バルミューダ『The Clock』スマホに奪われた朝と夜を、光と音の置き時計で取り戻せるのか?

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朝、アラームを止めるためにスマホを手に取ったはずが、気づけばSNSを30分も眺めていた……なんてことってありませんか? 寝る前も同じパターンで、「時刻だけ確認しよう」と画面を点けたが最後、通知の海に飲まれて目が冴えてしまう。(意志が弱いだけ、と言われたら返す言葉もないのですが)

アラームも時計もタイマーも、ぜんぶスマホ。便利すぎるがゆえに、寝室からスマホを追い出せない。だったら“時間まわりの役目”だけでも、別の道具に任せてしまえばいいのでは?

そんな折に導入したのが、バルミューダの「The Clock」。時計とスピーカーが合体したような見た目ですが、開発の出発点は“眠りにつくための時計”だそうで、僕の悩みにドンピシャだったわけです。今回は、その使い心地をじっくり掘り下げていきます。

針もガラスもない文字盤で“感じる”光の時刻表示

まず手に取って驚くのが、この密度感。アルミ削り出しの本体は幅75mm・約259gと手のひらサイズなのに、ずしっとくる。軽すぎず重すぎず、ちょうど“道具”として気持ちいい塩梅。

文字盤には針もカバーガラスもなく、75個のLEDが光だけで時刻を描く仕組み。呼び名は「Light Hour」だそうです。これ、正直なところ最初はパッと読み取れないんですよね……。

けれども、しばらく眺めていると腑に落ちてくる。デジタル数字でもアナログ針でもない光のパターンは、時刻を“見る”というより“感じる”ためのものなのだなと。「そもそもこれは秒単位で管理したい人向けではない」、と割り切れた瞬間から、一気に愛着が湧きます。

筆者の用途では“寝本”のお供がメインなのですが、夜の寝室使いに向くのが、光のやわらかさ。正面右上の照度センサーが周囲の明るさを拾って、自動で調光してくれます。まぶしさはなく、ほんのり灯るやわらかい光がなんとも心地良いんです(就寝モードを示す月マークのブルーも何度も試作を重ねられたそう)。

個人的に気に入っているのが、毎正時の時報です。チャイムに合わせて、振り子が揺れるような光のモーションが盤面を走る。この挙動ひとつとっても、開発陣が国立科学博物館のフーコーの振り子まで見に行って再現したというんですから、凝り方が尋常じゃありません。

細かい部分ですが、アルミにしか見えない文字盤は実は樹脂製なのだそう。LEDの光をきれいに見せるための工夫のようで、なおかつボディと地続きになるような統一感にも作り手の執念を感じます(設計の手間に、Appleの元デザイン責任者ジョニー・アイブも“クレイジー”とつぶやいたとか)。

ちなみに、この加工クオリティの背景には、LoveFromと共作したランタン製品をきっかけに、金属加工の工場とつながったことがあるようです。思えばバルミューダの最初の製品も、アルミ削り出しのノートPC冷却台「X-Base」でした。原点回帰という言葉が、しっくりきます。

目覚めも集中も眠りも、音で整える。

機能は大きく分けて、アラーム、リラックスタイム、タイマーの3つ。操作は本体側面の物理ボタンと、懐中時計のようなクラウンだけで完結します。ただしボタンを長押しして機能を呼び出す方式なので、最初は説明書を片手に……という感じでした。

いちばん効果を実感したのが、目覚めです。設定時刻の3分前から環境音が静かに流れ始め、少しずつ音量が上がっていく。あの“バババッ!”とスマホのアラームで叩き起こされる朝とは、もう別世界です。

しかも時刻はスマホと自動で同期されるので、本体での時刻合わせは不要です。アプリからセカンドタイムゾーンまで登録でき、たとえば海外に持って行ってサマータイムが切り替わっても追従する仕様です。

アラームは最大3つまでプリセットでき、切り替えて使えます(プリセットはアプリで登録)。平日用と休日用で分けておけば、毎回いじる手間も省ける。ちなみにこのプリセット登録以外の基本操作は、全て本体だけで完結します。

そして真骨頂が「Relax Time」。雨音にコオロギの鳴き声が重なるものや、焚き火とピアノの“Lodge”など、プロのミュージシャンが手がけオリジナル音源が空間へ広がります。この小ささでありながら、ウーファーとツイーターを備えたステレオ構成なので、普通に音もいいです。時計のスピーカーなんておまけ程度でしょ?と思いきや、音質もしっかり本気でした。

タイマー起動時は、開始に合わせて小さくホワイトノイズが流れる仕様。アナログレコードの“ザー”という連続音も、思った以上に効果的でした。周囲の雑音がすっと消え、寝本も作業もほどよい没入に入れる。音が“鳴る”のではなく、空間の質が変わる、そんな感覚です。

リリース後のアップデートで、当初はなかった「Night Routine」も加わりました。就寝時刻を決めておくと、その90分前から段階的にサウンドが切り替わり、入浴、読書、就寝へと体を誘導してくれるというもの。この“寝る前の行動から睡眠は始まっている”という発想、まさに僕の今のジレンマにクリティカルヒットです。

アラーム、時刻確認、寝る前のBGM。この三役を引き受けてくれるなら、スマホを寝室に持ち込む理由はなくなります。現にThe Clockを導入してから枕元にスマホを置く習慣が見事になくなりましたから。“スマホを見ない努力”ではなく“見なくて済む仕組み”が手に入る——ここが、ただの置き時計との決定的な違いだなと。

弱点を踏まえて、どんな人に向いている?

気になる点も、正直にお伝えしておきます。いちばんの弱点は、やはりバッテリー。連続使用で約24時間。え? 時計なのに24時間?と思わずつっこんでしまいますが、基本的には寝室、リビング、デスクなど室内で置いて使う、据え置き型のクロックなわけですから、普段はUSB-C挿しっぱなしでもいいでしょう。

あくまでコンセプトは集中・リラックスのために1〜2時間のスポット使い、が主なわけですから、無線で好きな場所に移動させつつ使わない時間に充電する習慣をつけば済む話なのです。

個人的にこっちの方が気になったのが、アルミ削り出しゆえの滑りやすさ。ケーブルをつないでいると、ケーブルに引っ張られて本体の向きがスーッと変わってしまことがしばしば。底面にエラストマーのような滑り止めがあれば完璧だったな……とは感じました。

価格は5万9400円(税込)。置き時計としてはかなり強気ですが、所有欲を満たすギミック、アルミ筐体、そしてスマホを遠ざけてくれる仕組み化を込み考えれば、僕の中では腑に落ちる金額かなと。寝る前と起きた直後の“時間の質”を変えてくれるデバイス、という意味ではたしかに唯一無二です。

逆に、時刻が分かれば十分という人や、機能とコスパで選ぶ人には当然不向きでしょう。一方で筆者のように寝る前のスマホ時間を減らしたい人、毎朝の目覚めをちょっと上質にしたい人にとっては、代わりの利かない存在になるはずです。

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