭載されています。映画一本分、スポーツ観戦でも概ね大丈夫そう。

またUSB PD 65Wで充電可能なため、電源が無い環境でバッテリー切れが心配な場合は、65W 以上のUSBモバイルバッテリーの併用で動作時間をさらに延長できます。いまはUSB 65W充電器も比較的安いため、出先や車の中などでも充電が可能というのは使い勝手の面で大きなメリットです。
Aladdin Pocaを使ってみる

というわけで、6畳書斎の白背景にドカーンと投影してみました。1週間Aladdin Pocaを堪能してみたので、良かった点、気になった点などまとめていきます。
ミニマルな筐体からは想像できない明るい映像
明るさ450 ANSIルーメン、標準解像度1920×1080のFull HDと同価格帯のポータブルタイプとしては屈指の投影性能を誇るAladdin Poca。
昼頃の明るい時間帯でもカーテンを閉めれば十分視認できるくらい明るく、夕方以降の暗い環境ならテレビ代わりになるくらいには鮮明でキレイな映像が投影できます。


4種類の既存プリセットのほか、明るさ含め色温度、輝度など、好みの色味を細かく調整できますし、細部まで滲みなく投影できます。

少し寄ってみました。動画再生中に撮影してもこれだけ細部の輪郭がはっきりしているので、肉眼で見る分には写真以上に高精細ですし、発色も良好です。


一昔前のモバイルプロジェクターによく見られた動画再生時の残像感(ぼやけ)なんかも、まったく感じないですね。
また、LED光源が採用されているのもAladdin Pocaの特徴。有害なブルーライトを発さず、省エネ駆動のため動作音が静かなのもうれしいところ。

6畳部屋でも80インチの大画面投影
「本体が小さいってことは、それだけ投影サイズも小さくなるのでは…?」と心配になるところですが、決してそんなことはありません。投影サイズはなんと最大120インチ対応であり、六畳部屋の白壁にAladdin Pocaを設置して投影したところ、約2mの投射距離でおよそ80インチの大画面投影ができました。

これ以上大きく投影しようとすると光源と壁の距離が長く必要になる分、少しずつ暗くなってしまいます。どれだけ投射距離に余裕があっても、80インチ程度の投影がベストに感じますね。それでも一般的な30〜40型テレビの倍の画面サイズですから、大迫力には違いありません。
また、オートフォーカス、台形補正は垂直(タテ)水平(ヨコ)ともに対応。モバイルタイプだとタテ方向にしか対応していないものも多い中、両方向の自動補正に対応しているのは嬉しいポイント。オートフォーカスともに補正時のラグや誤認識などもなく正確に補正してくれるので、画面の調整はほぼAladdin Poca任せでOK。

Aladdin Lensで星空やリラックス空間をつくる光の演出

付属の専用レンズ「Aladdin Lens」を装着すれば、美しいサンセット映像やプラネタリウムを彷彿とさせる星空などを投影することも。

レンズを付けると自動で「ほしぞらさんぽ」アプリが起動し、より広い範囲で臨場感のある映像が映せたり、瞑想やリラックスするための柔らかい光の空間が作れたりします。こういった遊び心もAladdinならでは。なお、レンズはマグネット式で着脱も片手で簡単。
進化したAladdin OS。Netflixにも標準対応
Android TV ベースの新しいAladdin OSを搭載するAladdin Poca。各種操作はもちろん、ストリーミングサービスで映像作品を楽しむ際に非常に使いやすいUIになっています。

ポータブルモデルの場合、Netflixを視聴するにはサードパーティのアプリを介すか、別途Fire TV stickを挿し込む(もしくはミラーリング)必要があるモデルが一般的な中、駆動が滑らかな純正アプリで視聴できるのはNetflixヘビーユーザーからするとこの上なくうれしい…。

そのほかYouTube、Amazon Prime Video、Hulu、Disney+、U-NEXT、AbemaTV、Apple TV、Spotifyなど主要なストリーミングサービスに対応するのはもちろん、リモコンボタンから音声入力もできます。
さすがHarman Kardon製、音圧は期待以上。ただし・・

どれだけ大画面、高精細に投影ができても、プロジェクター本体から鳴る音がチープだとしたらそれだけで臨場感は半減してしまいますよね。
その点Aladdin PocaはHarman Kardon製の6Wスピーカー×2基の計12W出力というだけあり、「音圧」という点では確かに他モデルに比べて迫力が感じられます。
一方で、「空間表現」という点ではホーム型モデルと比較するとやや物足りない印象。部屋全体に音が広がる感じというか、「シアターチックな立体感」みたいなものは正直期待できないので、そのあたりに拘る人は外部スピーカーなどに接続することをおすすめします。
一方でカスタマイズ性は充実しており、シネマ、ミュージック、カラオケ、スポーツと4種類の既存プリセットから視聴するコンテンツに合わせて音響を最適化できます。

持ち運びにも適した高画質プロジェクター
自宅で使うエンタメデバイスとして55,900円(執筆時)は決して安くはないですが、このサイズ、シャープで明るい映像を実際に体感すると納得感はあります。投影性能と価格のバランスという意味では絶妙で、使用環境にかかわらず迷ったらコレな一台です。
これだけシンプルな構成ながら映像の「キレイ」の水準をしっかり満たしていますし、持ち運びや傾斜調整に富んだハンドル付きで持ち出して使うことはもちろん、ビジネスユースでの利用も視野に入りますし、旅行や出張などマルチな用途で活躍が期待できるのではないでしょうか。
「コンセントの無い屋外でも気軽に利用できるプロジェクターを探している」「画質はもちろん機動性も妥協したくない」そんな方は「Aladdin Poca」をぜひチェックしてみてください。