音質と携帯性を両立。Marshallの最新ヘッドホン【Milton A.N.C.】が出色の完成度だった。

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在宅ワークになって以来、ノイズキャンセリングヘッドホンを着けている時間が一段と増えました。ところが、夏場のオーバーイヤーはどうしても耳まわりが蒸れがち。

では軽いオンイヤーに、となっても、側圧で耳が痛くなるイメージが拭えずなかなか手が伸びなかったんですよね。

軽い装着感で、首にかけっぱなしでも邪魔にならない身軽さで、それでいてノイズキャンセリングで作業にも音楽にも没入できる。そんな一台を探していた折に登場したのが、Marshall「Milton A.N.C.」。

オンイヤーの手軽さはそのままに、アダプティブ対応のノイキャンを載せてきたモデルです。実際にメインヘッドホンとして1週間じっくり使ってみたので、そんなMilton A.N.C.のファーストインプレッションをお届けします。

軽やかさはそのまま、待望のノイキャン搭載

まず驚いたのが、装着感。Milton A.N.C.はイヤーパッドが外側に向かってほんの少し広がる構造になっていて、装着時に耳にかかる圧がいい具合に分散されます。オンイヤー特有の締め付け感が本当に少ない。

約200gとそもそもの軽さも相まって、耳の上にふわっと乗っているような付け心地。側圧と密閉の加減がちょうど良く、作業時や移動中などで数時間つけっぱなしでも不快感の類が一切ありませんでした。オーバーイヤーのように耳を覆わないので、炎天下での長時間使用でも熱がこもらない、蒸れないのがまず本機の何よりの良さですね。

小ぶりのオンイヤーなので、首から下げても圧迫感がない。何よりMarshallのヘッドホンは、カッコいい! この唯一無二のスタイル的な使いやすさこそが評価される部分だと思いますが、そこにノイキャンやLDACなど機能面も充実させたのが、今回のMilton A.N.C.というわけです。

さらにうれしいのが、イヤーパッドをひねるだけで着脱できるバヨネット式になっている点。耳に直接触れるオンイヤーはパッドの消耗が早いだけに、自分でサッと交換できる安心感は大きい。バッテリー交換にも対応していて、長く付き合う前提の設計になっているのも好印象です。

折りたたむとハウジングが内側にクルッと収まり、付属のポーチに入れれば手のひらに乗るほどのサイズ感に。ポーチも厚手なので、カフェへ持ち出すときのケース代わりになります。

既存モデルのMajorにはノイキャンが搭載されておらず、今回ついにオンイヤーでのノイキャンが実現。使ってみると低帯域を中心にしっかり消音されていて、楽曲の聞こえ方もガラッと変わりますね。

けれども、耳を完全に覆わない構造上、音楽を止めた無音状態では話し声やキーボードのカチャカチャ音みたいな高域の音はパッドの隙間からそこそこ入ってきます。音楽を流してしまえば、ほぼ気にならない範囲ではありますが…。まあオンイヤーである以上ここは割り切りどころですね。

反面、駅のアナウンスや街頭スピーカー、サイレンといった聞き逃すと危ない音をちゃんと拾ってくれるのはやっぱり安心。あらゆる理由で公共空間使いに適合するヘッドホンだなと。

モードは低・中・高・アダプティブから選べて、周囲に合わせて自動調整してくれるアダプティブがいちばん扱いやすいです。外音取り込みは、自分の声も含めてややこもり気味。宅配便の受け取りくらいなら問題ないものの、しっかり会話したいときは結局外したくなります。

音作りも妥協なし。ドライバーは小型ながら低音重視

音の第一印象は、ズンッと沈む低音にしっかり芯がある、いかにもMarshallらしいサウンド。32mmと小ぶりなドライバーとは思えないほど低域に厚みがあり、ベースラインの動きも追いやすい印象です。一方で高域の角は丸めで、刺さりが少ないぶん長時間でも聴き疲れしにくい方向性に感じました。

ノイキャンをオンにすると低音がもう一段グッと前に出てくるので、ノイキャンの有無でも結構キャラクターが変わるなと。対してイコライザーは5バンドで可変幅も最小限なので、ガッツリいじれるというよりはあくまで微調整ができる程度。

筆者が重宝しているのは、音量や周囲の騒音に応じて低音を補ってくれる「調整型ラウドネス」。微音量でずっと流していたい在宅ワークとの相性がすこぶる良いんですよ。

また、空間オーディオもオンイヤー型ながらしっかり対応。これまで空間オーディオは数々比較してきましたが、中でも完成度はかなり高い方だと感じました。ライブ音源を聴いた時のライブハウスやホールのリアルの残響感まで見事に再現してくれますし、空間の広さも「小」「中」「大」「特大」と4パターンから好みに合わせて設定可能。

たとえば、視聴するライブ映像がライブハウスなら「小」、ドーム公演なら「特大」とシチュエーションに合わせて残響感を変えるってことができます。筆者はとにかくライブ音源をよく聴くので、ショートカットの「M」ボタンに空間オーディオのオンオフを割り振って使い倒してますね。

LDAC対応ももちろん朗報なのですが、USB-C to USB-Cで接続できるのもLDAC非対応のiPhoneユーザーにとってありがたいポイント。

ケーブルで直結すると最大24bit/96kHzのハイレゾ相当のデジタル接続になり、さらに有線のままでもアプリのEQやサウンドステージがちゃんと効きます。有線にした途端アプリ機能が使えなくなるヘッドホンも多いので、ここもうれしい仕様です。低遅延モードを持たない本機なので、有線は動画視聴時の遅延対策にも一役買ってくれます。

ライトにMarshallサウンドを堪能するなら、Milton一択

バッテリー時間は最大約80時間(ノイキャンONで50時間)と業界でもトップクラス。平日フルに使っても週1回の充電で足りるので、残量を気にする場面はほぼありませんでした。

マルチポイントにも対応しているので、スマホで音楽を聴きつつ、PCのWeb会議へ切り替えるといった使い方もペアリングし直さずに済みます。マイクも声をクリアに拾ってくれるので、通話用のヘッドセットとして使うのも十分アリかと。LE AudioのLC3やBluetooth 6.0にも対応していて、これからの接続環境を見据えた作りになっているのも頼もしいところ。

一方、気になる点もいくつか。まずMボタンに割り当てられる機能はひとつだけで、仮にノイキャンの切り替えを割り当てると、空間オーディオやEQの切り替えはその都度アプリを開く必要があります。多用途で活きるヘッドホンなので長押しで別の機能を呼び出せたら使い勝手はいうことなかったなあとは思いました。

また装着検出センサーは非搭載なので、耳から外しても音楽は止まりません(最初これに気づかず首にかけたまま流しっぱなしになってた)。ワイヤレス充電にも非対応のため、Major Vの置くだけ充電に慣れている人は注意が必要かと。もっとも、15分の充電で約9.5時間使える急速充電があるので、うっかり切らしても慌てずに済みますけどね。

それでも、軽さと静かさ、そして有線での自由度まで一台にまとめた汎用性は大満足ですね。ジョイスティックの操作ノブも、上下で音量、左右で曲送りと直感的で、ノールックでも迷いません。価格は32,980円と、Major Vよりひと回り上がりますが、そのぶんの価値は十分にあると思います。

余談ですが、これだけ見た目にも良いMarshallのオーディオ機器なのでデザイン重視だと思われている方もいるかもしれないですけど、ヘッドホンに限らずその音作りはホント素晴らしいですからね。

外でもデスクでも長時間ヘッドホンを着けていて蒸れが気になる、オンイヤーの手軽さとノイキャンの両方を妥協したくない、なにより環境を選ばずMarshallサウンドを堪能したい。こんな人はぜひ「Marshall Milton A.N.C.」検討してみてはいかがでしょうか。

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