BenQから待望のMac向け5Kモニターが出た!色もデザインも妥協しない『PD2730S』レビュー

本ページ内には広告が含まれています。

MacBookとの連携に優れたクリエイター向けモニターといえば、BenQの「PDシリーズ」。

ロピログではこれまでもいくつかのモデルをレビューしていますが、なんと27インチモデルから5K UHD+に対応した新型が登場。それが「PD2730S」です。

従来モデルから、輝度、コントラスト比、色再現性いずれも向上したほか、新たにソフトウェアキャリブレーションに対応したPDシリーズ最新モニター。今回はベンキュージャパンより1ヶ月間使用機会をいただいたので、使用感や機能面などレビューしていきます。

ベンキュージャパン
目次

BenQ PD2730S、どんなモニター?

BenQ PD2730Sの主な特徴

  • 27インチ、5K UHD(5120 × 2880)
  • IPSパネル搭載で178°の視野角
  • 色再現が正確なAQCOLORシリーズ
  • CalMAN、PANTONEカラー認証取得
  • HDR10/VESA DisplayHDR 400対応
  • ケーブル1本接続(PCへ90W給電)
  • Thunderbolt4 対応
  • 専用ソフト「PMU」で簡単キャリブレーション
  • ワイヤレスコントローラー(リモコン)付き
  • 定価:186,363円(執筆時Amazon価格)

高精細・広色域を実現し、クリエイターが求める要求に応え続けているBenQのデザイナーモニターシリーズ。先述のとおり、初めて5K(5120 × 2880)に対応したのが「PD2730S」。従来の4K UHDモニターと比べて77.8%表示領域が広く、多くのピクセル数を誇る、5120×2880、5K UHD+の超高解像度で美しい画面表示を実現しています。

また、一般的なノングレアパネルよりも、さらに低反射の「ナノマットコートパネル」を採用しているのも本機の大きな特徴。蛍光灯など環境光の映り込みが非常に少なく、画面のちらつきを最小限に抑えてくれています。

さらに、2000:1の高コントラストや、正確な階調表現を可能にするBenQ独自の「エキスパート チューニング テクノロジー」により、陰影のディティールまではっきりしており、微妙なグラデーションも精細に表現することができます。

Thunderbolt 4(USB-C)ポートから90Wの電力供給も可能なので、MacBookをUSB-Cケーブル1本で充電しながら画面出力できる点も強みです。さらに、もう一方のポート(15W給電)にモバイルディスプレイをケーブル1本で増設することで、簡単にトリプルディスプレイ環境を構築することもできます。

同梱ケーブルとモニター外観

ケーブルは(左から)USB 3.2 (A to C)、HDMI 2.1、DisplayPort、Thunderbolt 4と全部揃ってるので、箱から出せばすぐに使い始められます。

モニター本体は3辺フレームレスデザインで非常にスタイリッシュ。ディスプレイサイズに対してベゼル幅約9mmと極薄なので、ほんと画面が宙に浮いてる感じ。

MacBook Proのベゼルと比べても大差なく、マルチモニター環境でもディスプレイ間のギャップや違和感も最小限です。

そして従来モデルと大きく異なるのが背面デザイン。白基調に刷新されて、アイランド配置でもインテリアに溶け込む外観に仕上がっています。デスク周りを白系で統一している人なんかだとこれだけで候補に入りそうなデザインですね。うつくしい。

そしてPDシリーズお馴染みのシンプルを極めたスタンド台座。洗練されたアルミの質感がまたApple製品を彷彿させるんですよね。

そんなPD2730Sの全インターフェースは以下のとおりです。

  • HDMI 2.1×1
  • DisplayPort 1.4×1
  • Thunderbolt 4(90W給電)×1
  • Thunderbolt 4(out)×1
  • USB 3.2 Gen1 Type-A(Downstream) ×3
  • USB 3.2 Gen1 Type-C(Downstream) ×1
  • USB Type-C(Upstream)×1

クリエイターが作業を行うのに不足ないインターフェイスを網羅しています。最大40Gbpsのデータ転送速度を実現する「Thunderbolt 4」を2ポート搭載しており、ケーブル1本でモニターとPCを接続できるため、デスク上がスッキリするのがまず嬉しいポイント。

また、片方が15W、もう片方が90W出力に対応していることで、PCとスマホの同時給電をすることも可能。モニター1台で周辺機器への給電・充電が一気に行えます。

その他のインターフェイスは、HDMI・Display Port・USB Type-C×2・USB Type-A×3・イヤホンジャックと豊富。USBハブとしても機能するので頻繁に取り外しする外付けSSDなんかも気軽に使えます。

パネル左右下部には、3W×2のステレオスピーカーを搭載(内蔵スピーカーの音質については後述します)。

BenQ PD2730S 使用感レビュー

これぞAQCOLOR。正確すぎる色表現

まずディスプレイ本体の性能についてですが、このモニターの最大の強みはなんといっても正確な色再現と発色の鮮やかさ。写真・動画編集、デザインなど「色」で勝負するクリエイターのために作られたプロ向けモニターなので、色の正確さに関してはもうガチです。

モニターは工場で大量生産される工業品なので、値段の安い高いに関わらず少なからず品質にバラツキが生じるもの。しかし、色味の個体差を許さないプロ向けモニターであるPD2730Sは、1個体ずつ手作業でキャリブレーション(色精度をチューニングする作業のこと)されています。

結果が詳細に記載されたキャリブレーションレポート

手元に届く製品はすべてプロの手作業によって色補正されたものなので、仮にオフィス等で複数台導入したとしても「いざ箱から出したらそれぞれ色にバラつきがある」みたいなことは間違っても起きないわけです。

さらに、AQCOLORシリーズの最新モデルとしてsRGB/Rec.709のカバー率「100%」、デジタルシネマ規格のDCI-P3、Appleが策定したDisplay P3のカバー率「98%」を誇っていますので、色合いの精度に関してはかなり信用できます。

これより上の正確さを追求するとなると一気に「うん十万円の業務用カラーマネジメントモニター」に選択肢が絞られるので、費用対効果という意味ではPD2730Sの右に出る者はないはず。しかも27インチで解像度が5Kですから、DaVinci ResolveやLightroomのような画面を大きく使うソフトでの視認性も抜群。たいていの作業はこのモニター1台で完結します。

リモートワークに移行した直後に安いモニターを使っていた頃は「モニター上で編集した写真をスマホで見ると、別物レベルに色が違う…」みたいな現象がよく起きたものですが、PD2730Sではそういう類の心配はほんとに無縁です。

Thunderbolt 4対応で、Macbookとの相性が最強

PD2730SはApple製品とピッタリなデザインをしていますが、ピッタリなのは見た目だけじゃありません。

というのも、Thunderbolt 4に対応しているので、USB-Cポートしか付いていないMacBookとの親和性が抜群なんですよ。Thunderbolt 4はUSB-Cの規格のひとつなのですが、爆速通信(40Gbps)、爆速給電(PD2730Sの場合は90W)、映像通信など…ケーブル1本で得られる恩恵がはかりしれないのです。

ケーブル1本をMacbookに繋げば、映像・充電・通信ぜんぶ完結

卓上の配線がスッキリするのはもちろん、PC自体の取り回しも劇的にラクになるんですよね。「自宅の作業環境」と「外用の周辺機器」を棲み分けしておけば、あとはMacBookを持ち出すときにケーブル一本を抜き差しするだけでいいんですから。

そして、MacBookとの色差を抑えてくれる専用のカラーモード「M-Bookモード」。

ガンマ・ダイナミックコントラスト・色温度を接続したMacBookの内蔵デイスプレイと同様の設定にできるというもので、上記写真のとおりM-Bookモード時は限りなくMacBookに近い色が出せます(いじったのは輝度だけ)。

「Mac推奨モデルと謳っているのにいざ繋いでみると全然色味がちがう・・」なんてこともざらにありますから、ちゃんと標準でそれ専用のモードが付いてるのは安心です。

「Palette Master Ultimate」で簡単にキャリブレーション

カラーモニターは経年劣化によりどうしても色が変わってしまうため、色味を重視するクリエイティブ作業を行うにあたって定期的なキャリブレーション作業が推奨されています(目安として約200時間おきに1回)。

その点PD2730Sは、工場出荷時のキャリブレーションとは別に、ソフトウェアキャリブレーションに対応しているのも重大トピック。

手順はいたってシンプル。キャリブレーション専用ソフト「Palette Master Ultimate(PMU)」をダウンロード。そして、別売りのキャリブレーターを使うことで、いつでも簡単に色味を調整できます。

正確な色味を手軽に維持し続けられるのは、毎日作業をするクリエイターにとってこの上なくありがたい機能。Palette Master Ultimateは初心者でも簡単かつスピーディーにキャリブレーションを実施できます。

使い勝手が出色のOSDコントローラー

PD2730Sには「ホットキーパックG3」というダイアル付きのOSDコントローラーが付属し、ワイヤレス接続で使うことができます。

明るさ調整やカラーモードの変更、入力切替えなど、モニターの設定が全部手元のOSDコントローラーで完結。これは便利です。モニター底面に手を伸ばして物理ボタンをポチポチ…みたいな手間は一切必要ナシ。

そのときの部屋の明るさに合わせて画面輝度を変えたい僕は、ダイアルに輝度調整を割り当ててます。右半分の「1,2,3」には好きなショートカットを記憶させられるので、sRGB、M-book、ブルーライト軽減をそれぞれ割り当てて用途毎に画面モードを切り替えて使っています。

本来カラーモードって頻繁に変えるものじゃないと思いますすが、手元のコントローラーからコロコロ変えられる仕様はデザインや編集作業をする人にとって頼もしい機能のひとつでしょう。

内蔵スピーカーの音質は・・

PD2730Sはスピーカーを内蔵しているため、PC側の音声を出力させることもできます。

とはいえスピーカー性能は前モデルからほぼ据え置きの3W × 2のステレオスピーカー。2.1chスピーカー内蔵のEWシリーズなどと比べても音はお世辞にも良いとはいえません。

MacBookの内蔵スピーカーの方がふつうに音質は上なので、MacBookの外部ディスプレイとしてPD2730Sを使う際はスピーカーの出力先だけMacに戻しておくのが賢明かなと。

そもそも色精度にコミットしたプロ向けモデルで「音も鳴る」時点で優秀には違いないですが、音質にもこだわりたい人は3.5mmオーディオジャックでスピーカーやヘッドホンを挿して音を取るのが間違いないと思います。

たしかに価格は高いけど・・

この領域のディスプレイを検討している人のほとんどがクリエイターだと思いますが、広色域と色精度が求められる場面においては右に出る者のない、そんなモニターです。

実売価格約18万円と財布からモニターに出す金額と考えるとたしかに高級品には違いないですが、他社でこれと同等のスペックを求めると数十万円の業務用モニターに選択肢は限られますからね。機能に対して現実的にまだ手が届く範囲のPD2730Sは、プロアマかかわらずクリエイターにとって最善でないにしろ最良の選択肢になり得る一台だと思います。

インターフェイスや機能面も不足はないですし、クリエイティブ用途において八面六臂の働きが期待できるPD2730S。「MacBook用にハイスペックなモニターを一台そなえたい」そんな方はこの機会に狙ってみてはいかがでしょうか。

ベンキュージャパン
SHARE ON
目次