ポータブルアンプ全盛期の昨今、USBケーブルを差し込むだけで完結する製品も増えていますが、小型ゆえにパワー不足な製品が多いのが実情。そこで電力供給が十分、かつポタアンよりもハイレベルなSoC、DACを搭載できる据え置きアンプこそ、PCやスマホの直挿しからのアップグレードに最適なのかなと思っています。
そんな筆者は、昨年のベストバイ記事でも紹介したTOPPINGの「DX5Ⅱ」を相変わらずメインのデスクトップDACとして愛用中。発売からちょうど1年経ったいま、新色「Silver Color Edition」が加わったということで、なんとMUSINさんよりギフティングいただきました。単独でDX5Ⅱを深く取り上げていなかったので、ご紹介できればと思います。
コンパクト、見た目もいい据え置きデスクトップオーディオ
DX5Ⅱは、DAC内蔵のヘッドホンアンプです。接続方法としては、USBでのデジタル入力が可能で、PCやスマホでの接続はもちろん、Bluetoothでの接続にも対応。ワイヤレスでも手軽に高音質再生できます。まさに超万能型デスクトップオーディオ。
まず目を引くのが、このサイズ感。190×131×44mm、重量954gという手のひらサイズに、X-Hybrid AMPと呼ばれる低歪回路、3系統出力のアンプ、DSD 512/PCM 768kHz対応のESS ES9039Q2Mをデュアル搭載するDAC機能がぎゅっと詰め込まれています。

そして、デスクに常設するガジェットとしてここも重要なのですが、とにかくビジュアルがいい。ただでさえシンプルかつ無駄のないデザインに、シルバー筐体が輪をかけて上質感を醸し出しています。美しい……

オーロラUIと呼ぶフロントパネルに配したディスプレイはフルカラー、そこに再生情報/FFT(高速フーリエ変換)/VUメーターのいずれかを表示できます。まるで別のアンプに切り替えたかのようにドレスアップできるので、ここを眺めているだけで所有欲が満たされるんですよね。

そして、右端のノブはボリューム調整のほか電源ボタンを兼ね、自由に機能をアサインできるファンクションキーとしても使える器用なタイプ。

これだけの機能が、このコンパクトサイズに凝縮されているというのがDX5Ⅱの最大の魅力です。ヘッドホン、イヤホンだけでなく、アクティブスピーカーを用意すればスピーカーリスニングも楽しめるし、手をかけ時間をかけ環境構築する悦びも倍増するというものです。
肝心の音質はというと、ノイズレスで、高解像度で、クセのないニュートラルサウンド。それこそ筆者のように、スマホ直挿しや小型USB-DACからのステップアップだと、音場の見通しや音の粒立ち感は顕著に感じると思います。一つ一つの音が団子にならず各楽器帯の輪郭がくっきり浮かび上がってくるといいますか・・。ボーカルの息使いまで逃さないので、静寂と残響がコンセプト(たぶん)のTHE FIRST TAKEの曲との相性の良さったらないです。

それでいてけっして硬すぎず、ややモニターになりつつも無機質になりすぎることもない、絶妙な塩梅です。最近はリビングのパワードスピーカーMarshall Stanmoreとも繋いだりしますが、イヤホンやヘッドホン出力とおおよそ似たような傾向ですね。プリアンプとしても使えますし、これ一台でいろいろできます。
ここもDX5Ⅱの真骨頂ですが、6.3mmのアンバランス接続時は2200mW×2(32Ω時)、バランス接続時は6400mW×2(32Ω時)の出力を誇ります。この極小サイズのどこにそんな出力が…という感じですが、単純な数値だけで見れば同価格帯のポタアンと桁が一つ変わるレベルの出力です。とりあえずDX 5IIを選んでおけば、鳴らしきれないヘッドホンに出くわす心配はまずないかと。
単にハイパワーなだけでなく、高感度なイヤホンでもLowゲインに切り替えればホワイトノイズを抑えた扱いやすい音量感で楽しめます。音も破綻せず、細かな音量調整もいたってスムーズ。
もちろん直接Bluetoothで接続もできます。LDACやaptX Adaptiveといった高音質コーデックも受信できるので、スマホ派にもうれしい設計です。

Bluetooth再生についても、当たり前ですがTWSとの直ペアリングでは超えられない壁があります(これまで気にも留めなかった音が、ふいにパッと現れてその存在を知らせてくる)。昔から馴染みの深いはずの曲を聴いて、必ず1回「こんな音も入っていたのか」と気づかされますから。この描写力と情報量、一度体感すると「長年TWSで触れてきた音楽は果たして?」と言いたくなります。
重箱の隅をつつくと、Bluetoothを受信するための付属のアンテナがどうも不恰好なんですよね。せっかくシルバーで揃えた筐体に、黒い棒が1本立つ、というのはデザイン的にうーん・・とはなります。アンテナだけ上手く隠れる配置ができたら良いんですが、まだ最適な配置が思いつかず・・
あと、誤解しやすいのですが、DX5ⅡのBluetoothはあくまで受信専用です。スマホから飛ばした音をDX5Ⅱで受けることはできますが、DX5Ⅱ→無線イヤホンのような繋ぎ方はできません。ここを勘違いすると「繋がらない」となってしまうので、一応補足でした。
約5万円で手が届く万能デスクDACアンプ

本来ならDAC、ヘッドホンアンプ、プリアンプ、と箱が3つに分かれるところが、1つでまるっと完結。それで5万円台です。当時OTOTENのブースで初めて見かけたときに思わず二度見しましたが(たしか当時はギリ4万円台だったはず)、あの衝撃、というか感動は1年使った現在も変わらずです。
音もニュートラルでイヤホン・ヘッドホンとの相性も選ばないですし、コンパクトでスペースも取らない。本当に弱点のない“万能デスクDACアンプ”だと思ってます。手持ちのポータブルアンプの音質に飽きてきた人にも、ぜひTOPPING DX5Ⅱでアップグレードを体験してみてほしいです。
“弟分”の「DX1 II」も要チェック
DX5 IIと関連してもうひとつ紹介したいのが、先日発売したばかりの「DX1 II」という超コンパクトDAC内蔵ヘッドホンアンプ。USBケーブル1本だけで動く機種です。

箱から取り出した瞬間、思わず「小さっっ!」と声が出てしまいましたが……この通り完全に手のひらに乗ってしまいます。

片手でひょいと持ち上げられて、持ち上げたあとに「さて、どこに置こう?」と頭を悩ませることもない。デスクのわずかな余白に、そのままスッと滑り込ませられるのが本機の魅力です。

肝心の内蔵チップですが、なんとDX5 IIと同じESSのES9039Q2M。もちろん、同じチップだから同じ音、なんてことはありませんが、4.4mmバランス出力は32Ω・64Ωで1,000mW×2出ます。
DX1 IIでも音の粒立ちはしっかりしていて、「鳴らし切れない」という感じは一切ないですし、USBバスパワーの10cm四方の機器と考えるとかなり健闘しているなと(むしろこの条件でここまで持ってこられるのか、と衝撃)。バスパワー=便利だけど非力、という自分のなかの固定観念が軽く吹き飛びました。

鳴らしにくいヘッドホンを持っている、据え置き環境で音質をとことん突き詰めたいならDX5 II。それ以外のほとんどの用途においては、正直DX1 IIで十分なのかなあと。バランス出力も光の入出力も10バンドPEQも付いてきますから。
定価は24,750円。特に有線オーディオの入り口としてDX1 IIのコスパは頭ひとつ抜けているので、入門機を検討している、設置スペースや予算を抑えたい、という方はコンパクト志向のDX1 IIもぜひ選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

