左右分離型キーボードの黒船『Naya Create』1週間インプレッション

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ロマン溢れるキーボード「Naya Create」を手に入れて一週間ほど使ってみたので感想をつらつらと書こうと思います。

目次

モジュール着脱式の左右分割キーボード

Naya Createは、左右分割のキーボード。レイアウトは、左右分割モデルに多いカラムスタッガードを採用しています。また、親指部分に3つのキーを配置。「Enter」や「BackSpace」などを割り当てることで手の動きを最小限にできます。この辺りも左右分割キーボードではオーソドックスな機能です。

Naya Createの真骨頂が、左右にそれぞれ1つずつ装着できるマグネット着脱式のモジュールです。Naya Track(トラックボールモジュール)、Naya Touch(タッチパッドモジュール)、Naya Tune(ダイヤルモジュール)が用意されています。厳密にはもう一種類モジュールが存在しますが、現在設計を見直し中とのことで日本語配列モデルでは用意されていません。

3種の着脱式モジュールは、キーボードのホームポジションから手を大きく離さずにカーソル移動や音量調整などを行えるというのが特徴。とりわけNaya Tuneは、ボリューム操作と簡易ジェスチャーを直感的に扱えるため、実用性という意味では最もバランスが良いと感じました。

Naya Tune

ダイヤル型のモジュールで、見た目の通りボリューム調整で使えます。くわえて上部がタッチパッドになっており、簡易的なメディア操作も行えます。回転時はカリカリというフィードバックの感触があり操作性は良好。Naya Touchのようなカーソル操作は行えませんが、スワイプでのスクロールや、タップでのミュートなどを割り当てることができます。

Naya Touch

ジェスチャー操作に対応したトラックパッド。1~4本指での操作に対応しており、1本指ならカーソル移動、2本指ならスクロールなどの操作を割り当てられます。

Naya Track

直径40mmのボールを使用したトラックボール。ボタンを4つ搭載しており、左クリックや右クリック、中クリックなどを割り当てられます。市販の一般的なトラックボール(例えばLogiのERGO M575が約34mm)と比較しても大きい部類に入るので慣れが必要ですが、熟練次第では手のひらでも操作できるという利点があります。

キースイッチはKailhのmini Choc(PG1232)とそっくりというか、同じもののようです。実際、PG1232とは互換があるとのこと。また、ホットスワップ対応です。

キーキャップは完全に独自なので、市販品との交換は現実的じゃないですね。一応、Choc V1互換なので市販品とも交換できますが、Naya独自のスカルプテッドキーキャップは指あたりが良いので純正品の使用をおすすめします。現在はブラックモデル一択ですが、今後シルバーやホワイトなどのカラバリが登場したところで一気に市民権を得そうな予感。

ちなみに、持ち運びに便利な専用ケースも付属します。ワイヤレスヘッドホンに付属するようなコンパクトなキャリングタイプとなっています。

無段階のテンティングに対応

着脱可能なモジュールと並び、Naya Createの大きな特徴が無段階式のテンティング機能です。テンティングは、分割キーボードを中央部分が高くなるよう(テントのように)立てること。角度を付けることで、より手首や肩が内に巻き込まないような自然な姿勢でタイピングできます。一般的なエルゴノミックキーボードの中央部分が高くなっているのと同じ理由です。

ヒンジはしっかりとした硬さがあり、入力中に潰れてしまうといったことはありません。テンティング好きの人だと90度に近い傾斜を付ける人もいると思いますが、本機は最大27度までとなっています。モジュールとの位置関係上、最大まで角度をつけるとかえって使用感を損なうので筆者は15度くらいで使用していますが、段階的なレッグタイプではなくヒンジの無段階調整が可能なのでほぼ間違いなく自分に適した角度が見つけられるのが素晴らしいです。

接続方式はオールカバー

接続方式は、USBでの有線接続、Bluetooth接続、専用ドングルでの無線接続に対応しています。注意点として、ワイヤレスでの動作にはモジュールの接続が必須となります。

本体にもわずかなバッテリーは搭載しているようですが、ワイヤレス接続にはモジュールが搭載するバッテリーを使用する仕組みになっている模様。

各モジュールのバッテリーは、80日~100日ほど動作するとのこと。有線接続時に充電されるほか、モジュール単体でQi充電に対応しており、ワイヤレス充電器に乗せて充電することもできます。

ちなみに、有線接続時では左側のみPCとケーブル接続して、右側はワイヤレスで使うことも可能。左右間は無線で接続します。ただ、親機の右側のみバッテリーを消費していく仕様なので、素直に左右とも有線、もしくは左右とも無線で使うのがベストでしょう。

Naya Createの使用感

まずアルミフレームの質感が非常に良好で、プラスチック製が多い分割キーボードケースの中では文句なしでダントツのビルドクオリティです。手に持った時のずっしりとした重みは所有欲を満たしてくれますし、シンプルにデバイスとしてカッコいい。

ただ、打鍵感についてはおそらく好みが分かれるところ。薄さを追求した結果ガスケットマウントなどは採用されていないので、リニアスイッチでも「カンカン」「コツコツ」という底突き感と打鍵音が気になる人もいると思います。以下、実際にリニアスイッチ(赤軸)を打鍵した様子。

やはり打鍵音のボリューム自体はそこそこ大きいので、カフェでの作業なんかには向かないですね。モジュール込みだとそれなりの重量になる(モジュールなし状態で片側約220g。一番重いNaya Tuneが約149g)ことも含めて、持ち出しての使用を検討している人は注意したほうがいいかもしれません。

あと個人的に一番期待していた「Naya Track」については、正直なところ使い勝手がイマイチでした。トラックボールの大きさが親指で操作するには大きすぎ、中指で操作するには小さすぎと完全に馴染むまでにはもう少し時間が必要ですね。

また、マウスクリックボタンも同じく慣れが必要で、個人的にはジュール下の3つのキーにマウスボタンを割り当てるなど工夫が必要だと感じました。むしろこの3つのキーの使い方がキーになりそう。

一方で、当初そこまで惹かれていなかったダイヤル型のタッチパッド「Naya Tune」、実際に使ってみるとこれがかなり有用でした。基本的に音量調整に使用するもので、回転でボリュームの増減だけでなく、タップでミュートや再生・停止といった操作が行えるのが非常に便利。

ピンチインアウトなどできればさらに便利なのすが、残念ながら今のところ対応していません。ただ、今後アクティブなアプリに応じてプロファイル(設定)を切り替えられるようになるとのことなので、ピンチインアウトも対応してくれるのではと期待しています。

ちなみに、各種設定は専用ソフトの「Naya Flow」で行います。キーマッピングの変更や、レイヤー機能の設定、各モジュールの設定変更などソフト上で完結。

ただしソフトウェアは発展途上のベータ版なので、できることは必要最小限。リマップについてもホールドとタップに別々のキーを割り当てられるものの、コンビネーション(ShiftやCtrlなどとの組み合わせ)は設定できません。現状まだ開発途中とのことで頻繁にアップデートが入っているようなのでMakuake実施中の日本語配列版の出荷時にはひょっとすると対応しているかも?少なくとも現時点ではQMK系のRemapやVialのような機能性はないですが、リマップの使用感としては初心者ライクでドラックアンドドロップまたはクリックで簡単に変更できる点は好印象です。

もともとカラムスタッガードやオーソリニアの分割キーボードに触れている人なら大きな障壁なく使いこなせると思いますが、一般的なキーボードにしか馴染みがないという人は手に馴染むまで数週間は覚悟した方がいいと思います。僕はNaya Create使用前にCornix LPを1ヶ月ほど触っていたので比較的スムーズに移行できましたが、3、4日は入力効率が顕著に落ちたのでどんな人でもそれなりの修練は必須になるかと思います。

ネックになるのはやっぱり価格ですね。モジュール込みで10万円超えと、他社のフラッグシップキーボードが3台買えてしまうような代物です。正直現時点ではこの価格に見合うバリューが得られたのか疑わしいですが、今後の修練次第といった感じ。あとはソフトウェアが完全体になって初めて万人に勧められるかなと思います。今後のアップデートに期待です。

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