IQUNIXから発売された80%TKLレイアウトのラピトリキーボード「IQUNIX EZ80」をレビューしていきます。
オールブラックのフルアルミボディが映えるこちらのキーボード。0.005mmの高速トリガー感度、0.18msの低遅延、8KHzポーリング、16KHzスキャンとゲーミング性能もハイエンド級となっています。
他のゲーミングキーボードとの性能差がハッキリと体感できる唯一無二のキーボードなので、ゲーミングキーボードのアップデートを検討中の方はぜひチェックしてみてください。
IQUNIX EZ80の外観
IQUNIX EZ80は、磁気式キースイッチを採用した80%TKLレイアウトのメカニカルキーボードです。

フレームには高品質なフルメタルボディを採用し、さらにマット仕上げの塗装を施し、装飾を抑えたミニマルで堅牢なデザインのIQUNIX EZ80。無骨でありながらスタイリッシュなフォルムはどことなく“ガンタンク”を連想させます。

天面には有線接続様のUSB-C端子。同梱のケーブルを接続することで使用できます。

キーキャップはスケルトンを採用しているため、とにかくバックライトが映えるんですよ。なおかつ、キーキャップの印字がサイドに配置されているのでライトを消した状態だと無刻印のごとく漆黒になります。このデザイン、刺さる人にはぶっ刺さるんじゃないでしょうか。

キースイッチには、独自構造のX Magnetic Switchというものが採用されています。押し込みがほどよく軽く、軸ブレも少なく、打鍵音はやや高めのスイッチになります。(打鍵感の詳細は後述します)

なお、X Magnetic Switchより3千円ほど安価なMagnetic Jade Proというスイッチも選択できます。打鍵音に関してはMagnetic Jade Proの方が優れているので、軸ブレを減らしてラピトリを安定させたいという場合はX Magnetic Switch、予算を抑えて打鍵音を優先したいという人はMagnetic Jade Proがおすすめです。
IQUNIX EZ80を使ってみる

まずIQUNIX EZ80の打鍵感ですが、先日レビューした「IQUNIX MQ80」と同様に非常に良好です。打鍵の感触は、途中まで軽いクリック感があり、その後ストンと抜けて底打ちするような感覚で心地よく、腰を据えて安定した入力ができます。
スイッチが軽めなのと、キーキャップがポリカーボネート製ということもあり「カコカコっ」とやや高めに響く打鍵音といった感じ。とはいえガスケットマウント構造なので、底打ち音がカチカチ響くみたいなことはなくしっかり衝撃吸収してくれています。
キーの押し始めに必要な重さ(アクチュエーションフォース)と一番深くまで押下する際に必要な重さ(ボトムアウトフォース)の差が最小限であることが理由ですが、キーをホールドしたり連打するときに余分な力を必要とせず、ゲームを一日中プレイした際に指の疲れがずいぶんと軽減しました。
かといってゲームのためだけに引っ張り出すキーボードというわけではなく、テキストワークなど日常使いでもずっと使っていたくなる、そんな打鍵感です。高級キーボードの部類に入る本機ですが、やみつきになる打鍵感という意味ではゲーム用、作業用どちらでもキーボード選びの旅が一区切りしてしまうのではないかと感じるほどの完成度だと感じますね。

専用のWEBドライバ−を使ったカスタマイズ性が優れるのも本機の大きな特徴。

ソフトウェアは全体的にWootingを意識しているようなUIで、非常に見やすく操作しやすいです。キーのレイアウト変更やバックライト調整、キーのキャリブレーションのほか、プロゲーマーのプリセットをそのまま引用できるなど、設定項目は多岐にわたります。
ラピットトリガーは「無限モード」にすることでリセットポイントが最短で0.005mmから無段階で調整できます。アクチュエーションポイントは0.1mm〜変更可能。なお、ポーリングレートは8000Hz(固定)、スキャンレートは16KHzなので、1秒間に1万6千回キーボード内に情報をスキャンして、8000回PC側へ情報を送るということになります。

ラピトリの精度に関しては全キーボードのフラッグシップ級。キーを離したり連打するのが高速になるので、例えば「VALORANT」などでキーから指を離す方法でストッピング(銃を撃つ際、まっすぐ弾丸を飛ばすために操作キャラクターを静止させる状態)を行う際に止まるまでの速度が劇的に向上します。Switcが上下するガスケットマウント構造でありつつ、最短入力できるというのがEZ80の強みですね。
また、LEDバックライトはあらかじめ用意されたプリセットに加えて、輝度やスピードなども無段階で調整可能。LEDをオンにしておけば暗い環境下でもそれぞれのキーを見分けられます。それにしてもスケルトンのボディにバックライトはこれでもかってくらい映えますね。

打鍵感、機能面どこをとっても完成度の高いIQUNIX EZ80ですが、しいて難点をあげるなら高さ調整ができないことですかね。
大半のキーボードに付いているような段階式のチルトレッグがこのキーボードには付いていないため、固定の高さで使用することになります。個人的には一段階でも高さを変えられたら嬉しかったんですが、フルメタルボディの本機の重量が約1.7kgということを考えると、重厚感や安定感とのトレードオフといった感じでしょうか。

ラピトリ精度重視ならIQUNIX EZ80一択?

ゲーマーにとっての「ほしい」を高水準にそなえ、機能性と実用性を重視したラピッドトリガーキーボードIQUNIX EZ80。余分な装飾をカットし、フルメタルボディの上質感、スケルトンによるミニマルさが共存するデザインまで至高…。
バランスの良い80%レイアウト、優れた吸音性と衝撃吸収構造、カコカコと心地よくひびく唯一無二の打鍵音、そして所有欲を満たす高品質なアルミ筐体…どの部分にスポットを当てても満足度は高く、約4万円という価格設定にも納得感があります。
今後もさまざまなキーボードに触れていくという趣味は変わらないと思いますが、「機能全振りキーボード」については当面IQUNIX EZ80が筆者のリファレンス製品になることは間違いなし。今回レビューしたブラックモデルの他カラバリもあるので、ぜひチェクしてみてください。