ここのところ、かなり市民権を得てきたという印象のあるAIボイスレコーダー。
録音しながらメモを取って、帰宅後に文字起こしして、議事録を作成して…という、しんどさが、まるっと解消。ライターの仕事が…いや、打ち合わせや商談なども含め、全てのビジネスパーソンにとって必須アイテムといっていいかもしれません。
そんななか、Type-C対応で“完全体”になったNotta Memoをレビューしたのが今年の夏のこと。それからわずか数か月、上位モデルとして10月13日に登場したのが「Notta Memo Pro」です。
Notta Memoヘビーユーザーとしてこれは試すしかないだろう、ということで実際に1週間ほど打ち合わせや通話、アイデアメモに使ってみました。無印のNotta Memoとの違いも交えながら使用感などレビューしていきます。
薄さ3.9mm。スマートなボディにカラーディスプレイ
手に取ってまず驚くのは、相変わらずの薄さ、軽さ。厚さ3.9mm、重さ約30g。さらに、無印と比べて幅が約9mm短くなりました。このクレジットカードサイズに、「録音→文字起こし→要約作成」の一連の作業がワンタッチで行なえるテクノロジーが詰め込まれています。

アルミ製ボディの質感や見た目がいいのもNotta製品の特徴ですが、いでたちからして大人のガジェット感漂ってます……。
同梱のMagSafe対応ケースといっしょにスマホ背面に貼り付ければ、存在を忘れるレベル。1週間、日常的にiPhoneに貼り付けて持ち歩いていましたが、咄嗟に録音したいときにすぐ使えるという安心感がやっぱり大きい。

操作周りでいちばん変わったのが、通話/ライブ録音の切り替えスイッチが廃止されたこと。Proは骨伝導マイクの信号を本体がリアルタイムで検知して、通話か対面かを自動で判別してくれます。従来はスライドスイッチでモードを切り替える必要があったので、「あ、通話モードのままだった……」という事故も防げるわけです。

「ちゃんと録音されてるかな?」と不安になることも多い録音機器あるあるへの答えとして、今作も小型ディスプレイを搭載。そして、0.95インチのAMOLEDカラーディスプレイにアップデートされました。

モノクロ表示だった前モデルに比べて、録音中かどうかや電池残量がパッと目に入ってきます。仕事での会話は一度きりのことも多いので、地味だけどこの視認性の差がとーっても効いてくるのです。
充電まわりも刷新され、専用ケーブルいらずのType-C充電に対応。無印の初期モデルは専用のマグネットケーブル、夏に出たType-C対応版はケース経由でのType-C充電でしたが、Proはそのまま普段のケーブルで充電でき、PCへの直接転送にも対応します。こ、これは大きい……

この薄さでありながら、バッテリーは公称で最大45時間録音可能。

満充電したNotta Memo Proで、1週間打ち合わせや通話、アイデアメモにガッツリ使ったところ、まだ充電切れしません。スバラシイ。内蔵ストレージは前モデルの32GBから64GBに倍増しているので、オフラインで録りためるヘビーユースでも容量を気にする場面はかなり減りそう。
もうひとつ、地味ながらビジネス用途で効いてくるのがセキュリティ。端末内の録音データはストレージ暗号化で保護され、復号の鍵はNottaクラウド側で管理されます。万が一本体を落としても、中身をそのまま読み取られるリスクを抑えられる。商談や取材の音声を持ち歩く身としては、この点も安心材料ですよね。
ボタン1つで録音から文字起こし・要約まで。
録音+文字起こしならiPhoneのアプリでもできますが、アプリを立ち上げて…録音ボタンを押して…と操作の手間がありますよね。録音ボタン一発で「録音→文字起こし→要約作成」の一連の流れが完結するので、時間も手間も大幅に省ける(一度このフローを体験すると元の録音環境には戻れない…)。

アプリの操作をしていて誤って「切る」ボタン押してしまう、みたいなこととも無縁になりますし、「今すぐ通話内容録りたい!」みたいなイレギュラー時も、iPhoneにNotta Memo Proをくっつけておけば難なく対応できますからね。しかもモード切り替えすら要らず、ボタンを押すだけ。

さらに、Proはその“後工程”が短くなっています。
その立役者が、信頼済みWi-Fiでの自動同期。あらかじめ自宅やオフィスのWi-Fiを登録しておけば、外で録音して帰ってくるだけで、録音データが勝手にNottaソフトへ上がっていきます。前モデルではアプリを開いて手動で転送する必要があったので、「帰ってから転送するの忘れてた」みたいなこととも無縁に。
また、ハイライト記録(タグ機能)にも対応。録音中に重要だと思ったシーンでボタンを押しておくと、文字起こし後にその箇所が自動でハイライトされるというもの。つまり、長時間の打ち合わせ内容から「あの一言」を探して聞き直す、という作業がなくなります。iPhone背面やカバンの中でもノールックでマークできるのは、スマートさで雲泥の差です。
また使い勝手がいいのが、文字起こししたデータを他者とすぐに共有できること。

仕事柄、ライターさんと録音データのやり取りをすることが多いのですが、録音した音声データを文字起こしし、テキストファイル化して、ファイル共有サービスのURLで送る…という一連のフローが地味に手間なんですよね。それがNotta Memo Proを使えば一瞬です。もちろん、相手が有料会員でなくとも共有できます。
また、単純な文字起こし性能だけでなく、アプリ側の機能がかなり充実しているのもNottaの良さです。
例えば、録音を自動で構造化してくれるAI要約。概要、テスト結果、次のステップ、みたいにセクション分けされるのでそのまま議事録として使えます。Proでは要約からToDoまで一気通貫で作ってくれるので、打ち合わせ後の「で、誰が何をやるんだっけ?」も即座に整理できる。録音の内容をトピックごとに展開してくれるマインドマップ自動生成機能も、ブレインストーミングの振り返りなどで非常に有用です。
で、個人的にNottaで多用するのが、「AIに質問」機能。

文字起こしと録音データをソースにして、AIとチャット形式で対話できるんです。「あの話題に対して、◯◯さんはどんな発言をしていた?」「この件で、具体的な表記はあった?」みたいな問いに、録音内容を参照しながら答えてくれます。
これ、ビジネスツールとして100点の機能ですよね。人間に「あの件どうだったっけ?」と聞いても、記憶は多少なりともブレる。でもこの機能のAIはソースを正確に参照するので、ブレない。しかも素早い。
さらにNottaのAIエージェント「Notta Brain」と組み合わせれば、録音をもとに提案書やスライドの下書きまで作れるというのだから、レコーダーの域を完全に超えてしまってますよ……。
ピンタイプ、そして無印との使い分け

ぼくは、Plaud社から出ているピンタイプの「NotePin S」も使っているので、両方持っている立場から使い分けを整理してみます。
まず、カード形状のNotta Memo Proは、テーブルがある環境での使用に向いてます。店内でのインタビューやオフィスでのミーティング、プレゼンテーションみたいなシーンなら、机上にスッと出しておけばOK。ピンタイプに比べると録音された音量も大きく、音のブレも生じず、より聞き取りやすいです。
一方、テーブルがない環境では一気に使い勝手が落ちます。
普通のミーティングで机がないってことはまあないと思いますが、ぼくがよく参加する製品発表会や展示会ではそういうシーンもしばしば。そんなときにNotePin Sは服にとめたり首にかけたり手首に着けたりできるので、机の有無に関係なく、しかもハンズフリーでサクッと録音できる。

カード型がいくらスマホと一体化できるとはいえ、スマホ操作の自由度を損なわず、直接操作しやすいピンタイプが汎用性という点でやはり圧倒的です。
それでもNotta Memo Proはディスプレイ搭載というのが大きな利点。録音を開始したことを視認しやすく、録音ミスを防げるというのが特性上のこれ以上ない強み。
そんなわけで、ぼくはカード型、ピン型の両デバイスを今後も併用していく予定です。Notta Memo Proが使える環境であればこちらで録音し、そうでない環境ではNotePin Sで録音する、という使い分けで引き続き運用していこうかなと。
今まさにカードタイプとピンタイプで迷ってるという方は、「どのような環境で録音するのか」を考えてみて選んでほしいです。主にカフェ店内や会議室での録音、スマホでの通話録音を想定しているならカード型一択。いろんな場所で使用する予定(カジュアルに日常を記録したい人も)なら、汎用性の高いピン型をおすすめします。
もうひとつ悩ましいのが、無印のNotta Memoと、Proのどちらを選ぶか問題。

集音距離が倍になったことは、用途次第では大きな差かもしれません。が、そのほかのProの進化点はというと自動モード判別、Wi-Fi自動同期、本体自体のType-C対応、64GBストレージと、いずれも「録ったあとの手間を減らす」方向に寄っています。なので、月に数回の打ち合わせを個人でメモする程度なら無印で十分。逆に毎日のように商談や取材を録って、チームに共有して……という人ほど、Proとの差額は回収できるはずです。
無料で月間600分まで文字起こし可能に
Notta Memoシリーズが他社に比べて良心的な点がひとつ。それは、購入者に「Nottaハードウェアプラン」が無料で付帯すること。
しかもこの購入者特典、最近になって月300分から月600分にアップグレードされています。サブスク加入必須のAIボイスレコーダーにおいて、これは優位性になる部分。
それこそ月に数回しか会議やインタビューがない人や、「録音」がメインで文字起こしは補助として考えている人なら、そのまま無課金で使い続けられると思います。AI要約も月100回まで使えるので、要約がボトルネックになることもないでしょう。

一方で、Proを検討するほど録音機会が多い人なら、「月10時間」はあっという間に消化してしまうはず。ぼく自身、月額1,185円(年払いのみ)の「プレミアムプラン」で1,800分まで拡張しています。ガッツリ継続運用するにあたっては、それなりのランニングコストと付き合わないといけないのはAIボイスレコーダーに共通する宿命。
ともあれ、本体購入後すぐに別途課金する必要がないのは良心的です。一旦無料枠でNotta Memo Proの基本機能を把握した後に、じっくり最適なアップグレードを検討するってことができますから。
「録ったあと」のタスクからも、解放される

カードサイズの薄さはそのままに、カラーディスプレイ、Type-C、64GBストレージと、無印で気になっていた部分をきっちり底上げ。さらに自動モード判別とWi-Fi自動同期で、録音ボタンを押してから文字起こしが上がってくるまで、ほぼ何もしなくていい。その上かしこい。
価格は29,700円(税込)と決して安くはありませんが、本当の価値は録音そのものよりその後にやってくる面倒な作業をまとめて肩代わりしてくれる点にあります。万が一記憶が真っ白になっていても、代わりにすべてを覚えていてくれて、必要な形に整えて差し出してくれる。
あとはNottaというサービス自体の日本語対応力が強いので、個人的には日本語メインで、しかも仕事で録音を回している人にとっては現時点でベストな選択肢なのかなと。気になった方はぜひ「Notta Memo Pro」チェックしてみてください。

