「コンパクトに持ち運びできるハイエンドマウス」の代表格でもあるロジクールのMX Anywhereシリーズから、3年ぶりにアップデートモデルが登場しました。
それがこの「MX Anywhere 3S」。
手のひらにすっぽり収まるコンパクトデザインそのままに、クリックの静音化、それに伴うスイッチの進化、さらにはトラッキングセンサーの強化など多方面に進化した小型マウスの名機。
今回はそんなMX Anywhere 3Sの良いところ、前モデルからの改良点など詳しくレビューしていきます。筆者のように気軽に持ち運べて、かつ操作性も妥協したくないんだよなあって人は「もうこれだわ」感あると思います。
ロジクール MX ANYWHERE 3Sの概要
2023年6月8日に発売されたロジクールの新型ワイヤレスマウス「MX Anywhere 3S」。
まず、旧モデルにあたるMX Anywhere 3との違いをさくっとまとめておきます。
MX ANYWHERE 3S | MX ANYWHERE 3 | |
---|---|---|
ペアリング台数 | 3台 | 3台 |
DPI | 8000 DPI | 4000 DPI |
ボタン | 総ボタン数6 (静音クリックボタン) | 総ボタン数6 |
接続 | Bluetooth Logi Bolt USBレシーバー (※別売) | Bluetooth Unifyingレシーバー |
バッテリー | 内蔵バッテリー 最大70日 | 内蔵バッテリー 最大70日 |
サイズ | 100.5x65x34.4mm | 100.5x65x34.4mm |
重量 | 99g | 99g |
カラー | グラファイト (MX1800GR) ペイルグレー (MX1800PG) | グラファイト (MX1700GR) ペイルグレー (MX1700PG) ローズ (MX1700RO) |
旧モデルから変わった点にマーカーを引いてみました。基本的にできることは変わっていませんが、主に以下3点がアップデートされています。
変わったところ
- クリック音の静音化
- トラッキングセンサーの最大解像度:4,000DPI → 8,000DPI
- 接続方式がLogi Bolt/Bluetoothに変更
基本的には兄弟機MX MASTER 3sの昨年の改良に則るアップデートになりますが、中でも目を引くのはクリックが静音式になった点。これ、単に「静か」になっただけでなく実はクリックの感触含めて結構使用感が変わってるんですよね。
そんなわけで上記の改良点にくわえ、旧モデルから継承している“このマウスの良さ”についても紹介していきます。
同梱物
内容物は、マウス本体、USB-C to USB-Aケーブル、取扱説明書の3点。
詳しくは後述しますが、 最新の接続方式である「Logi Bolt」のレシーバーは付属しないので、必要な場合は別途購入が必要。
本体デザイン・サイズ感・機能
こちらがMX Anywhere 3S本体。
本体サイズは幅65mm × 高さ34.4mm × 奥行き100.5mmで、重量は99gと、筺体やデザインは前モデルから全く変わっていません。
例によってエルゴノミクス設計のMX Anywhere 3S。握った時に手のひらにピッタリ沿う「尻上がり」形状が特徴。
MXシリーズの代名詞でもある高速ホイールももちろん搭載。
本体側面には2つのサイドボタン。専用アプリ「Logi Options+」 から好きな操作を割り当てられますが、初期設定では 「進む」 「戻る」 ボタンになってます。
サイドボタン(片方)を遅ながらホイールを回転させることで、Excelなどの表計算ソフトを使うときに便利な水平スクロールも使えます。
充電用のUSB-Cコネクタがマウスの前面に付いてるので、無線接続中にバッテリー切れしても充電しながら使い続けられるのもこのマウスのメリット。
底面にはBluetoothスイッチ。3台のデバイスと同時にペアリングでき、ライト下部のボタンからそれぞれのデバイスを切り替えできます(設定でシームレス移動も可)。
ロジクール MX ANYWHERE 3Sレビュー
静寂なクリック音。そして至高の感触
前モデルから大きく進化した点、それは「クリック音」が大幅に静音化されたこと。
カチッカチッと甲高いクリック音が鳴る前モデルに対して、MX Anywhere 3Sは「ポコッポコッ」くらいの至ってソフトな音になっています。
「しっかりクリック音が鳴る方が押してる感があってイイ」って人もいると思いますが、持ち出してカフェや図書館でもバリバリ使えるようになったのが個人的には嬉しいですね。あとZoom中にクリック音をマイクが拾ってしまうのを気にしなくてよくなったり、家でも外でも恩恵は結構大きいです。
で、クリックの機構が変わると当然指へのフィードバックにも違いが出ます。
こればかりはテキストで伝えきれないのがもどかしいんですが、やみつきになるような心地よさがあるんですよね。表現するなら「ポフッ、ポフッ」的なクリック感。
同じ静音機構のMX MASTER 3Sを最初に触った時も感動しましたが、心地よくてずっと触っていたくなるような、他のマウスにはない中毒性があります。笑
たぶん1日に数千回はクリックしていると思いますが、感触や音が自分好みに変わるだけでぜんっぜん世界が変わりますね。これで作業効率が爆上がりしたとまでは言いませんが、快適性は抜群に向上しました。
トラッキングセンサーの上限が倍に拡張
もう一つハードウェアの大きな改良点は、トラッキングセンサーの最大値が4,000→8,000DPIになったこと。
具体的に操作性で何が変わるかというと、よりマウスの移動距離が広がる、というか「マウスポインタを速く動かせる」ということです。
でもまあ従来の4,000DPIでも十分すぎる値なので、普通のデスクワークで恩恵があるかというと正直そこまでって感じです(40インチ超のウルトラワイドみたいな大画面モニターと組み合わせるならともかく)。DPIの数値はソフトウェアから自由に変えられるので、必要に応じて自分好みの速度に調整してみてください。
新しい接続方式 「Logi Bolt」に対応
一般的なBluetoothによるワイヤレス接続にくわえ、新たな接続方式「Logi Bolt」に対応しました。
これまでは「Unifying」という接続方式が採用されていましたが、Logi Boltへのアップデートでよりセキュアで安定した接続が可能になっています。
あくまでセキュリティ的な意味合いの改良なので、当然使用上でUnifyingとの違いは感じられませんでした。ちなみに、元のUnifyingレシーバーとの互換性はないのでレシーバー接続する場合はLogi Bolt一択になります。
もちろん「Bluetooth接続だから機能が制限される」みたいなことは一切ないので、手元にLogi Boltレシーバー(別売1,111円)がない場合はふつうにBluetooth経由で接続すれば特に問題ありません。というかあらかじめ付属しない時点でメーカー視点でも「あくまでBluetooth接続が主」なんだろうと個人的に思ってます。笑
「Flow」で複数端末にシームレス移動できる
最大3台までデバイスを登録できるMX Anywhere 3S。
ボタンで簡単にデバイスを切り替えできますが、専用アプリLogi optionsの「Flow」を使うことでボタンの切り替えなしでシームレスに端末間の行き来ができるようになります。
MXシリーズをはじめロジクールの上位モデルで使用できる機能ですが、例えば、2台のノートPCを並べてそれぞれの画面でマウスカーソルを行き来できますし、それぞれでコピー&ペーストやファイルの移動もできちゃいます。僕は2台のデバイスを並べて使うってことはあまりしないですが、日常的に複数の端末を使っているクリエイターやゲーマーの人は重宝する機能だと思います。
もちろん高度なカスタマイズも
専用ソフトウェア 「Logicool Options+」 から、マウス操作を細かくカスタマイズが可能なMX Anywhere 3S。
ボタンの割り当てやスクロールホイールの速度、前述のDPIの調整など、画面上で設定できます。
MX Anywhere 3Sの発売に伴い搭載された、ロジクール初のマクロ機能 「Smart Actions」もこのソフト上で設定が可能です。
Smart Actionsは、ショートカットやファンクションなど連続する操作を、一つのキー入力に置き換えられる自動化機能。ただ、この機能の主役は「キーボード」なので、マウスは主に「トリガー(キーボードマクロの起動ボタン)」として使います。ちなみにマウスのクリック操作などは、Smart Actionsに含まれていませんでした。
Smart Actionsについては、同時に発売されたMXシリーズの最新キーボード「MX KEYS S」でより詳しく紹介しているので、そちらからご参考ください。
コンパクトマウスの最高峰
手のひらにすっぽり収まるコンパクトデザインそのままに、クリックの静音化、それに伴うスイッチの進化、さらにはトラッキングセンサーの強化などより便利に使えるようになった小型マウスMX ANYWHERE 3S。
価格12,700円と完全に高級マウスの部類にはなりますが、今回も価格に見合うバリューがちゃんと詰まったマウスだと感じました。
快適さとカスタマイズ性の両方を妥協したくないよって人は、ぜひMX ANYWHERE 3Sをチェックしてみてください。
- 待望の「静音化」
- 至高のクリック感
- 小型マウス最強レベルのカスタマイズ性
- 最大解像度が8,000DPIに
- Logi Boltに対応