ここのところ、かなり市民権を得てきたという印象のあるAIボイスレコーダー。
録音した音声を自動でテキスト化することにより、手動で文字起こししていた人の作業効率は爆上がり。会議や講義の内容を聞き直さずとも、AIが起こしたテキストで振り返られる時代になりました。
これまで録音・AI文字起こしサービスをソフトウェアとして提供してきた「Notta」が、昨年に満を辞してリリースしたAIボイスレコーダー「Notta Memo」。新たにType-C接続に対応した今回、評価機材で検証できる機会に恵まれたので使用感などレビューしていきます。
Notta Memoの外観と基本性能
手に取ってまず驚くのが、その薄さと軽さです。厚さ0.35cm、重さ約28g。クレジットカードサイズに、「録音→文字起こし→要約作成」の一連の作業がワンタッチで行なえるテクノロジーが詰め込まれています。

富士山にインスパイアされたというダイヤモンドカット加工のボディも質感が高い。もう、いでたちからして大人のガジェット感漂ってます・・。
実際に現物を手に取るとそのコンパクトさに感動すら覚えます。付属のMagSafeケースといっしょにスマホ背面に貼り付ければ、存在を忘れるレベル。1週間、日常的にiPhoneに貼り付けて持ち歩いていましたが、咄嗟に録音したいときにすぐ使えるという安心感がやっぱり大きい。

操作周りは、電源ボタン、通話/ライブ録音の切り替えスイッチ。操作感は直感的で、ボタンを押せば録音開始のシンプル操作です。「1秒押し → 電源オン」「2秒押し → 録音開始」「8秒長押し → 電源オフ」。

「ちゃんと録音されてるかな?」と不安になることも多い録音機器あるあるへの答えとして、小型ディスプレイを搭載。今、録音中かどうかや電池残量、Bluetoothの接続状況がひと目でわかります。仕事での会話は一度きりのことも多いので、「見た目で状態を確認できる」は必要不可欠な安心材料ですよね。
従来モデルは本体直結のポゴピン充電にしか対応していませんでしたが、待望のType-C充電に対応。MagSafe対応ケースと組み合わせることで実現します。

この薄さでありながら、バッテリーは公称で最大30時間録音可能。2週間ガッツリ使い込んで充電したのはたった1回だけでした。すばらしい。

内側には4つの高感度マイクと骨伝導マイクが、合計5基つめ込まれています。「通話録音」時には骨伝導マイク、「会議録音」時にはアレイマイクがそれぞれ起動する仕組みです。360°、最大3m先の音声を全方位に集音。

もちろん話者の判別もできて、「誰がいつ何を話したか」がタイムスタンプ付きで残ります。議事録としては、正直これだけでも十分です。
Notta Memoの使用感
録音+文字起こしならiPhoneのアプリでもできますが、アプリを立ち上げて…録音ボタンを押して…と操作の手間がありますよね。録音ボタン一発で「録音→文字起こし→要約作成」の一連の流れが完結するので、時間も手間も省けて非常にスマートです(一度このフローを体験すると元の録音環境には戻れない…)。
アプリの操作をしていて誤って「切る」ボタン押してしまう、みたいなこととも無縁になりますし、「今から通話内容録りたい!」みたいなイレギュラー時も、iPhoneにNotta Memoをくっつけておけば難なく対応できますからね。

文字起こしとAIツール生成だけで抽出した長文の要約を、手直しナシでそのまま外部にアウトプット。というのはまだ発展途上の域を出ませんが、少なくともチーム内で共有できるクオリティの要約がサクサク作っていけます。
また、ハイライト記録(タグ機能)に対応しているのも重大トピック。録音中に重要だと思ったシーンで本体のボタンを短押しすると、アプリ上でそのシーンが重要だと記録され、要約などに反映されるというもの。
従来機でもアプリからハイライトの追加自体は可能ですが、iPhone背面やカバンの中でノールックでハイライト記録できるスマートさはやはり雲泥の差です。

また使い勝手がいいのが、文字起こししたデータを他者とすぐに共有できること。
仕事柄、ライターさんと録音データのやり取りをすることが多いのですが、録音した音声データを文字起こしし、テキストファイル化して、ファイル共有サービスのURLで送る…という一連のフローが地味に手間なんですよね。それがNotta Memoを使えば一瞬です。もちろん、相手が有料会員でなくとも共有できます。
単純な文字起こし性能だけでなく、アプリ側の機能がかなり充実しているのもNotta Memoの良さです。
例えば、録音を自動で構造化してくれるAI要約。概要、テスト結果、次のステップ、みたいにセクション分けされるのでそのまま議事録として使えます。そもほか、録音の内容をトピックごとに展開してくれるマインドマップ自動生成機能は、ブレインストーミングの振り返りなどで非常に有用です。
で、個人的にいちばんテンションが上がったのが、「AIに質問」機能。

文字起こしと録音データをソースにして、AIとチャット形式で対話できるんです。「あの話題に対して、◯◯さんはどんな発言をしていた?」「この件で、具体的な表記はあった?」みたいな問いに、録音内容を参照しながら答えてくれるんです。
これ、ビジネスツールとして100点の機能ですよね。人間に「あの件どうだったっけ?」と聞いても、記憶は多少なりブレる。でもこの機能のAIはソースを正確に参照するので、ブレない。しかも素早い。
ピンタイプとの使い分け
僕はこれまで、Plaud社から出ているピンタイプの「Note Pin」も使っていたので、両方持っている立場から使い分けを整理してみます。
まず、カード形状のNotta Memoは、テーブルがある環境での使用に向いてます。店内でのインタビューやオフィスでのミーティング、プレゼンテーションみたいなシーンなら、机上にスッと出しておけばOK。ピンタイプに比べると録音された音量も大きく、音のブレも生じず、より聞き取りやすいです。
一方、テーブルがない環境では一気に使い勝手が落ちます。
普通のミーティングで机がないってことはまあないと思いますが、僕がよく参加する製品発表会や展示会ではそういうシーンもしばしば。そんなときにPlaud NotePinは服にとめたり首にかけたりできるので、机の有無に関係なく、しかもハンズフリーでサクッと録音できる。汎用性という点では、Plaud NotePinが断然有利です。

一方でNotta Memoはディスプレイ搭載というのがやはり大きな利点。録音を開始したことが視認しやすく、録音ミスも減らせるのは結構大事なポイントです。
そんなわけで、僕はカード型、ピン型の両デバイスを今後も併用していく予定。Notta Memoが使える環境であればこちらで録音し、そうでない環境ではPlaud NotePinで録音する、という使い分けで引き続き運用していこうかなと。
今まさにカードタイプとピンタイプで迷ってるという方は、「どのような環境で録音するのか」を考えてみて選んでほしいです。主にカフェ店内や会議室での録音、スマホでの通話録音を想定しているならカード型一択。いろんな場所で使用する予定(カジュアルに日常を記録したい人も)なら、汎用の効くピン型をおすすめします。
「無課金プラン」が購入即付帯
Notta Memoが他社に比べて良心的な点がひとつ。それは、購入者に「スタータープラン」が生涯無料で付帯すること。
月300分の文字起こし、AI要約100回が追加課金なしで使えるというのは、サブスク加入必須のAIボイスレコーダーにおいて優位性になる部分。それこそ月に1〜2回しか会議やインタビューがない人や、「録音」がメインで文字起こしは補助として考えている人なら、無課金のまま永続的に使い続けられると思います。

一方で、Notta Memoを本気で検討するようなボイレコヘビーユーザーにとっては、5時間なんて1〜2日で制限に達する縛り。僕自身、月額1,185円の「プレミアムプラン」に課金して1,800分に拡張して使ってます(無制限プランもあります)。ガッツリ継続運用するにあたっては、それなりのランニングコストと付き合わないといけないのはAIボイスレコーダーに共通する注意点。
いずれにしても、本体購入後すぐに別途課金する必要がないのは良心的です。一旦スタートプランでNotta Memoの基本機能を把握した後に、じっくり最適なアップグレードを検討するってことができますから。
「メモを取る」という作業から、解放される

業界最軽量を更新しつつ、洗練されたプロダクトデザイン。長時間バッテリーで頻繁に充電する手間もありませんし、いざとなれば有線で直接PCへと録音データを同期でき、無駄な待ち時間も発生しません。その上かしこい。
あとはNottaというサービス自体の日本語対応力が強いので、個人的には日本語メインで使う人にとっては現時点でベストな選択肢だと思います。気になった方はぜひチェックしてみてください。


