新居に越してきてからというもの、散歩がてら近所の喫茶店でブログを書くのが日課に。それ専用に持ち歩くキーボードは、「とにかく小さく、でも打ち心地は妥協したくない」といろいろ漁っていました。
気になるのは、やはりコンパクトを極めた40%サイズ。ただ40%の多くは、オルソリニア配列。キーが格子状に並んでいるやつですね。これがかなり尖っていて、慣れるまでがほんっとーにしんどい。
小さいのは欲しい、でも配列の修練はなるべく避けたい。そんなわがままに応えてくれそうだったのが、Chosfoxの「Init40」です。40%なのに、なんと配列はいつものキーボードと同じロウスタッガードではないですか。
実は遊舎工房の店頭で初めて触ったときから「これは!」と気になっていたのですが、指を置いた瞬間配列に迷うことなくスッと打ち始められたあの感覚が、ずっと頭の片隅に残っていて。そんなInit40がついに手元に届いたので、しばらくメイン使いしてみたファーストインプレッションをお届けします。
慣れ親しんだ配列で「40%」
Init40は、42キーのロープロファイルメカニカルキーボード。数字列もファンクション列も、矢印キーすらない、正真正銘40%レイアウトです。にもかかわらず、一般的な横ずれ配列のロウスタッガード。打ち始めて10秒でふつうに文章入力ができてしまう。

段ごとに少しずつずれた配置で、Enterもちゃんと横長。過去に40%の代表格でオルソリニアのGeonix Rev.2を1週間試したことがあるのですが、変則的な配列にどうしても馴染むことができず…。Init40は指が勝手に正解を押してくれる。この差はもう配列の恩恵以外のなにものでもありません。

BackspaceやEnterの位置も、ほぼ従来どおり。分割キーボードのように親指へ逃がさなくても済むので、ノートPCや手持ちのキーボードとの持ち替え時の大袈裟なギャップもありません。

40%なので、もちろん数字も記号もファンクションキーもなし。どこかのキーを押しっぱなしにして別のキーと組み合わせる、いわゆる“レイヤー”を操る必要はあります。ここはミニマルキーボードの宿命ですが、配列そのものから学び直すオルソリニアに比べれば学習コストはざっくり半分といったところでしょうか。40%の入門機としても本当に大きい部分。
肝心のサイズは、240×87mm。スマホやタブレットの手前にちょこんと置いても、テーブルをほとんど占領しません。ロープロファイルなので厚みも薄いんですけど、完全なペタンコというわけではなくわずかに傾斜がついています。ぼくは極薄キーボードだと平らになりすぎて手首が疲れがちなんですけど、この傾斜が長時間使いでは地味に効いてきます。

カラーはホワイト・ブラック・シルバーの3色展開。ぼくはInit40にどっぷりなので、メインのタクタイル、打鍵音を抑えたいときの静音リニアの二台運用です。カラバリのおかげで、これら別スイッチを持ち出し時に迷わないのはありがたい(ホワイトの在庫復活も待ち遠しい)。

ところで、40%を選ぶときに個人的に重要だと思っているのがスペースキー。

Init40は中央で2つに分かれたセパレートタイプ。どちらを押してもスペースキーとして使うことはできますが、それぞれに別の役割をもたせることができるんです。これが後々のキーマップ設定でじわじわ効いてきます。
打鍵感とリマップ
スイッチはKailh製のロープロファイルで、ホットスワップに対応。タクタイルの「Black Cloud」は、ロープロファイルのわりにストロークに奥行きがあり、コトコトと指先に返ってくる感触が心地いいです。

ケースはアルミ製で、内部には吸音フォームが何層にも詰め込まれています。そのおかげか、強めに打ってもたわむ気配がなく、打鍵音もカチャカチャと散らからずにまとまる。ある程度環境音のあるカフェで使うぶんには、タクタイルでも全然気にせず使えると思います。ただ、図書館のような静かな公共空間で使う機会が多いなら静音のリニアを選んでおくのが無難かなあと。ホットスワップなので、一応あとからスイッチごと差し替えることはできます。

どっしりしたメカニカルキーボードと比べれば当然重厚感のようなものは薄いですが、軽快で流れるようにタイピングできるこの感覚はやみつきになりますね…。単に薄型のキーボードってだけなら選択肢はいくらでもありますが、このサイズでこれだけの打鍵感を味わえる選択肢は希少だなあと。
それからInit40はVial対応です。Geonix Rev.2はVIAのみ対応で、キーマップを変えるたびにJSONファイルを読み込ませる必要があったんですけど、Init40はブラウザから開いてそのままリマップできるのが扱いやすいんですよ。

ここで活きてくるのが、先ほどの分割スペースキー。1本のスペースバーなら役割はひとつですが、2つに割れていれば左右それぞれにレイヤーキーを兼ねさせられます。たとえば左を押しながらHJKLで矢印、右を押しながら右手側をテンキーに——といった具合です。ホームポジションから大きく動かず済むのが本当に快適。

ちなみにVialなら、キーの同時押しに機能を割り当てる“コンボ”も使えます。BluetoothとUSBの切り替えやバックライトみたいな頻繁にいじらない操作は、左右スペースの同時押しで別レイヤーに逃がしておくと誤爆しにくいですよ。
「476g」と「US配列」を許容できれば…

ただし、気になる点もあります。まずは重さ。手のひらサイズの見た目に反して約476g、持つとそれなりにずしっと来る。
アルミと吸音材のおかげで打鍵感が上質になったぶんそのまま重量に反映されているわけですが、打鍵時の安定感はたしかに素晴らしいです。ただ、スマホ2台分を余計にカバンへ入れる、と考えるとまあ無条件で常備とはいかないですよね。必要だとわかっているときだけ持ち出すぶんには、全然許容できる範囲ですけどね。
なお、配列はUS配列のみ。JIS配列に慣れていると記号の位置で戸惑うかもしれませんが、そもそも40%は記号をレイヤーへ逃がす前提なので、思ったほど気にならないはずです。
ともあれ、その2点さえ割り切れれば得られるものは大きい。スマホやタブレットとBluetoothでつないでおけば、思いついたアイデアをその場でサッと書き留められます。この体験のために476gを許容するかどうか、という話だと思います。ぼくは許容しました。
価格は114ドル(日本円でおよそ1.8万円)。40%サイズのロウスタッガードという圧倒的な希少性、アルミのケースにこの打鍵感が付いてくることを踏まえると、個人的にはかなり良心的な価格だと思います。
40%キーボードが気になるけれど配列の壁で敬遠していた、外でも腰を据えて打てるミニマルキーボードをひとつ持っておきたい、そんな人はぜひ「Chosfox Init40」検討してみてはいかがでしょうか。

