MacBookとの連携に優れたクリエイター向けモニターといえば、BenQの「PDシリーズ」。
ロピログではこれまでもいくつかのモデルをレビューしていますが、今回32インチモデルから1年ぶりとなる後継機「BenQ PD3226G」が発売されました。
リフレッシュレート144Hz、応答速度1msのゲーミング性能のほか、発色、明るさ、表面処理の進化、さらには外付けコントローラーの無線化など、既存モデル「PD3220U」から大幅にアップデートした新モデル。
趣味で、仕事で、映像や写真、イラストなどの制作作業に耐えうるハイクオリティな画質でありながらハイリフレッシュレートでヌルヌル動く。そんなクリエイティブ兼ゲーミング環境としての最適解になるPD3226Gの魅力をお伝えしていきます。
BenQ PD3226G、どんなモニター?

BenQ PD3226Gの主な特徴
- 31.5インチ、4K UHD(3840 × 2160)
- リフレッシュレート144Hz、応答速度1ms
- IPSパネル搭載で178°の視野角・ピボット対応
- 色再現が正確なAQCOLORテクノロジー
- CalMAN、PANTONEカラー認証取得
- Thunderbolt 4 対応(PCへ90W給電)
- OSDコントローラーが無線化
- 定価:173,869円(執筆時Amazon価格)
先述のとおり、2024年発売の31.5インチモデル「PD3220U」の後継機種にあたる「PD3226G」。AQCOLOR技術でプロフェッショナル向けのカラー標準に対応し、sRGB/Rec.709は100%再現、より色域が広いP3系のカラーモードも95%と、一般向けモニターでありながら業務用のカラーマネジメントモニターにも匹敵する色再現性を誇ります。
映り込みを抑えつつ高い鮮明度を維持する「Nano Matte Panel」に対応したほか、標準輝度「400cd/㎡」コントラスト比が「1200:1」と向上。色表現と視認性にシビアなデザイン制作や写真編集といったクリエイティブ用途において、現行製品の中でもこの上なく頼りになるディスプレイといっていいでしょう。
そして他のクリエイティブモニターと決定的に異なるのがゲーミング性能。リフレッシュレート144Hz、応答速度1ms、テアリングやスタッタリングを軽減するFreeSync Premiumにも対応し、一般的なゲーミングモニターと同レベルのスペックになります。
また今作からThunderbolt 4に対応し、90Wでの電力供給も可能に。MacBookをThunderboltケーブル1本で充電しながら画面出力できる点も強みです。さらに、同じくThunderbolt 4対応のもう一方のポート(15W給電)にモバイルディスプレイをケーブル1本で増設することで、簡単にトリプルディスプレイ環境を構築することもできます。
同梱ケーブルとモニター外観
ケーブルは左から、電源ケーブル(1.8m)、USB 3.2(1.8m)、HDMI 2.1(1.8m)、Thunderbolt 4(1m)と一通り揃ってるので、箱から出せばすぐに使い始められます。

なお、これまで付属してきたDisplayPortケーブルは非同梱のため、WindowsデスクトップPCなどでDisplayPort接続を予定している場合は別途用意する必要があります。
というわけで、さっそく付属スタンドを使ってデスクに設置してみました。31.5インチの大画面ディスプレイということで、広大な作業領域はもちろんモニター自体の存在感もなかなかのもの。

ただ、3辺ともフレームレスデザインということもあり、過去に使用したことのある32インチモデルと比べてもかなりスタイリッシュな印象です。ディスプレイサイズに対してベゼル幅約9mmと極薄なので、ほんと画面が宙に浮いてる感じ。
MacBook Proのベゼルと比べても大差なく、マルチモニター環境でもディスプレイ間のギャップや違和感も最小限です。

そしてPDシリーズお馴染みのシンプルを極めたスタンド台座。洗練されたアルミ調の質感がApple製品を彷彿させます…。フラットで薄く、スマホ、キーボード、書類、文房具なんでも置けるのが良いんですよね。

下部左には「BenQ」のロゴが印字されていますが、同系統色なので主張は控えめ。

背面インターフェースは以下のとおりです。

従来は背面インターフェイスが下方向に向いていましたが、背面方向に刷新されたのは地味に嬉しいポイント。ケーブル接続時に「背面を下からをのぞき込んで、手さぐりで挿す」みたいな状況から解放されました。
そしてUSBハブ機能は、パネル下部のUSB-C、USB-A 3基と、背面のThundrbolt 4ポートにつないだUSB機器を、KVMと表記のあるThundrbolt 4ポート(KVM1)もしくはUSB-C(KVM2)に接続したPCから利用できます。

KVMと書かれたポートが2基あるのがポイント。KVM1とKVM2にそれぞれ別のPCをつないでおけば、PD3226Gに接続されたUSBデバイスを切り換えて使うことができます。USB接続のキーボード、マウスやWebカメラなどをデスクトップPCとノートPCで切り換えて使うことができるうえ、KVM1を選べば、その接続先のPCが使っている映像入力に切り替わる、といった設定ができる点も非常に便利です。
パネル左右下部には、3W×2のステレオスピーカーを搭載(内蔵スピーカーの音質については後述します)。

BenQ PD3226G使用感レビュー
これぞAQCOLOR。正確すぎる色表現
まずディスプレイ本体の性能についてですが、このモニターの最大の強みはなんといっても正確な色再現と発色の鮮やかさ。写真・動画編集、デザインなど「色」で勝負するクリエイターのために作られたプロ向けモニターなので、色の正確さに関してはもうガチです。

モニターは工場で大量生産される工業品なので、値段の安い高いに関わらず少なからず品質にバラツキが生じるもの。しかし、色味の個体差を許さないプロ向けモニターであるPD3226Gは、1個体ずつ手作業でキャリブレーション(色精度をチューニングする作業のこと)されています。

手元に届く製品はすべてプロの手作業によって色補正されたものなので、仮にオフィス等で複数台導入したとしても「いざ箱から出したらそれぞれ色にバラつきがある」みたいなことは間違っても起きないのです。
さらに、AQCOLORシリーズの最新モデルとしてsRGB/Rec.709のカバー率「100%」、デジタルシネマ規格のDCI-P3、Appleが策定したDisplay P3のカバー率「95%」を誇っていますので、色合いの精度に関してはかなり信用できます。

これより上の正確さを追求するとなると一気に「うん十万円の業務用カラーマネジメントモニター」に選択肢が絞られるので、費用対効果という意味ではPD3226Gの右に出る者はないはず。しかも32インチで解像度が4Kですから、DaVinci ResolveやLightroomのような画面を大きく使うソフトでの視認性も抜群。たいていの作業はこのモニター1台で完結します。
リモートワークに移行した直後に安いモニターを使っていた頃は「モニター上で編集した写真をスマホで見ると、別物レベルに色が違う…」みたいな現象がよく起きたものですが、PD3226Gではそういう類の心配はほんとに無縁です。
Thunderbolt 4対応で、MacBookとの相性抜群
PD3226GはApple製品にピッタリなデザインをしていますが、ピッタリなのは見た目だけじゃありません。
というのも、Thunderbolt 4に対応しているので、USB-Cポートしか付いていないMacBookとの親和性が抜群なんです。Thunderbolt 4はUSB-Cの規格のひとつなのですが、爆速通信(40Gbps)、爆速給電(PD3226Gの場合は90W)、映像通信など…ケーブル1本で得られる恩恵がはかりしれないのです。

卓上の配線がスッキリするのはもちろん、PC自体の取り回しも劇的にラクになるんですよね。「自宅の作業環境」と「外用の周辺機器」を棲み分けしておけば、あとはMacBookを持ち出すときにケーブル一本を抜き差しするだけでいいんですから。
そして、MacBookとの色差を抑えてくれる専用のカラーモード「M-bookモード」。

ガンマ・ダイナミックコントラスト・色温度を接続したMacBookの内蔵デイスプレイと同様の設定にできるというもので、上記写真のとおりM-bookモード時は限りなくMacBookに近い色が出せます(いじったのは輝度だけ)。
「Mac推奨モデルと謳っているのにいざ繋いでみると全然色味がちがう・・」なんてこともざらにありますから、ちゃんと標準でそれ専用のモードが付いてるのは安心です。
充実のカラーモードと「デュアルビュー機能」

使用ソフトや作業内容に合わせて、柔軟にカラーモードを最適化できるのもPD3226Gの特徴。
明るさを10段階で調節できる「デザイン(アニメーション)モード」や、3D CADのアプリ使用時にカラーラインのコントラストを高める「CAD/CAMモード」、輝度を落とした状態でも明るさやコントラストを調節して明瞭に表示する「暗室モード」など…標準搭載のカラーモードの選択肢はかなり充実してます。
同一画面内に異なるカラーモードのイラストや写真を並べて表示できる「デュアルビュー」機能も健在です。たとえば、「CAD/CAMモードで製図をしながら、Display P3やsRGBモードで色味を追い込む」といった使い方も一画面上で完結。
とりわけリフレッシュレートが高いPD3226Gとの相性が良く、動画編集や制作において、異なる色空間での「動きの滑らかさ」を同時にチェックできる点でも役立ちます。
画面上で操作が完結する「Display Pilot 2」
そして何といってもBenQ専用のソフトウェア「Display Pilot 2」。これがまた便利なんですよ。解像度や明るさ、HDRや自動ピボットの有無といったディスプレイのあらゆる設定を、画面上でコントロールできるというもの。

PCのキーボード操作での輝度や音量変更にPD3226Gを連動させられる「iKeyboard Control」や、周囲の明るさを自動検知し、モニターの輝度を自動調節するVisual Optimizer機能にPCが連動する「Brightness Sync」、PCの集中モード変更時にブルーライトやオーディオ調整など変えられる「FocuSync」など・・これでもかというくらいPCとの連動性に拘り抜かれています。
OSDコントローラーは待望の無線対応
PC用のユーティリティDisplay Pilot 2だけでなく、「ホットキーパックG3」というダイアル付きのOSDコントローラーの使い勝手が出色のPD3226G。

明るさ調整やカラーモードの変更、入力切替え、前述のデュアルビューなど、モニターの設定が全部手元のOSDコントローラーで完結。これは便利です。モニター背面に手を伸ばして物理ボタンをポチポチ…みたいな手間は一切必要ナシ。
そのときの部屋の明るさに合わせて画面輝度を変えたい筆者は、ダイアルに輝度調整を割り当ててます。手前の「1,2,3」には好きなショートカットを記憶させられるので、sRGB、M-book、ブルーライト軽減をそれぞれ割り当てて用途毎に画面モードを切り替えて使っています。
本来カラーモードって頻繁に変えるものじゃないと思いますが、手元のコントローラーからコロコロ変えられる仕様はデザインや編集作業をする人にとってもこの上でなく頼もしい機能のひとつでしょう。
内蔵スピーカーの音質は・・
PD3226Gはスピーカーを内蔵しているため、PC側の音声を出力させることもできます。

とはいえスピーカー性能は前モデルからほぼ据え置きの3W × 2のステレオスピーカー。2.1chスピーカー内蔵のEWシリーズなどと比べても音はお世辞にも良いとはいえません。
MacBookの内蔵スピーカーの方がふつうに音質は上なので、MacBookの外部ディスプレイとしてPD3226Gを使う際はスピーカーの出力先だけMacに戻しておくのが賢明かなと。

そもそも色精度にコミットしたプロ向けモデルで「音も鳴る」時点で優秀には違いないですが、音質にもこだわりたい人は3.5mmオーディオジャックでスピーカーやヘッドホンを挿して音を取るのが間違いないと思います。
真のオールインワンモニター『PD3226G』

この領域のディスプレイを検討している人のほとんどがクリエイターだと思いますが、広色域と色精度が求められる場面においては右に出る者のない、そんなモニターです。
実売価格17万円前後と値段は確かに高いですが、これ以上のスペックを求めるとそこはもう数十万円の業務用モニターの世界ですからね。機能に対して現実的にまだ手が届く範囲のPD3226Gは、プロアマかかわらずクリエイターにとって最善でないにしろ最良の選択肢になり得る一台じゃないでしょうか。
インターフェイスや機能面も不足はないですし、クリエイティブ、ゲーミング用途において八面六臂の働きが期待できるPD3226G。「MacBook用にハイスペックなモニターを一台そなえたい」「制作とゲーミングを一台でまかないたい」そんな方はこの機会に狙ってみてはいかがでしょうか。



