今回はオープン型でも本格的なサウンドを提供するJBLの最新モデル「JBL Sense Pro」を紹介します。
先日紹介したJBL初イヤーカフ型イヤホン「Soundgear Clips」はなかなか音質が良かったので、今回も音質面に期待したいところ。今回はJBLさんから紹介用に提供いただいたので、実機を使ってどれほどの実力か検証していきましょう。
JBL Sense Proの外観
丸みを帯びた滑らかなフォルムが特徴的なJBL Sense Proの充電ケース。マットコーティング仕上げで、上品な光沢とメタリックな質感を残しつつ、指紋が目立ちにくく、手にした瞬間に高級感を感じさせるデザインになっています。

厚みはそこまでなく、ズボンのポケットやバッグに入れても嵩張らないサイズ感。

充電端子はUSB Type Cに対応。

バッテリーの持ち時間はイヤホン単体で8時間、ケース充電込みで最大約38時間。10分の急速充電で約4時間使えるので、出かける直前に充電しても1日使えるレベルです。ワイヤレス充電やマルチポイント接続、さらに片耳だけでも使える「デュアルコネクト」にも対応しています。
最近のイヤーフック型らしくスマートな見た目のイヤホン本体。

軽量なチタン合金製ワイヤーと、とろみのある柔らかさを持つリキッドシリコン素材を組み合わせることで、長時間の使用でもストレスを感じさせないフィット感を実現。特にフック部分は完璧なカーブを実現するために徹底的にテストを重ねて設計されているのだそう。

前モデル「Soundgear Sense」で評価された角度調整機能も継承。最大20度の可動域を持つ調整機構により、耳の形状や装着位置に合わせてスピーカーホールの向きを微調整でき、低音から高音までバランスよく音が届けられます。必要以上に音量を上げる必要がなくなるため、音漏れを防げるのもうれしいポイント。
カナル型を彷彿とさせる緻密なサウンド
JBL Sense Proの音質についてですが、オープン型でも安心と信頼のJBLサウンドで鳴らしてくれます。
スピーカーには16.2mmという大口径のDLC振動板ダイナミックドライバーを採用。実際にSense Proで楽曲を聴いてみたところ、オープン型でありながら、まるでカナル型のような緻密なサウンドに驚きました。音の傾向自体は、従来のパワフルなJBLチューニングを少しマイルドにしたような感覚ですが、かといって音のスカスカ感のようなものは一切感じず低音もしっかり鳴らしてくれます。

主に「ながら聴き」を想定した従来のオープン型イヤホンは、その構造からどうしても中低域が思うように出ず、スカスカした音になりがちで、音楽をどっぷり楽しむというよりも、BGM的に聴き流したり、ラジオやポッドキャストの音声を聴くといった用途に向いた印象でした。
しかしSense Proはこれまでの常識に当てはまらず、ガッツリと中低音が出てくれます。高音のザラつき感やシャリつき感もなく自然と楽曲に没入でき、ボーカル音がモゴモゴすることなく非常にクリアで粒立ちよく聞き取れるなという印象。「ながら聴きでもしっかり音質は求めたい。でも没入しすぎたくない。」そんな人にはうってつけの選択肢になるのではないでしょうか。
また、ドライバーを動かすボイスコイルに、髪の毛よりも細い0.043mmの超極細の大黒電線製ボイスコイルを採用していたり、オープンイヤーでは珍しい正円の振動板を使うことで均一な鳴りを表現したりと、高音質を実現するためのパーツ選びにも妥協がありません。
これだけ重厚な中低域を再生しながら、ボーカルやギターの高音が埋もれることとなくしっかりと耳に入り、全体のバランスも良好。決して低音に偏った派手なサウンドではなく、クリアなHi-Fiサウンドに仕上げられているところがハイエンドモデルの実力を感じます。

コーデックはハイレゾ品質のLDACに対応。優れた音質を備えている「Sense Pro」だからこそ、この対応はうれしい。加えて、複数のイヤホン/スピーカーに同時伝送できるAuracastや、次世代のBluetooth音声規格であるLEオーディオにも対応しています。
続いて装着感。本体は軽いし、重さも前後で分散されているおかげで耳への負担も少ないし、フック部分もちゃんと耳の形に沿っているから落ちる気もしないですし、とにかく快適。実際にメガネをつけた状態でジョギングもしてみましたが、耳から落ちそうな気配もなく、とても安定していました。


オープン型であるため、長時間装着しても閉塞感は少なく、カナル型が苦手という人にもマッチするかと思います。それでいて、低音の迫力もあきらめたくないという人には、JBL Sense Proは最適解になり得るイヤホンでしょう。
また、専用アプリから各種設定が可能なSense Pro。イコライザーが10バンドに対して±7dBのイコライザー設定を細かく設定できるほか、タッチ操作のカスタマイズ、複数のイヤホン/スピーカーに同時伝送できるAuracast、LEオーディオのオンオフ、聞こえ方をパーソナライズする「Personi-Fi」など設定できる項目は多岐にわたります。


個人的にアプリで頻繁に使用するのは「イコライザー設定」と「スマートオーディオ&ビデオ(低遅延モードと音質優先モードの切り替え)」の2つ。購入後もファームウェアアップデートで進化を続けるJBLなので、アプリはとりあえずダウンロードしておくことをおすすめします。
JBL、本気のオープンイヤー
あらゆる面で充実した仕様の「Sense Pro」。これほど多方面に本気な、六角形のレーダーチャートでいうなら全項目が突き抜けているオープンイヤー型イヤホンは、まずないのではないでしょうか。僕自身も「オープンイヤーでここまでの音質、アリなんだ!」と驚きましたから。
日常使いはもちろんワークアウトでも音質、装着性に妥協のないTWSを探している人はきっと満足できるはず。価格は2万4200円(税込)とそれなりに高価にはなりますが、価格に見合うバリューがしっかり詰まったイヤホンなので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

