”ノイズキャンセリングイヤホンのパイオニア”といえばAirPods Pro。
初代機の発売当初は何ヶ月も入手困難が続くほどの人気ぶりで、Apple信者である筆者もメイン機として、時にはノイキャン用のサブ機として3年間愛用してきました。
そして、2022年9月にそんなAirPods Pro待望のアップデートモデル「AirPods Pro 第2世代」が登場。
今回も予約開始と同時に購入し、さっそく1週間ほどじっくり使ってみました。ということで本記事では、AirPods Pro 第2世代を実際に使ってみてわかった良かった点、残念だった点など率直にレポートしていきます。
旧モデルとも比較しているので「本当に4万円捻出してまでで乗り換えるべき…?」と迷ってる人の参考になるとうれしいです。
AirPods Pro 2の概要と外観
Appleから2022年9月23日に発売されたノイズキャンセリング対応ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro 2」。
まずは初代機とのスペック比較、進化したポイントをまとめました。
第2世代 | 第1世代 | |
---|---|---|
チップ | H2ヘッドフォンチップ | H1ヘッドフォンチップ |
通信機能 | Bluetooth 5.3 | Bluetooth 5.0 |
ノイズキャンセル機能 | アクティブノイズキャンセリング 適応型環境音除去 | アクティブノイズキャンセリング |
外音取り込み機能 | ◯ | ◯ |
コントロール | 感圧センサー タッチコントロール | 感圧センサー |
バッテリー駆動時間 | イヤホン単体:最大6時間 ケース併用:最大30時間 | イヤホン単体:最大5時間 ケース併用:最大24時間 |
充電 | MagSafe、Apple Watch充電器、 Qi充電器、Lightningコネクタ対応 | Qi充電器・Lightningコネクタ対応 |
防水 | 耐汗耐水性能(IPX4) | 耐汗耐水性能(IPX4) |
ケースのサイズと重量 | 高さ:45.2 mm 幅:60.6 mm 厚さ:21.7 mm 重量:50.8 g | 高さ:45.2 mm 幅:60.6 mm 厚さ:21.7 mm 重量:45.6 g |
音声アシスタント | Siri | Siri |
マルチポイント | ◯(Appleデバイス間のみ可) | ◯(Appleデバイス間のみ可) |
スピーカー機能 | ◯ | – |
同梱イヤーチップ | 4サイズ:XS、S、M、L | 3サイズ:S、M、L |
旧モデルから変わった点にマーカーを引いてみました。
筐体のデザインなどは初代機から一切変わっていませんが、H1チップから最新のH2チップになったり、音量調整がタッチコントロールに対応したり、充電性能が上がったりと中身はいろいろと進化してます。
内容物は、イヤホン本体、イヤーチップ4種類、充電ケーブル(USB Type-C to Linhtningケーブル)、説明書の4点。付属品の基本構成も初代から変わっていません。
イヤーチップは新たにXSサイズが追加され、イヤホン装着済みのMサイズを含めて計4種類付属します。より小さいチップが一つ増えたのは個人的に嬉しいアップデート。
こちらがケース本体。一見すると初代から全く変わっていないように見えますが、筐体の変化点は2つあります。
まず一つが、底面にスピーカーがついた点。
新たにスピーカーが内蔵したことで、紛失時にケース自体から音を鳴らして「探す」ことができるようになりました(詳しくは後述します)。
そしてもう一つが、側面にストラップループがついたこと。
これまでは、ストラップをつけるために別途ケースを買う必要がありましたが、AirPods pro 2は裸のままストラップをとりつけることが可能に。
充電端子は相変わらずLightningですが、スピーカーがついたことで充電開始時に「チーン」と効果音が鳴って正常に給電できてることを知らせてくれます。これは地味に嬉しい進化。
欲をいえばUSB-C端子で発売してほしかったところですが、Qi充電やMagSafeにも対応しているので実際使っていてそこまで気にはならないですね。
イヤホン本体も、マイクやセンサーの位置が変わっただけで、筐体デザインは初代と全く同じ。
こうして並べてみると若干マイクが大きくなってることがわかりますが、それ以外はほとんど変化がなくパッと見ただけじゃ見分けがつかないですね。
1週間使用レビュー。第1世代とも比較
ノイキャンは”体感1.5倍”向上
Appleによると、ノイズキャンセリングの性能は第1世代から「2倍」に向上しているとのこと。
もともと強力なこともあり最初はそこまで大きな違いが感じられなかったんですが、実際にAirPods Pro 2を着けて街中に出てみるとハッキリ違いがわかりました。
これまでは打ち消しきれなかった風切り音や人の話し声といった高めのノイズから、車や電車の走行音までガッツリ遮音してくれます。もちろん完全な静寂とはいきませんが、第1世代よりも”体感1.5倍”ぐらい向上したかな?というのが個人的な感想です。
また、第1世代にはなかった機能として、サイレンや電動工具などの大きい音をピンポイントで低減する適応型環境音除去にも対応。工事音や走行音がうるさいときは、こいつを耳栓がわりにつければいつでも集中環境に飛び込めます。
より自然になった外音取り込み
AirPodsシリーズに組み込まれているHシリーズのチップ。今回から最新の「H2チップ」が搭載されました。
その恩恵の一つが、外音取り込み機能がパワーアップしたこと。
いかにも”マイクで拾った音”みたいな、どこか機械的な集音だった第1世代に対して、今回はより自然に、クリアに周囲の音を拾ってくれる印象。
自分の声も自然に聞こえるし、買い物時の店員さんとの会話や、電車に乗ってるときのアナウンスの聞き取りもかなりスムーズ。イヤホン好きの僕がこれまで試してきた50台以上のTWSの中でも、外音取込みはトップクラスに優秀だと感じました。
低音増強も音質はそこそこ
最新のH2チップが入っただけでなく、ドライバとアンプが再設計さたAirPods Pro第2世代。
第1世代の音質はあくまで原音に忠実なサウンドといった感じで、他のイヤホンと比較して”特徴がないことが特徴”みたいなイメージだったAirPods Pro。ところが第2世代は、一聴してすぐ違いが実感できるくらい低域が増強されていることに驚きました。
低域の音圧が増したことで明らかに音がパワフルになってるので、第1世代から乗り換える人は少なからず音質のアップグレードを実感できるはず。
ただ、解像度がクリアになったとか、空間表現が劇的に良くなったといった類の感動体験があったかというと、そこまでのインパクトはないというのが正直なところ。
もちろん単純に音質でイヤホンを選ぶなら、同価格帯のSENNHEISER MT3とかWF-1000XM4を選んだ方がきっと幸せになれますが、ノイズキャンセリング込みの”没入感”という点で考えると十分満たしてくれる音質ではあるかなと思います。
タッチ操作で音量調整が可能に
第1世代はイヤホン本体から音量の上げ下げができないのがネックでしたが、第2世代ではそれが可能になりました。
操作方法はシンプルで、スティック部分を上下にスワイプするだけ。
1回スワイプするごとに1段階音量が変わる仕様で、撫でるたびに「コンッ」と電子音が鳴ります。音量ゼロになると「ポン」と低い音で、最大音量になると「ピンっ」と高い音で知らせてくれる仕様も非常にわかりやすいです。
従来のタップ操作含めタッチコントロールの感度も良好で、動きながらでもストレスなく直感的に操作できます。
「音で探す」に対応
ケースに「U1チップ」が組み込まれたAirPods Pro第2世代。iPhoneなどの「探す」アプリで捜索しやすくなりました。
第1世代でも同じような機能は使えましたが、Bluetoothの電波強度で距離を算出しているため正確さがイマイチだったんですよね。その点、第2世代は本体内蔵のチップによりかなり正確に場所をつかめます。
購入の決め手になるほどの改良点ではないかもしれませんが、日々持ち歩く&小さいデバイスなので安心材料として大きいアップデートですよね。本体にスピーカーがついてるので、AirPods Pro本体から遠隔で音を鳴らして探し出せるのもかなり実用的。
MagSafe充電にも対応
最後はおまけ的なアップデートですが、従来のQi充電に加え、Magsafe充電にも対応しました。
↓のように普段はiPhoneを充電しているMagSafeの台座を有効活用できちゃいます。雑に置いてもしっかりマグネットでくっつくので、無線充電の悩みの種である位置ズレとも無縁に。
iPhoneユーザーにとっては旅行や出張時に充電類を減らせるのも嬉しいですね。ちなみに、Apple Watch専用の磁器充電器でも充電できちゃいます。
AirPods Pro 2レビュー|まとめ
というわけで、AirPods Pro 第2世代を1週間ほど使ってみての感想でした。
なんだかんだ言っても、ノイキャン、外音取り込み、聞き疲れしない音質などのサウンド体験に加え、装着感や機能性などなど、総合的にはAppleブランドの新製品としてふさわしい完成度だなと感じます。
円安影響のため価格が4万円近くになった第2世代ですが、第1世代を買って日が浅い人でなければ、再値上げの前に買い替える選択も十分アリなんじゃないでしょうか。