老舗オーディオメーカーJBLが昨年実現した完全ワイヤレスイヤホン界の革新が、バッテリーケースへの液晶タッチパネル内蔵。そんな液晶搭載イヤホンの第二弾として登場したのが「LIVE BEAM 3」です。
実のところ、ディスプレイ内蔵のフラッグシップモデル「TOUR PRO 2」の後継機ではなく、廉価モデル「LIVEシリーズ」の新型という位置付けなんですが、双方のいいとこどりをしつつ、JBL初のハイレゾコーデック「LDAC」にも対応。
今回は、ハーマンインターナショナルよりレビュー機会をいただいたので、1週間じっくり使ってみての感想をお届けします。
LIVE BEAM 3の外観
さっそくLIVE BEAM 3の外観を見ていきます。一番目につくのはもちろんケース内蔵のディスプレイですが、ケースの胴体ではなく天面(蓋側)に搭載されたことで、TOUR PRO 2からケース自体が大幅に小型軽量化されています。
また、要望が多かったというストラップホールも新たに追加。
例によって、この液晶タッチパネルからバッテリー残量表示はもちろん、再生・停止・戻る・進むなどの曲操作、ボリューム調節、イコライザー変更といったあらゆる操作が行えます。
もちろん専用スマホアプリからも操作できますが、JBLイヤホンに限ってはこの「ケース単体で全操作完結するよ」というのが醍醐味なわけです。正直はじめは「ほんとに実用上必要なの?」とか思ってましたけど、いざ慣れるとふつうのケースに戻れなくなるような便利さがたしかにあるんですよね。
個人的に重宝しているのが、数分程度の予告ムービーやライブ映像をサクッと見たいとき。ディスプレイからSpatial Soundのムービーモードをオンにすることで、起動中のアプリをまたがずに気軽に臨場感のある音響で楽しめるなど、ディスプレイが付いたことで確実に活用の幅が広がったと感じます。
背面には充電用のUSB Type-Cポートを搭載し、10分の充電で4時間再生可能な急速充電にも対応。
TWSで重視されるバッテリー性能ですが、イヤホン単体で最大10時間、ケースをふくめ最大40時間(ともにANCオン時)と、実はフラッグシップのTOUR PRO 2を上回る電池持ちを実現しています。もちろんワイヤレス充電にも対応。
最大2台のデバイスに同時接続できるマルチポイントにも対応。また、マルチポイント有効時に肝心のLDACが使えないってことが主流の中、LIVE BEAM 3は併用が効くのも大きな利点。Android複数台持ちユーザーにはうれしい仕様ですね。
フラッグシップ級の音響性能と機能性
小ぶりながらも、耐久性と剛性にすぐれた新素材樹脂「PU+PEEK」の10mm径ダイナミックドライバーを内蔵するイヤホン本体。
実際にJBL LIVE BEAM 3(LDAC接続)で楽曲を聴いてみたところ、JBLらしいパワフルかつフレッシュな音作りは健在で、解像感や音の粒立ち感は完全に上位機ゆずり。LDACに対応したことでキツさが取れた抜け感たっぷりの高域、ツヤ感たっぷりにボーカルが響く中域、ベースやキックドラムがタイトにキレよく響く低域、どの帯域に目を向けても「2万円クラス」では卓越してると感じます。
そして、マイク構造の刷新でリアルタイム補正機能が備わったノイズキャンセリング。実際に数日屋外で使ってみたところ、ゴーっと低く響く電車の走行音や、日常のロードノイズはガッツリかき消してくれますね。風切り音や人の話し声みたいな高域帯のノイズ制御こそフラッグシップのTOUR PRO 2にやや劣ると感じますが、それでもこの価格なら十分すぎる遮音性といった印象。
特にロードノイズに対しての遮音性は相当優秀なので、逆に公共空間では周りの状況に積極的に気を配る必要がありますが、「通学や通勤時に決まった環境で習慣的に音楽を聴く」という人にはこの上なく没入できる名機なんじゃないでしょうか。
これはJBLイヤホンで共通するメリットですが、強力なノイキャンにもかかわらず無音時にサーっと鳴るホワイトノイズがまったく気にならないんですよね。ストレスの少ない装着性も相まって、シンプルに「耳栓」としても超優秀。
本体のスマートディスプレイだけでなく、専用アプリ「JBL Headphones」から各種設定が可能なLIVE BEAM 3。サウンドモードやイコライザー設定(10バンド各±7dB)、タッチ操作のカスタマイズ、通話イコライザーなど…ペアリング後にアプリ内で設定できる項目は多岐に渡ります。
アプリから10バンドでのイコライザー、操作のカスタマイズなどが可能
そのほか、個々の装着状態に音質を最適化する「Personi-Fi 3.0」や、ムービー・ミュージック・ゲーミングの3種類から選択できる3Dオーディオ(Spatial Sound)など、老舗オーディオメーカーならではの機能も充実。ディスプレイの輝度や壁紙、常時表示するショートカットの設定などもこのアプリから可能です。
これぞ“下剋上イヤホン”
普通は「いくら後発とはいえ、やっぱりフラッグシップにはフラッグシップなりの凄さがあるよなあ」的な結論になることが通例ですが、LIVE BEAM 3にはそれが当てはまらないというか、価格に対しての満足度は完全にフラッグシップ機を凌駕しちゃってます…。
タッチディスプレイの良さをしっかり継承しつつもコンパクトになった筐体、自然かつ強力なノイズキャンセル、多彩なカスタマイズ機能、パワフルかつフレッシュなサウンド…多方面に完成度の高さが光る「LIVE BEAM 3」
実売価格は25,500円なので価格的にはミドルレンジの位置付けになりますが、間違いなく今後のTWSの基準を一段階上げる名機。ちなみに本機の形状違いモデル「LIVE BUDS 3」も販売が開始されているので、機会があればぜひ家電量販店の店頭などで併せて視聴してみてください。