電子化が進む昨今は、タスク管理やスケジュール、ちょっとしたメモにいたるまで、スマートフォンやタブレットで一元管理している人も多いと思います。そんな中、「余分な機能は必要ないから、メモツールとして特化させたい」「手書きの質感にこだわりたい」など注目を浴びているのが電子ペーパータブレット。
ここ数年、多数のメーカーからさまざまなモデルが販売されていますが、中でも「手書きの質感」にこだわり抜いているのが「Supernoteシリーズ」。今回は大画面になった最新モデル「Supernote A5X2 Manta」をレビュー用に送ってもらい1週間お試しさせていただいたので、使用感をレポートしていきます。
Supernote A5X2 Manta
こちらがSupernote A5X2 Manta。前モデルの「Supernote Nomad」はA6サイズ(7.8インチ)だったのに対し、大画面のA5サイズ(10.7インチ)になったのが大きな特徴。重さは約375g(カバー込みで約460g)と缶ジュースほどの重量かつ、わずか6mmの極薄タブレットなので、厚みのある紙のノートなんかと比べても断然持ち歩きやすいです。

表面全体にフィルムが貼られており、ベゼルとディスプレイの際部分も凹凸がなく、一面同じ質感になっています。
また、物理ボタンはなく、スクリーンの左右にジェスチャー操作対応のサイドバーを搭載。このサイドバーを上下になぞることで、さまざまな操作が可能です。

上部には電源ボタンと充電用のUSB Type-C端子。


左サイドには別売(8,980円)の専用フォリオ(カバー)とドッキングさせるためのスリッドをそなえ、スリッドへはめ込む形で専用フォリオを取り付けます。ちなみに前モデルはマグネット式でしたが、今作もフォリオの脱着は非常にスムーズにできます。

フェイクレザーなので本革とまったく同じ質感とまではいきませんが、本体同様に上質感のあるフォリオカバー。ツルツルサラサラ触感で質感は良いですし、何かこぼしたり汚れが付着してもサッと拭き取れるのでメンテナンス面でも扱いやすいです。また、内側は樹脂とナイロンベースなのでしっかり本体を守ってくれます。

そしてもう一つの追加オプションが、専用スタイラスペン。今回はハート・オブ・メタル(Gen 2)のサムライ(合金めっき)を使用。書き味については後述しますが、軸が太くて非常に安定した筆記ができます。

ToDo管理、手帳、スケッチブックまとめてこれ一台

そんなSupernote A5X2 Mantaの使用用途は、メモ帳、ノート、手帳、ToDo管理、スケッチブックと多岐に渡ります。ペンタブのようなツールバー機能をそなえ、ペンの太さや種類、消しゴムツールはもちろん、筆圧検知など自由度は本当に高いです。(価格を考えると当然ですよね)
前モデル同様に、もっとも使用頻度が高いであろうメモ機能には、無数のテンプレートが用意されています。無地、8~10mmの罫線、グリッド、ドット、講義や会議などで有用なコーネル式など…さまざまなパターンから選択できます。加えて、画像のドロップでカスタムテンプレートの追加にも対応。

スマホやタブレットに比べてレスポンスで劣る電子ペーパーにおいて、個人的に重要だと考えるのが「ファイルの管理機能と視認性」。Supernote A5X2 Mantaは、フォルダーでファイル管理し生成時に仕分けできることはもちろん、タイトル、キーワード、スターマーク、リンクなど…ジャンプメニュー機能が出色なんです。これらを使いこなすことで、目的のファイルに瞬時にアクセスできます。

また、生成したノートはPDF経由でスマホやパソコンと連携でき、独自のSupernote CloudのほかGoogle Drive、OneDrive、Dropboxなどクラウドサービスとの同期にも対応。さらに、ファイル単位でQRコードを使ったエクスポートも可能であり、スマホで読み込んでサッとメールで共有したい――といったときにこの機能が一役買ってくれます。
それから、最近はもっぱらスマートフォンで済ますことが多い、ToDo管理や予定(カレンダー)機能。

ほぼ手書き感覚で直接入力できるので「スケジュール管理だけはアナログ派」という人にも非常になじみやすいですし、GoogleやOutlookと同期できるのはデジタル派にもやさしいです(同期後は右下の「イベント」部分に予定内容や時間などが表示される)。また、「週の開始曜日の変更」など細かいカスタマイズにも対応しています。
「至高の書き味」と「即座なレスポンス」
前モデル同様ディスプレイに「FeelWrite 2自己修復ソフトフィルム」というスクリーンプロテクターを採用するSupernote A5X2 Manta。表面の材質は非常になめらかで、ペンを走らせるとわずかな沈み込みを感じ、書き味はまさに「紙+ボールペン」。
これまでにいくつかのメーカーの電子ペーパーを試してきましたが、「書き味」でSupernoteの右に出る者はないと断言できます。とことん「書くためのツール」に振り切ったSupernoteなので、タブレットやペンタブのような不快な滑りはまったく感じません。力の入れ具合で抵抗感が変わる感触など、どこまでも紙に近い筆記体験といえます。

iPadなどのペーパーライクフィルムを使ったことがある人ならわかるかと思いますが、書き味自体は限りなくそれに近いです。筆圧検知が可能なSupernote A5X2 Mantaは、沈み込みで生じる抵抗感がより自然で、ペーパーライクフィルム以上の“手書き感”が味わえます。
筆記時のレスポンスも良好で、ペン入力での遅延はほとんど感じません。ファイル起動直後こそペン認識に多少のラグが生じますが、2週間使い込んでみて遅延が気になることは皆無でした。
Kindleアプリにも対応

Supernote A5X2 Mantaは前モデル同様にKindleに対応しているので、電子書籍としての活用もできます。「設定→アプリケーション→アプリストア」からKindleアプリのインストールが可能です。
電子書籍リーダーと同様の白黒の非発光型のため、炎天下でも視認性は良く、室内屋外どちらでも快適に利用できます。さすがにスマホなどと比べると挙動にもっさり感がありますが、Kindle端末ヘビーユーザーのぼくの感覚では視認性、反応速度どちらも必要十分だと感じました。
ただしあくまで「書く」ことがメインの電子ノートなので、Kindleリーダーのようなスクリーンライトやバックライト的な暗所用機能は非搭載なのでその点は注意してください。
究極の電子ノート「Supernote A5X2 Manta」

タブレットなどと比べて使用用途は限定的であるにもかかわらず、価格は76,980円〜とそれなりに高価であり、前提としてかなりユーザーを選ぶプロダクトには違いありません。
一方で、「デジタルの手書き」においてここまでハイクオリティな電子ペーパーノートは他では決して手に入らないのもまた事実なんですよね。「デジタル上で手書きの質感を味わいたい」「メモツールはとことん拘りたい」そんな方はぜひSupernote A5X2 Mantaを試してみてはいかがでしょうか。今のところAmazonでの取り扱いはなく、外部アクセサリー含め公式サイト経由から購入可能です。ぜひチェックしてみてください。